第99号「そうじの力だより」

事例紹介ルールを決め、守る 〈例外に対する歯止めを作る〉~生駒学税理士事務所 環境整備の取り組み~香川県高松市の生駒学税理士事務所。所員46名の、四国でも有数の規模を誇る会計事務所です。所長の生駒学氏は大変に勉強熱心な方で、理念や経営計画書、朝礼などの重要性にいち早く注目し、自社内で実践するとともに、顧問先企業にも勧めています。昨年から弊社の支援により、環境整備のプロジェクトが始まりました。昨年は、「整理」を中心に取り組み、今年は「整頓」と「清掃」に力を入れて取り組んでいます。同所は、ビルの3フロアを使っており、5Fがメインの執務フロア、6Fが物置になっています。当初、書類やら什器類やら私物などであふれかえっていた6Fは、いまや機能性の高い倉庫に生まれ変わりました。会計事務所はその業務の性格上、どうしても書類があふれかえってしまいます。やっかいなのはお客様からお預かりした書類で、こればかりは「整理=捨てる」わけにもいきません。6Fを倉庫として、そこにお預かりした書類をストックすることで、執務フロアである5Fをすっきりとした状態に保つことに成功しました。同所では環境整備を進める中で、「フロアへの書類の直置きはしない」というルールを決め、徹底を図っています。しかし、どうしても収まりきらない書類もあります。規模の大きい顧問先から決算月にお預かりする書類は、段ボール箱3~4個にもなります。それらをいちいち5Fから6Fに上げ下ろしするのも大変な手間です。「例外は絶対に認めない」では、現実的に立ち行かないこともあるのです。これまでは、そうしたケースで、「だってしょうがないじゃないか」ということでズルズルとルールが形骸化していってしまっていました。そこで今回は、そうしたイレギュラーな場合には、「例外を一時的に認める」仕組みを導入しました。大量の書類をお預かりした場合に、「直置き申請書」を提出し、所長と「そうじの力」委員長の印をもらい、それを書類に貼りつけることで、自分のデスクの脇に置くことができます。この直置き申請書には、担当者名と保管期限が明記されていますので、誰が見ても正当性が確認できます。もしこれを貼らずに直置きしていたり、期限を過ぎても置いていたりすると、「ダメじゃないか」という警告が発せられます。実は警告を発するのは所長ではありません。各グループから選抜された「そうじの力リーダー」たちです。リーダーたちは、乱れた個所を発見すると警告することになっていますが、ルールが明確なので、文句もでません。会計事務所は、毎年十二月から五月までが繁忙期です。これまでは、環境整備を進めても、繁忙期になると乱れていましたが、このシステムのおかげで、今年の繁忙期も乱れずに乗り切ることができました。「そうじの力」委員会のミーティングも、毎週開催しています。これまでは、やはり繁忙期になるとミーティングが開催されない、ということがありました。しかし、繁忙期であろうと閑散期であろうと、毎週火曜日にはミーティングを開催すると決めて、それを守りきりました。ルールが上から一方的に押し付けられるのではなく、自分たちで話し合ってルールを決めたことも奏功したようです。そしてそのルールを愚直に守り通したことで、所員たちに自信もついたようです。委員会では、アイデア出しの場面で、ユニークなアイデアが飛び交い、笑いが起こります。以下、所員の感想の一部です。〈ルールが全員に浸透してきている。明らかに意識が変わってきている。〉〈チームのメンバーも積極的に動いている。車のホイールも、以前はそうじなどしなかったが、今は何も言わなくても自らキレイにしている。〉自由な空気というのは、実はきちんとルールを守るという土台があって、はじめて成り立つのだと思います。まだまだ課題はたくさんありますが、同所の未来は明るいです。 (小早)おそうじ匠の技そうじしてみよう!~ビニールクロスの壁ならばこうする~壁がきれいになると部屋が明るくなります。ぜひそうじをしたいところです。今回は、壁材の中では一般的なビニールクロスに限ります。この素材の壁だけは水が使えるからです。準備するものは、①洗剤(家庭用のアルカリ性洗剤)②ブラシ(柔らかいもの)③歯ブラシ④ぞうきんです。 壁は、場所によって汚れ方が違います。ヤニ、油、ホコリ、擦れ汚れなどあります。また、ビニールクロスの壁でも種類によっては表面が壊れやすかったり、経年劣化でもろくなっている場合もあります。そうじを始める前に必ず端の方でテストします。洗剤を付けた歯ブラシで軽くこすってみましょう。軽くこすって汚れが落ちて、素材に痛みが無いようであれば、範囲を広げてそうじをします。その際一番注意をしなくてはいけないのが洗剤による「液だれ跡」です。「液だれ跡」とは、洗剤液がたれた跡が白く抜ける現象です。洗剤を使う際、壁に直接吹き付けるのではなく、ブラシの方に少量の洗剤を付けて下さい。そして壁を軽く泡立てるようにこすります。泡が立つと下へ液がたれません。ブラシを使うのは、泡が立ちやすいからと表面の凹凸にも対応が可能だからです。そして1~2分置きます。次にきれいな雑巾で水拭きします。この時は、液だれに注意して下から上に拭き取るのが良いです。これで終了。一度の作業30cm四方くらい目安にすると良いでしょう。 注意していても液だれすることもあり得ますので、作業は壁の上部から下部に向かって行うのが良いでしょう。こうすれば、万が一液だれしても、下部をそうじする際に挽回できます。ヤニや油でひどく汚れた壁の場合は、均一に洗うことが難しく、「色ムラ」が発生しやすく、そうじした後の方見た目悪くなってしまうことがあります。そうなってしまった場合には、次の段階としてペンキで塗装することを検討してもよいでしょう。             (飯塚) おそうじコラムスポーツにおけるそうじの力~技術よりもまず人間としての基本を~高校野球の夏の甲子園は、私の地元群馬県代表の前橋育英高校の初出場優勝で幕を閉じました。 群馬県はあまり野球の強い県ではなかったので、今回の優勝は県民に大きな勇気と感動を与えてくれました。試合内容も、薄氷の一点差の勝利や土壇場の逆転勝利など、見ていても気持ちのいい、良い試合ばかりでした。 私が印象に残ったのは、同校の荒井直樹監督の掲げる選手育成方針が「凡事徹底」だったことです。 監督と選手たちは、毎朝学校の近所のゴミ拾いをしていたそうです。そのほか、挨拶や掃除、時間厳守、服装を整えることなどを重視して続けてきたとか。 雑誌の記事によれば、荒井監督は社会人野球のいすゞ自動車の出身で、いすゞでは、「インコースの打ち方を覚えるよりもまずはトイレをきれいにしろ」という哲学を叩き込まれたのだそうです。 興味深いのは、前橋育英が決勝戦で下した延岡学園高校もまた、挨拶や掃除を重視しているということ。いうなれば、「紳士同士による決勝戦」だったと言えるでしょう。 ややすると、「勝つためには何をしてもいい」という風潮になりがちなスポーツの世界において、凡事徹底のチームが良い成績を残せたのは、嬉しいことです。 私は、それとはまったく反対の事例を目撃したことがあります。 出張先のホテルで、客室階の廊下にホッケーの道具がたくさん置いてあるのです。通行の邪魔になるし、汗臭いし、他の客にとって迷惑このうえないのです。 それはある実業団女子ホッケーチームでした。私は興味を持って、彼女たちの戦績をインターネットで調べてみました。すると、みごとにそのシーズンには勝ちがないのです。 監督やコーチは、「なぜ勝てないのか?」と問うよりまず、人間としての基本ができているかどうかを考えるべきでしょう。 あらためて、何のためにチームが存在するのか、その目的を考えたいものです。もちろん「勝つため」ですが、それだけでしょうか。人間的美しさを伴わない勝利に意味はあるでしょうか。 荒井監督は、「たとえ負けても自分のやり方を変えることはなかったと思います」と言っています。           (小早)輝ちゃんはミタ!第一回そうじの力リーダー研修会をミタ!9月4日(水)に高崎市にて第一回そうじの力リーダー研修会が開催されました。弊社の支援先を対象に新たにスタートしたこの研修の目的は、自社内はもちろんのこと他社も含めてそうじの力活動を指導できるリーダー(そうじの力有段者)を養成することです。初回の今回は、3名の参加者でした。 研修のメニューは、朝6時より公園のトイレそうじ実習、場所を移して洗車実習、事務所の整理整頓実習、ディスカッションを半日で行うという内容です。 公園トイレそうじ実習では、「時間を守る」「しっかりと片づける」ことがテーマでした。参加者からは「時間を決めて時間内に終わらせることが大切だとしりました」「汚いものも意を決してやれば、案外苦にならないことを知りました」などの感想がありました。 洗車実習は、1台の車を3人で洗いました。それぞれの個所に適した道具を使うことがテーマでした。ホイールキャップをはずして裏まで丁寧に洗うなど徹底して洗車をしました。「毎日やることが重要だと感じました」「目の行き届かない所をきれいにすることによっていろいろなところに意識が行くようになったと感じる」などの感想がありました。 事務所の整理整頓実習では、デスクの引き出しのくり抜きを作成いたしました。「必要なもの以外にモノを置かないようにするために最も効果のあるやり方だと思いました」との感想がありました。 実習したことを踏まえたディスカッションでは、活発な意見交換が行われました。それぞれの企業での課題なども実例になり議論は深まりました。 「これからの課題、解決策について大変に参考になりました。学んだ点は当社にも取り入れていきたいと思います」との感想がありました。 他社のリーダーたちと交流できるこの研修会は、全体を通して大好評の様子でした。実は、講師の小早は、初めての試みゆえ、緊張のあまり前日はあまり眠れなかったと言っておりました。しかし、その甲斐はあったようです。 次回第二回そうじの力リーダー研修会は11月1日(金)に開催です。  (飯塚)今月の読書から『零戦 その誕生と栄光の記録』堀越二郎著~美しさこそ、「力」なり~著者は零式艦上戦闘機(ゼロ戦)の設計者である堀越二郎。三菱の技師だった堀越が、ゼロ戦がどのようにして生まれ、どう素晴らしかったのかを解説した本です。 中国の戦争が泥沼化する中で、海軍が三菱に要求した次期戦闘機の条件は、「航続距離が長く、戦闘性能も高い」という相反する二つの条件を両立させなければいけない、困難なものでした。 しかも、当時の日本には高馬力のエンジンがなく、非力なエンジンでこれらの要求を満たすとすれば、徹底した軽量化しか方法はありません。 そのため堀越のチームは、ビス一本に至るまで軽量化を図りました。 その結果、最高速度500km/h超、航続距離3,000km超、20mm機関銃2本という当時としては常識はずれのスペックの戦闘機ができあがったのです。 ゼロ戦は太平洋戦争の初期において圧倒的な強さを見せ、英米軍のパイロットたちには「ゼロに逢ったら逃げろ」という命令が下ったといいます。戦況が悪化する中で燃料が不足し、訓練不十分のパイロットが操縦せざるをえなくなった戦争後半は、その活躍にも陰りがみえますが、ゼロ戦をしのぐ戦闘機は最後まで現れませんでした。  昭和の初期はよく「暗黒の時代」などと言われますが、ゼロ戦の存在は、当時の日本人のモノづくりのレベルの高さを証明しています。 ところで私がこの本を読んで一番印象に残ったのは、堀越がゼロ戦を「美しい飛行機にしたい」と願って設計していたことです。実際、ゼロ戦の初飛行を観た堀越は、「美しい!」とつぶやいています。 ゼロ戦を試験飛行したパイロットたちも、「ひじょうにかっこうのいい飛行機じゃないか」と賞賛したと言います。 実は私はこの本を読む直前に、ゼロ戦の実物を見ています。現存する唯一の飛行可能なゼロ戦がアメリカにあって、それが期間限定で所沢の航空発祥記念館に展示されていたのです。 私もこのゼロ戦を間近に見て、第一に「美しい!」と感じました。じっと見ていると、涙が出てくるほどに美しいのです。 ゼロ戦は、単にスペックが優れていただけでなく、美しかったのです。 飛行機に限らず、モノは機能や性能が良ければそれでいい、というものではありません。  「美しい」ものこそ、人の心を打ち、私たち人間社会に価値を生み出すのではないでしょうか。 そうじとは、まさに「美しくすること」です。美しさこそ、力なりです。   (小早)お知らせ◆実践企業事例発表会&見学会(株)マルシャンの見学+小早の講演 新潟県長岡市のパン製造卸のマルシャン。清潔な環境でおいしいパンを作るための「そうじの力」の取り組みをぜひご覧ください。 日時: 11月28日(木)     14:00~15:00 小早講演     15:00~16:00 マルシャン発表     16:00~17:00 マルシャン見学会場所: 株式会社マルシャン本社工場     (新潟県長岡市上前島町36)会費: 3,000円主催: 株式会社そうじの力◆法人向け新サービス出張おそうじデモンストレーション  会社や店舗や現場などのトイレそうじをちゃんとやっていきたい!そう思いながらも、「やり方が分からない」「スタッフにどう教えたら?」そんな時には、おそうじデモンストレーター飯塚輝明を呼んでください。トイレそうじのやり方を実演いたします。一緒に体験して下さい。・1回2時間3名様まで(法人に限る)・費用10,000円(群馬県内)※地域によって費用が変わります詳しいパンフレットをご用意しておりますので、ご請求ください。◆読者プレゼント!「そうじの力」オリジナルビブス  「そうじの力」のロゴマークを胸と背中にあしらったオリジナルのビブス。 地域清掃などの折に着用すれば、映えること間違いなし! このオリジナルビブスを読者の皆様にプレゼントいたします。 応募条件は、本『そうじの力だより』を3人の方に転送していただくこと。 ご希望の方は、3人の方に転送していただいた上で、お申込みください。株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援環境整備(=5S=整理、整頓、清掃、清潔、躾)は、「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。支援に当たっては、まずは調査に伺います。全国どこでも可能ですので、お気軽にお問い合せください。