第115号「そうじの力だより」

事例紹介まずやらなければいけないのは「捨てる」こと~整理がコミュニケーションを促進する~昨年秋から年末にかけて、新たにお手伝いを開始した会社がいくつかあります。地域も業種も規模も違いますが、活動を進めるプロセスは同じです。どの会社でも、最初にやるのは「整理」、つまり要るものと要らないものを分別し、要らないものを捨てることです。ひと口に「そうじ」と言っても、いきなり雑巾を持ってもうまくいかないのです。モノがゴチャゴチャと積んであるような状況で、いくら床や窓ガラスをピカピカに磨き上げたとしても、ちっともキレイには見えませんし、使い勝手も一向に良くはなりません。まずは整理をして、モノの量を減らすこと、スペースを確保することが大事です。香川県高松市の後藤設備工業(株)。歴史の古い名門の会社です。倉庫には、設備機械の在庫や、現場から引き揚げてきた余った材料が山積みになっていました。書庫は、図面をはじめ、カタログやメモ、各種の書類でパンパンに詰まっていました。これらを仕分けしていきます。 図面は設備屋の命ということで、「永久保存」ということになりました。問題は、その他の書類です。ひとつひとつ確認をするのですが、それぞれの保管期限のルールが決まっていないのです。そこで、関係者が集まって、「この書類はどのくらい保管しておくことが必要なのか?」ということを話し合いました。「一応、三年くらい保管しておいた方がいいのではないか」「いや、自分が入社して以来、一度も見たことがない。工事が完了したら捨てていいのでは?」と議論が交わされます。結論はさておき、このように熱く意見が交わされること自体が尊いことです。また、こうした議論が深まってくると、「そもそも、この書類って必要なのかな?」という話になります。業務の見直しにもつながるのです。東京都葛飾区の解体業、(株)コンビック。ここでも昨年末から「そうじの力」の活動が始まりました。解体業ですから、解体現場や廃棄物を保管しておくヤードをキレイにすることも大きな課題ですが、まずは本社事務所をキレイにしよう、ということになりました。本社は司令塔ですから、全社的な影響力があります。本社がキレイになれば、現場サイドも、「我々もキレイにしなければ」という気持ちになります。ここでも、まず「整理」から始めました。デスクの上には、書類が山積みされていました。引き出しの中は、文房具であふれていました。読んでいない書類は捨てました。文房具は、一種類につき一つずつにしました。面白かったのは、「倉庫」という名称で呼ばれていた、離れた場所にあるアパートの一室です。この部屋の中身をよくよく検証してみると、実は要らないモノが大半でした。これらを捨てることで、この部屋自体が要らないということになり、賃貸契約を解約して返すことになったのです。埼玉県八潮市のプレス加工業、(株)内原製作所。創業七〇年の堅実な会社です。業績が好調なこともあり、工場内が手狭になってきています。ただでさえ手狭な工場内ですが、巡回してみると、「何これ?」がたくさんあり、スペースを狭めています。たとえば木製のパレット。機械や金型を修理する際に載せるものだと言います。しかし五枚も六枚も要るのか?と検証してみると、二枚もあれば十分だということで、余計なパレットは廃棄をしました。委員会メンバーの若い人たちが、ワイワイ言いながら整理を進めます。こうした実習を通して、以前はあまり発言をしなかったメンバーも徐々に発言するようになってきました。整理を進めることで場が整うことは、もちろん大きな効果です。しかしそれ以上に、社長と社員、社員と社員のコミュニケーションが活性化するのが、実はとても尊いことなのです。今回ご紹介した三社の社長の狙いも、共通して「若い社員を育てること」「コミュニケーションを促進させること」にあります。           (小早)おそうじデモンストレーター大槻飛鳥の出張おそうじデモンストレーション!「そうじ」と仕事には共通するものがあるわが社のおそうじデモンストレーターは、現在3名。群馬・東京・静岡で、地域の様々な会社にお伺いし、「そうじって、どうやればいいの? そうじの効果ってどんなこと?」の疑問にお答えするべく、一緒にトイレそうじを体験してもらうデモンストレーションを行っています。 私は首都圏(東京・埼玉・神奈川・千葉)を担当しております。最近実施させていただき、印象的だった2社の感想をご紹介します。 1社目、埼玉県飯能市の天ヶ瀬工業の小峰さんの感想です。『全部バラと、汚れていることに気づいた。一気にやるのではなく、場所を決めて少しずつやった方がいいとわかった。すごく汚かったけれど、一回きちんとやって、あとは毎日やれば次からはそんなに汚くなくなるとわかった 』同 根本さんの感想です。『今まで見えていなかったところに汚れや臭いの元があったのが衝撃的だった 』同 大澤さんの感想です。『普段は見えないところもすべて取り外してみるということは、トイレだけでなく他の場所の掃除にも、仕事の上でも生かせる場合が多いと思った 』そうじの笑い声が工場内に聞こえていたようで、「楽しそう!」と他の社員の方々が覗きに来ていました。 2社目、東京都中野区のトーリーコミュニケーションズの鳥澤社長の感想です。『今まではトイレブラシだけでそうじをしていましたが、汚れによって道具を使い分けた方がいいということを知りました。「トイレをキレイにする」という目的は大きく持つが、実施範囲を小さくして、そこをやり遂げることを積み重ねることで、成果が出ていくのだと感じました。仕事と同じですね 』 換気扇のカバーを外してみると、羽の部分にホコリがみっちり!羽1枚1枚ホコリを取りました。「積み重ねだね」と、社長。  感じる部分は皆さんそれぞれ違えども、そうじと仕事には何か共通するものがあるようです。 デモンストレーションは法人対象で1回2時間3名様まで。お呼び頂ければ馳せ参じます。              (大槻)おそうじコラム後始末は前準備~「その場ですぐ」がコツ ~最近は、書類を作るにもパソコンを使うことが多くなってきました。それでも、ハガキや手紙は手書きですので、字を書く機会もそれなりにあります。 字を間違えた時に便利なのが、修正ペンです。ところがこの修正ペン、ひとつ大きな欠点があります。液ダレしやすい、ということです。そのままにしておくと、次に使う際に苦労することになります。ペン先を押しても修正液が出ないばかりか、固まった修正液のカスが原稿面にこびりつき、原稿を台無しにしてしまいます。 これを防ぐためには、使った都度、ペン先をティッシュなどで拭き取るしかありません。面倒だなと思ってそのまましまうと、次回使う際に余計に面倒なことになってしまうのです。 「後始末は前準備」とは良く言ったものです。同じようなことは日常にたくさんあります。 たとえば、靴。雨の中を歩いたり、未舗装路を歩いたりして汚れた時、脱いですぐに汚れを拭き取ればいいのですが、ついつい面倒でそのまま下駄箱にしまってしまいます。 水滴も泥も、乾かぬうちならば比較的楽に除去できるのですが、乾いてしまうと固まって除去するのが大変になります。せめてその場で雑巾やティッシュでざっと拭き取ることさえすれば、靴墨をつけて磨くなどは後で行えばいいのです。 同じことが、ハンコにも言えます。押印したすぐその場で印字面をティッシュなどで拭き取ればいいのですが、面倒だと思ってそのまましまうと、朱肉が固まってこびりついてしまいます。何度も繰り返していると、カスがこびりつき、印字面が不鮮明になってしまいます。 やはり、「その場ですぐ」がポイントです。考えてみるとこのことは、私たちの生活や仕事のすべてに当てはまることではないでしょうか。  気づいた時にその場ですぐにアクションを起こせば、たいていの物事はうまく行くものですが、ついつい「後でやろう」と先延ばしにしてしまいます。 結局これも訓練です。訓練のネタはたくさんあります。たとえば食事の時。ソースや醤油の注ぎ口が液ダレしますね。キレイに拭き取りましょう。ただし、あまり熱心にやると奥さんに煙たがられますので、ほどほどに(笑)。    (小早)小早はミタ!中学校の先生たちの素直なうなずきに驚いた 学校にも「そうじの力」を!一月十三日、島根県益田市立益田東中学校で研修をさせていただきました。支援先である石見交通(株)の小河社長から、「そうじの力をぜひ学校にも普及させたい」とのご要望を受けてのことです。 当日はまず、二年生約八〇名を相手に一時間弱、講演を行いました。中学生相手の講演は何度もしていますが、この後が、初体験でした。 「ぜひ実地指導も」と乞われて、二年生の教室三クラスを回りました。企業の現場巡回指導は私の本業ですが、教室を回るのは初めてです。 学校の教室というのは、毎日そうじをしていますし、何年も人が入れ替わらないというものでもないので、基本的にはキレイです。 その中でも盲点になるのは、引き出しやロッカーでしょう。私は生徒たちに「机の中のものを全部出してみましょう」と投げかけてみました。 さてさて、どんなものが出てくるやら、と期待しましたが、さほど驚くようなものも出てこず、ちょっとがっかり(笑)。私が小中学生の頃には、給食のパンの残りを机の中に入れたままカビを生やしている仲間が何人かいたものですが(笑)、最近はそのようなことはないようです。 それでも生徒たちは、「中身を全部出す」ということに、学ぶところがあったようです。 その後、職員室に移動し、先生方を相手に実地指導を行いました。 先生というのは、多くが整理・整頓が苦手です。案の定、デスクの上も書類が積み上がっていました。 私は失礼ながら、「先生」という職業の人たちは、「他人の話を聞かない」人種だと思っていました。ところが、意外にも先生方が素直に話を聞いてくれたので、びっくりしました。 「デスクの引き出しの中を開けてみましょう」と投げかけてみると、先生方、素直に引き出しを開けます。「中に余計なものがゴチャゴチャ入っていませんか?」と問いかけると、「うわっ、色々入ってるわ」などという声が上がります。実に楽しい雰囲気で実習ができました。 トイレそうじについてもアドバイスしたのですが、聞くところによると、その翌日、有志の先生方が生徒を集めてトイレそうじの講習をしてくれたそうです。 こんなふうに素直で実行力のある先生方が教えているのであれば、子供たちの未来も明るいですね。       (小早)今月の読書から『日本の論点 2015~16』大前研一著~「移民政策」を考える~大前研一氏はいわずと知れた世界的コンサルタントですが、世の中で起きていることを実に正確に偏らずに把握していることに、いつも驚かされます。本書では日本の抱える直近の課題について、客観的に解説するとともに、解決策を提示しています。 たくさんの論点が並べられている中で、私が注目したのは、移民政策です。 我が国は現在、人口減少社会になっています。人口減少で一番問題になるのは、労働人口が減るということです。団塊世代がリタイヤ時期に入り、毎年80万人ずつの労働力が減っています。新規に入ってくる労働力が30万人なので、差し引き50万人の労働力が毎年減少しているのだそうです。 この労働力不足の解決策について、大前氏は「移民政策」だと述べています。 たとえばオーストラリアは、かつては「白豪主義」だったのが、今は移民を積極的に受け入れていて、外国生まれの人口比率が27%に達しているそうです。 表ルートだけでなく、ボートピープルとして島に上陸した人たちを専門の施設に収容し、英語やオーストラリアの歴史や文化を教え、つまりオーストラリア化教育を施し、最後には市民権を与えて国内各地に送り込んでいるそうです。 またドイツは、第二次世界大戦後の労働力不足を補うため、トルコ系移民を大量に受け入れてきたと言います。ドイツ語教育を徹底するなどの移民政策に国を挙げて取り組み、今ではトルコ系の国会議員もいるのだそうです。 私は、今まで移民政策には否定的な意見を持っていました。移民が多くなると、日本の伝統文化が破壊されてしまうのではないか、治安が悪くなるのではないか、といった心配があったからです。 しかしその心配は、移民を野放しで社会に送り込むからこそのものであって、きちんと制度設計することでほとんどが解消できるのではないか、と思うようになりました。 日本社会に役立つ能力や資格、経済力を持った人をきちんと選別する。日本語をしっかりと教え、日本の歴史や日本文化、生活習慣やマナー、作法など、「日本化」教育を施す。 私の支援先企業にも中国人研修生がいますが、彼らも日本人社員と同様にそうじをします。外国人というと、そうじなどしないようにイメージしてしまいがちですが、そうではありません。きちんと教えれば、彼らもそうじをするのです。 そもそも日本という国は、古くは中国大陸や朝鮮半島から渡来人を受け入れ、その文化や技術を取り入れ、混血を繰り返して今の「日本人」があるわけです。今後、移民を積極的に受け入れ、「新日本人」が生まれてくれば、それが新たな日本のエネルギーになり、世界にも貢献できる道かもしれません。      (小早)お知らせ◆小早祥一郎 講演  日時:2015年2月27日(金)14:00~15:30   場所:沼田商工会議所(群馬県沼田市西倉内町669-1)    費用:無料  主催:沼田商工会議所 0278-23-1137◆雑誌に掲載されました!  公益財団法人モラロジー研究所発行の月刊誌『れいろう』平成27年2月号に小早祥一郎のエッセー「依存した人から自立した人へ」(P27)が掲載されました。株式会社そうじの力環境整備(5S=整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を核とした経営改革の支援弊社はそうじを通じた「人づくりと組織づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。