第125号「そうじの力だより」

事例紹介社員の積極性が出てきた! 〈リーダー社員の成長が活動の財産〉~Mランド丹波ささ山校「そうじの力」~兵庫県篠山市にあるMランド丹波ささ山校。島根県益田市にあるユニークな自動車教習所、Mランド益田校の姉妹校です。ここで、ちょうど一年前から「そうじの力」の活動のお手伝いをしています。全社員を六つの班に分け、教習所内の六つのエリアにおいて、それぞれ整理・整頓・清掃に取り組んでいます。活動を始めた当初は、なかなか目に見える変化が感じられなかったのですが、徐々に成果が出てきました。最初は、セオリー通り「整理」、つまり使うものと使わないものを仕分けし、使わないものを捨てること重点的に活動進めました。さほど広くはない敷地ですが、歴史のある会社なので、色々と過去の遺物が溜まっています。特にひどかったのは倉庫です。ここに、イベント用の大道具や小道具、車両整備用の工具類、そうじ道具などがわんさと積もっていました。まずはこれらを仕分けし、使わないものを捨てました。捨てることにより、全体の量がずいぶん減りました。「整理」が終わったら、次は「整頓」、つまり置場を整えていきます。担当グループ内で話し合い、知恵を出し合って、分かりやすく、使いやすく、かつ美しく整えようということで、数回後にはご覧のとおり、見事にキレイに整えられていました。学科教室も、当初はテキストやプリント、ペンなどがゴチャゴチャになっていたのですが、これも「くり抜き」でキレイに整えられました。これならば、まさに「勉強しよう」という気持ちになります。全グループが、当初から一貫して熱心に取り組んでいるのが、床磨きです。一日わずか五分ないし十五分という短い時間を利用して、タイルを一枚ずつ磨き、ワックスをかけるのです。おかげで、当初は黒ずんでいた床も、今はピカピカに明るくなりました。一階と二階を結ぶ階段は、鏡のように、モノの姿が反射するほどに輝いています。この床磨きには、ゲスト(教習生)もボランティアとして参加します。ゲストを巻き込むのが、同校の大きな特徴です。一方で、まだまだ行き届いてない部分もたくさんあります。この「そうじの力」の活動の大きな目的の一つは、「気づき」を高めることです。研修においては、普段なかなか注目しにくい箇所のそうじ実習を通じて、社員の「気づく力」を養っています。たとえば、入口の自動ガラス扉のレール部。ここにゴミやホコリが溜まっています。実際にそうじをしてみると、いかにここが汚れるか、いかに今まで見落としていたかを実感することができます。まだまだ社員の間に温度差があります。それでも、各班のリーダーたちの熱意が、徐々に伝播しつつあります。年に二回ある兵庫県の公安委員会の監査においては、担当者が、「ここまで整っている教習所は、県下にはありません」と言ったそうです。十一月八日、「Mランドフェスタ」を開催し、「千人の大掃除」と題するイベントを開催しました。近隣の会社や住民、そしてゲストなどと一緒に、地域のゴミ拾いや学校のトイレそうじを行う大イベントです。ここに約九五〇人の人たちが集まりました。不可能と思われるような大きな課題も、チームワークで乗り越えていく。同校の社員みんなの底力を示したと言えるでしょう。       (小早)おそうじデモンストレーター大槻飛鳥の おそうじ匠の技机のそうじパート2~整理② 書類にはどんなものがあるか~ 前回、机の上のモノを一旦すべてどかしました。その中で一番多くを占めているものは、書類ではないでしょうか。 モノを捨てる基準の原則は「今使っているかどうか」ですが、会社の書類に関しては、法律で一定期間保管が義務付けられているものもあります。整理に取り掛かる前に、書類を分類してみましょう。<ア.法律で保管が定められているもの(法定保存文書)> 法律で保管が定められているものを「法定保存文書」と言います。法定保存文書には以下のようなものがあります。①人事・労務関係…タイムカードや雇用保険に関する書類など。②経理・税務関係…取引に関する帳簿や経理伝票など。③総務・庶務関係…契約書や保険証券、マニフェスト写しなど。④労働安全衛生関係…粉じん測定記録や健康診断個人票など。⑤その他…消防設備や浄化槽の保守点検簿など 保管期間は書類によって様々です。顧問税理士・社労士・関係省庁に確認をとり、保管期間を記載した一覧リストを作成すると良いでしょう。<イ.法定保存文書以外で、社内で保管しておくべきもの> 法定保存文書ではないものの、社内で保管しておくべき書類もあります。製造業であれば、機械設備の保守点検表や標準作業書、建築関係ならば図面、食品関係ならばトレーサビリティ記録、小売ならば売買契約書など。そして業種を問わず各種のチェックリストなどです。いずれも社業にとって非常に大事なものですが、問題は、これらの保管ルールが明確になっているかどうかです。 顧客との契約上あるいはISOで保管期限が決められていれば、それに従います。しかし、きちんと検分してみると、明確な保管期限が決められていないものもあったりします。 保管期限が決められていない書類については、関係者で話し合い、社としての保管期限や保管方法のルールを決めて明確にしましょう。 法定保存書類であれ、それ以外の保管書類であれ、保管期限を過ぎているのに取っておいてあることが多いものです。まずは期限の過ぎた書類を廃棄しましょう。それだけでも、ぐっと分量が減るはずです。<ウ.何となく取ってある書類> さて、これら以外の「なんとなく取ってある書類」というのが、やっかいです。重要なもの・重要でないもの、共用のもの・個人のものがあります。次回はこの「何となく取ってある書類」の整理の方法についてお伝えします。       (大槻)おそうじコラムなぜ「そうじ」が大切か?~理論・理屈よりも行動が必要~「キレイにすること」について反対する人は、ほとんどいません。しかし、実際に行動に移す人もまた、少ないのが現実です。 「なぜそうじに力を入れる必要があるのか?」と問われれば、いくつもの答えが用意できますが、そうした理論・理屈はさておき、「感じる」ことがとても大切だと思います。 写真は、私が出張先で、早朝ゴミ拾いをしながら散歩していた時に通りかかったある店舗の前です。駐車場の柵の外、歩道と擁壁の間に雑草が伸びています。その雑草の中に、タバコの吸殻などのゴミが多数捨てられています。 まず、ここを通る通行人は、この光景を目にして嫌な思いをするでしょう。「草むしりくらいしたら…」と。 ここは厳密には、同社の敷地ではないかもしれません。しかし、通行人の目から見ると、「敷地」に見えるのです。 敷地内に限らず、「向こう三軒両隣」くらいそうじをしても、罰は当たりません。 もうひとつ忘れてはならないのは、そこで働く人たちの心に与える影響です。雑草が伸びている状態を放置すると、そうした状態が当たり前になってしまい、何とも思わなくなってしまうのです。つまり、「問題」に鈍感になってしまうのです。 また、ひょっとすると、社員の中には、このような状態を見て、毎日嫌な気分になっている人も、いるかもしれません。 下の写真は、私の自宅近くにある美容室の外観です。歩道に面した壁面のサイディングが剥げ落ちて散らかっています。 私はここを通るたびに、嫌な気分になります。きっと通行人の多くも、同じでしょう。 店長や店員は、気づいていないのでしょうか?あるいは、気づいていながら、何もしていないのでしょうか? とうとう、この美容室は閉鎖してしまいました。というより、正確には、移転をしました。きっと、「ここは場所が悪い」と思って移転したのでしょうが、このような状況に手を打たない限り、いくら移転をしても業績は良くならないでしょう。 戦略や戦術をうんぬんするより前に、まずは目の前をよく見て行動することが大切だと思います。        (小早)スタッフ森川剛存のおそうじ実践レポートとんかつこがねの環境整備日記④父から経営を受け継いだ家業の飲食店「とんかつこがね」。長年の営業で汚れた店を少しずつキレイにしています。今月は前回から引き続いて、厨房内と客席の床のそうじの様子を紹介します。 まず厨房内のそうじです。グリル周辺の壁面はステンレスで覆われていますが、毎日油を多く使うのですぐに汚れが付着してしまいます。 油汚れを落とす際にキッチン用洗剤を使用しますが、上の方に噴霧すると液がすぐ垂れてきてしまいます。そこで噴霧した場所にすぐラップを貼り10分程そのまま置いておきます。こうすると液が垂れず洗剤が汚れの中によく入り込み、洗剤の使用量も少なく済みます。あとはラップを剥がして雑巾でキレイに拭き上げます。                  ステンレスの壁の中にひどい汚れが目立つ部分がありました。蛍光灯のスイッチです。コックさん曰く、「洗剤をかけると危ないから、上からただ拭くだけです」とそうじを避けていた箇所です。ここでそうじの基本「外せるモノは外す」を実践します。 油汚れで回りづらくなったネジを取り金属のカバーを外します。外した部品は洗剤を少量入れたお湯にしばらく付け込んだ後、わしで擦ります。カバーを外すことでそうじがし難かった『キワ』の部分まできれいにできました。 ただ厨房内の頑固な油汚れは簡単には落ちません。やはり毎日少しづつそうじを続ける事が一番の解決策です。 二つ目は客席ですが、前回紹介した床の溝そうじは約三週間かけて完了しましたが、段々とキレイになっていくのがよくわかり、作業を楽しく進める事が出来ました。 ある日、溝そうじをしている時に床からの立ち上がりの部分が汚れているのに気付きました。座敷に上がるときにつま先が当たって汚れが付いたと思われます。 このようにそうじをしていると、まだまだ汚れている所がある事に気付きます。そうじをする事で汚れに気付く感度を更に高めていきたいです。     (森川)今月の読書から『神聖喜劇 第一巻~第五巻』大西巨人 著~意志は強し、生命より強し~太平洋戦争勃発直後、対馬要塞の重砲兵聯隊に徴兵で召集された主人公たちを描いた長編小説です。 物語は、まずは軍隊内部の相当に理不尽な上官の言動で始まります。軍隊においては、下級者は上級者の問いかけに対して、たとえ教えられていないことであっても、「知りません」と答えてはいけない。「忘れました」と答えなさい、というのです。少しでも口たえしようものなら、「私的制裁」が加えられます。 その不条理に、理論でもって果敢に対峙していくのが二等兵主人公で、そのやり取りが実にスリリングで面白いのです。 本書は、一見すると戦前の軍国主義を批判しているように思えるのですが、実は現代にも生き続ける日本社会の歪みをこそ、皮肉っているのだと気づかされます。 軍隊においては、上官の命令は絶対服従です。ところがその上官は、絶対に責任を取りません。そのまた上官も責任を取らず、結局、問題に関する責任はうやむやになってしまうのです。  たとえば、兵卒が軍の支給品である武器や被服を不注意で破損したりなくしてしまったりした場合、上官はその責任を逃れるため、本人に対して暗に窃盗をほのめかします。〈上官上級者(班長班附)の真意(言外の意味)は明白であろう。それは、表面における窃盗の禁止であり、内実における窃盗の奨励である。〉〈だが、それと一般社会の様相とを、私は、そのほとんど不可避的に下層者を犯行へ追い込んでからに発覚の際には指弾科罰することにおいて、また表面と内実との離反落差において、本質上相似型とも考えた。〉 現代の企業組織や官僚機構、政治家においても、この「総無責任体質」は変わらずです。 軍隊の各階級における給与の違いが描かれるくだりがあります。「准尉、少尉が二等兵・一等兵の14倍、中尉が17倍、大佐が77倍、大将が126倍」というものすごい格差があります。しかし現代社会においても、正社員とパート社員・派遣社員の格差、キャリア官僚とノンキャリア官僚との格差などが厳然と存在します。しかもその格差が、必ずしも実力によるものではなく「出自」によってほぼ固定され、変動することがない、という意味においても、戦前の軍隊と現代日本社会に驚くほどの共通性が見出されます。 さて、面白いのは、軍隊というのは常にそうじに取り組んでいるということ。〈この被服の積みかさねの前面が鉋をかけられた一枚板のように綺麗な平面になるのが、上手な「整頓」である。〉〈銃剣掃除は、全新兵にとって、ほとんど毎夕食後自由時間における行事のひとつではある。〉〈砲側は、文字どおり「塵一つないように」清潔に清掃せられていた。〉 本書はやや特殊な文体・構成のため、読みにくい部分もあるのですが、最近マンガ化されたらしく、マンガ版ならば読みやすいかも知れません。      (小早)お知らせ◆「そうじの力」セミナー日程  ・12月10日(木)15:00~16:30 群馬県前橋GreenTomorrow 講師:飯塚輝明 ・1月19日(火)17:00~18:30 静岡県  沼津商工会議所 講師:小早祥一郎◆「そうじの力」企業見学会  ・12月19日(土)13:00~16:00     (有)ファイン 福井県鯖江市   ※印刷工場の事務所と工場見学     および小早の講演です。◆読者プレゼント! 「そうじの力」オリジナルキャップ  ご希望の方に差し  上げます。※数に  限りがあります。     株式会社そうじの力そうじ(=環境整備=5S=整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を通じた経営改革の支援弊社はそうじを通じた「人づくりと組織づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。