第128号「そうじの力だより」

事例紹介自ら工夫・改善する風土が育ってきた! 〈過酷な環境だからこそやりがいがある〉~(株)マツバラ「おそうじパワーアップ活動」~岐阜県にある鋳造工場、(株)マツバラ。ここで弊社の支援により「おそうじパワーアップ活動」が始まったのは、今から六年前です。鋳造工場というのは、鋳型を砂で作成するため、製造過程で大量の粉塵が発生する過酷な環境です。ですから、この工場をキレイにしようというのはかなりの難題なのですが、「経営の最重要課題として未来永劫取り組む」という方針の下、全社一丸となってそうじに取り組んでいます。毎月、各グループがそうじの計画書と活動レポートを提出し、私と事務局が現場を巡回して取組み状況を確認しています。粉塵の舞い散るこの工場で、社員さんたちは、ライン作業の合間のちょっとした手待ち時間に、ホウキを持って掃きそうじをする、という習慣がついてきました。それでも、次から次へと粉塵は舞い降りてきます。そのたびに、彼らはホウキを持って掃いているのです。真っ赤に燃えるドロドロの鉄のお湯を注いだ次の瞬間には、ホウキを携えて床をさっと掃いているのです。その姿には本当に頭が下がります。機械や工具の補修をするための部品をストックしてある棚。この棚にも粉塵が溜まっていますが、それを、一つひとつ取り出して、拭いています。いっぺんにはできません。担当者は、いわゆる星取表のようなものを作って、一つひとつ塗りつぶしていっています。さて、そうじといっても、掃きそうじや拭きそうじだけしていれば良いというものではありません。整理、つまり不要なものを処分することも非常に大切です。不要なものがあると掃いたり拭いたりする際の邪魔になり、スペースも狭まってしまいます。品質保証部においては、長らく使っていなかった製品サンプルを思い切って廃棄し、その棚を撤去しました。それによって大きなスペースが生まれ、作業効率もグッと良くなりました。検査係においても、今まで「何となく」そこにあったデスクが、よくよく考えてみると実は要らないものだったことに気づき、デスクを処分することにしました。整理と似て非なるものが整頓です。整頓とは、置き場を決めて明記すること。整頓ができていると、場が乱れにくいのです。とはいえ、粉塵が舞い、火花が飛び散る鋳造工場においては、整頓するのも楽ではありません。しかし、現場の社員さんたちは、色々と自分たちで工夫して整頓に取り組んでいます。たとえば、熱して熔けた鉄に添加する接種剤をすくう柄杓。この柄杓の「受け」を、丸パイプと鉄の端材を溶断・溶接して作成しました。丈夫なので、壊れる心配もありません。これで、柄杓がその辺に放っておかれることもなくなり、場の雰囲気が締まるようになりました。「すべての物に表示と標識を」と呼びかけた結果、細部にわたって表示と標識が施されるようになりました。毎月の私の訪問日には、「パワーランチ」と題して、社長と各部署の委員会メンバーが一堂に会して、豪華弁当を食べながらの意見交換が行われます。このパワーランチが、社長と社員、そして社員同士のコミュニケーションを促進する、大切な場となっています。もうひとつ、同社が素晴らしいのは、事務局が作成する議事録です。私の指摘事項や社長からの指示などを簡潔明瞭に記載し、各部署がそれを基に活動を行えるようにしています。社長、役員、委員会メンバー、事務局、そして現場の社員がそれぞれの役分をまっとうしているのです。(小早)おそうじデモンストレーター大槻飛鳥の おそうじ匠の技机のそうじパート5~整頓① 文房具のくりぬき~ ものを捨て切ったら、整頓に移ります。整頓とは「置き場を決めて、明記する」ことです。今回は引き出しの整頓のやり方のひとつ「くり抜き」を紹介します。くり抜きをすると3つ良いことがあります。①リバウンドを防げる「整理したのに、数ヶ月したら整理前の状態に戻ってしまった…」ということはよくあります。ものの置き場を決め、それ以外を置けないようにすることで、リバウンドを防げます。②ものがなくなりにくくなる置き場所を決めると、そこにものが戻っていないときに「どこに行ったのだろう」とおさまりが悪くなります。元の場所に戻しやすくなるので、ものがなくなりにくくなります。③ものが増えにくくなるくり抜きは結構手間がかかります。一旦作ると、ものを増やすためにはまた最初からやり直さなければならず、面倒です。結果、ものが増えにくくなります。 それでは早速取り掛かりましょう。用意するものは、厚さ5mm程度のボード材、通称「プラダン」とペン、カッターです。<手順>①引き出しの大きさに、スポンジを切ります。②スポンジの上に、ものを1つずつ配置します。※手に取って使いやすい向きはどちらか、置く「向き」に気をつけます。※引き出し手前にはよく使うもの、奥には使う頻度の低いものを配置すると良いでしょう。③ペン等で型どりをします。④型どりをしたら、配置した文房具を一旦どかし、カッターでくり抜きます。厚みがあるので、慎重に…。⑤くり抜き終わったら、プラダンを引き出しにセットします。⑥ものと置き場が1対1になるように、「表示」と「標識」をします。例えば、『大槻 ハサミ』というシールを2枚つくり、一つはハサミに(表示)、ひとつはハサミの形にくり抜いた場所に(標識)貼ります。⑦文房具をはめて、完成! この「くり抜き」を行ったからといって、必ず、「ものが元の場所に戻るか」といったら、そんなことはありません。大切なのは、「使ったものをちゃんと元の置き場に戻そう」という心がけです。 「作って満足!」ではなく、「きちんと戻せば気持ちいい!」になったら大成功。 しかし何はともあれ、くり抜きするには「整理」が大前提です。くり抜きを始める前に、ぜひ今一度「捨て切ったか」確認を!(大槻)おそうじコラム元に戻すことの大切さ~行動と意識の因果関係~仕事が、しょっちゅう新幹線に乗って出張しています。そんな新幹線の中で、時々目にするのが、グループが座席を回転させて向かい合い、ワイワイと盛り上がっている光景です。中には、酒が入り、かなり賑やかなグループもあります。 そういう人たちの中に、目的地に着くと、何の片づけもせずに、そのまま降りてしまう人たちがいます。 回転させた座席を戻すことはしません。もちろん、倒したリクライニングも元には戻しません。中には、食べた弁当のクズや飲んだビールの空缶もそのままにして去って行ってしまう人たちもいます。 使ったものを元にあった場所に戻す。このシンプルなことが、できるようでできていません。 このことは、何となく「自立」や「責任」といったことに密接に関係しているように思えるのです。 たとえば、子どもが脱いだ服をその辺に散らかしっぱなし、というのはよくあることです。子どもの意識の中に、「お母さんが片づけてくれるだろう」という期待があるのでしょう。自立していない子どもならば話は分かりますが、大人の場合はどうでしょうか。 回転したままの座席は、誰が元に戻すのでしょうか?放置したクズや空缶は、誰が片づけてくれるのでしょうか?「誰かがやってくれるだろう」そんな意識なのかもしれません。 そこには、自己の責任の放棄、あるいは社会に対する甘えがあるように思えます。 時々、「景気が悪いので、会社が儲からない」とぼやく人がいますが、そういう人たちと同じ匂いがするのです。景気が悪くても儲かっている会社は、いくらでもあります。衰退している業界の中でも、ユニークな取り組みで伸びている会社もあります。 誰かがやってくれるだろう、という意識では、会社の業績は「景気次第」「業界の動向次第」ということになってしまいます。 しかし、自立した人ならば、「何とかするのは自分だ」という意識があるはずです。 座席を回転させたのであれば、その座席を元に戻すのは自分です。服を脱いだのであれば、その服を洗濯カゴなり衣類箪笥にしまうのは、自分です。 場を整えることは、世に言われるように、「キレイ好き」かどうか、ということではないように思います。自立心を養うためににも、まずは「使ったものを元に戻す」という単純なことに取り組みたいものです。(小早)スタッフ森川剛存の おそうじ実践レポートとんかつこがねの環境整備日記⑤父から受け継いだ家業の飲食店「とんかつこがね」。長年の営業で汚れた店を少しづつキレイにしています。今月は厨房内のレンジフード(ステンレス製のおおいと換気扇)のそうじの様子を紹介します。 換気扇の周辺は、店の中で最も汚れが溜まっている場所でしたが、正直自分でも後回しにしていました。コックのSさんも半ば諦めたような感じで、「換気扇をキレイにするなんて絶対無理ですよ」と言うくらいに汚れている状態でした。 12月の初頭から作業を始めましたが、そうじの大原則 『時を守る』 を意識して作業時間は30分とし、とにかく可能な限り毎日そうじを続けようという事の、2つを決めて作業に臨みました。 現在作業を始めてから約3カ月が経過して、2つの変化を感じています。 1つ目はやはり見た目の変化です。最初の2、3日間は、換気扇の枠に付着した油汚れをスクレイパーでこそげ落したのですが、金属部分が現れてきてすぐに明らかな違いを感じる事ができました。 換気扇の羽やコンセント周辺なども、少しづつ毎日そうじをする事で、以前とは見違えるほどキレイになってきました。 まだまだ汚れが残っている場所は沢山ありますが、汚れを落とす為にいろいろな道具を使ってみたり、工夫をしてみたりと、楽しみながらコツコツとそうじを続けています。 2つ目の変化はコックのSさんの様子です。元々キレイ好きではあったのですが、これまでは見えている所だけをそうじするという感じでした。 しかし私が毎日換気扇のそうじをする様子を横目で見ているせいか、段々と自主的に汚れている所をキレイにするようになってきました。 また今迄なら見過ごしていたような所もそうじをするようになり、気付きの感度が少しずつ上がっているように思われます。 場をキレイにする事はもちろん大事ですが、そうじは人を成長させてくれるという事を実感しています。(森川)今月の読書から『一流の人をつくる整える習慣』小林弘幸著~形を整えると、心も整う~著者は医師で、自律神経研究の第一人者。多くの一流スポーツ選手のコンディショニングアドバイザーをしている立場から、「実力を出す方法」を伝授してくれます。 著者は言います。〈世の中には「実力をつけたい」「スキルアップしたい」といった、いわゆる「能力アップ」の部分においては、意識を高く持っている人が大勢います。ところがその反面、「今持っている力を十分に発揮する」という「能力を出し切る」部分に意識を向けている人は本当に少ないように感じます。〉と。 そして、100ある力を「安定的に90出せる」準備やコンディションづくりの方法について教えてくれます。 たとえば、第一章の第一項のタイトルは、『鞄の中身を探した瞬間に、あなたは乱れている!』です。本文を見て見ましょう。〈モノを取り出すために、鞄の中を探し回る。じつは、そんな些細なことで私たちの自律神経は乱れ、仕事への集中力は大きく下がってしまいます。〉〈だからこそ、常にコンディションを整えることが重要で、その第一歩が鞄の中を整理するということなのです。必要なものと、必要でないものは分ける。必要でないものは鞄から出す。鞄の中は、ポーチなどを使って、どこに、何を入れておくのかを明確にしておく。そんな単純なことから始めてください。〉とあります。 そして、『ほしい情報は「ひと目でわかる状態」にしておく』というタイトルの項が続きます。〈じつは、私たちは「ほしい情報を探すため」に多大な時間を無駄にしています。それだけでも十分もったいないのですが、その探している時間に、焦ったり、イライラしたり、不安になることで自律神経は乱れ放題になっています。自律神経というものは一度崩れると3~4時間は戻りません。・・・〉 なるほど! 『気分が乗ってこないときほど手足を動かす』という項も印象的です。〈会社に来て「さあ、仕事をしよう」と思っても、なかなか気分が乗ってこない。そんな日があるでしょう。こんな場合、たいていの人は「やる気を出そう」とか「気持ちを切り替えよう」などメンタルの部分で何とかしようとするものですが、医者の立場から言えば、それはまるで科学的ではありません。気分が乗らないとき、集中力が散漫になっているときに一番大事なのは、「動くこと」。・・・〉 お見事! 最後に、含蓄のある『すべての行動の前に「何のためにやるのか?」を考える』という項です。〈目的を意識すれば、仕事の仕方も変わってきます。・・・もし、あなたが目の前の仕事に対し「つまらない」「やる気が出ない」「こんなことをしても意味がない」と感じているとしたら、それは目的をしっかり理解していないからだと私は考えます。・・・目的を考えることで、自身のモチベーションを高め、行動の質をも向上させてくれるからです。〉 さすが! 全編、医師の立場から「そうじの力」を解説してくれる本です。(小早)お知らせ◆「そうじの力」セミナー日程  ・3月15日(火)18:00~19:30 東京都  台東区民会館 講師:小早祥一郎  参加費は一人3,000円(税込)  お申し込みは、巻末の連絡先まで。◆小冊子無料頒布『働くってどういうこと?』小早祥一郎が中学校で講演した講演録です。ご希望の方に無料で差し上げます。ご請求は巻末の連絡先まで。◆読者プレゼント! 「そうじの力」オリジナルジャンパー ご希望の方に差し上げます。株式会社そうじの力そうじ(環境整備=5S=整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を通じた経営改革の支援弊社はそうじを通じた「人づくりと組織づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。