2017年05月31日
2:6:2の法則
よく「2:6:2の法則」という言葉を聞きます。
組織の中には、物事に前向きに積極的に取り組む人、優秀な人は2割いて、逆に消極的、否定的で劣等な人が2割、残りの6割はその中間もしくは日和見的である、という法則です。
これはどんな組織にも当てはまる法則らしく、いろいろな経営者の方々のエピソードを聴いていても、必ずと言っていいほどに、耳にします。
先日、先代から引き継いだ会社の経営改革を乗り越えた社長さんから、興味深いお話を伺いました。
改革前の同社においては、一部の社員が工場の床に唾を吐くことが日常茶飯事だったそうです。改革をはじめた当時は、就業規則に「床に唾を吐いてはいけない」と明記したといいます。この、床に唾を吐くような問題社員が、まさに2割いたとのこと。
さまざまな改革を経た今では、もちろん唾を吐く社員は一人もいません。話を伺っていても、同社が素晴らしい会社であることが伺えるお話でした。
ところが、そういう素晴らしい会社においても、やはり2:6:2の法則は当てはまるのだそうです。床に唾を吐く社員はいないけれども、会社の取り組みに対して消極的、否定的な社員は、2割ほど存在すると。
なるほど、そういうものなのか、と感心しましたが、考えてみれば、それは素晴らしいことではないか、と思えるのです。
同社の事例で言えば、さまざまな改革の努力によって、全体のレベルの底上げが行われた、ということでしょう。現在でも2:6:2の法則が成り立つとはいえ、少なくとも床に唾を吐くような社員はいなくなったわけです。
同社における下位の2割の社員の実力は、一般的な中小企業における普通レベルと同等かも知れませんし、ひょっとすると、劣悪な会社における優秀レベルに相当するかも知れません。
私は朝、近所を散歩しながらゴミ拾いをしているのですが、時々、田んぼの中に大量のタバコの吸殻が打ち捨てられている場面に遭遇します。明らかに邪悪な人間が、意図して捨てているものです。
もし、そういう人間と一緒にゴミ拾いをすることができれば、さすがにその人も事の意味を理解して、そのような行為はしなくなるでしょう。まあ、心底に邪悪な人間ならば、そもそもゴミ拾いには絶対に参加しないでしょうが・・・・・。少なくとも組織であれば、そのような人間は去っていくでしょう。
いずれにしても、その組織において、大量のタバコの吸殻を意図して田んぼに打ち捨てる人がいなくなるわけです。
こうした意味で、「そうじの力」には、組織の全体の底上げをする力があると考えます。
足下に落ちているゴミを拾う、脱いだ靴を揃える、モノを散らかしたら片づける。そんな小さな行動の積み重ねが、強い組織を作っていくのでしょう。