2018年07月16日
5Sに取り組んでいるのにあなたの会社が変わらない10の理由 その3「時間を確保しない」
世の中、「5S」「環境整備」などに活動に取り組んでいる会社は、決して少なくありません。
しかしながら、そのすべてが「期待するような効果」を上げているわけではないようです。
「やってみたけれど、うまくいかなかった」
「一過性で終わってしまった」
「続けてはいるけれど、マンネリ化してしまっている」
…
「期待するような効果」を上げられない理由は、一体何なのでしょうか?
その理由を解き明かすのが、本シリーズコラム。
全10回にわたってお伝えしていきます。
目次
そうじは「仕事」じゃないから時間外?
あなたは、”そうじ”のための時間を、就業時間内にしっかりと確保しているでしょうか?
「そうじは仕事ではないのだから、就業時間内には特別な時間は設けていない」
と言う経営者がいます。
「そうじをするのは当たり前。だから、各人がそれぞれに時間を見つけて取り組むべき」
と言う経営者もいます。
私は、
「そうじは企業にとって欠くべからざる大切な仕事である」
と考えます。
大切な仕事には、対価が伴います。
就業時間に組み込まないということは、社員に対して
「そうじは我が社にとって大切な取り組みではない」
というメッセージを発しているのと同じことです。
「私自身は早朝(時間外)にトイレそうじをしている。そうじとはそういうものではないか」
という社長もいるでしょう。
ですが、経営者と社員は違います。
今の時代、そのような滅私奉公的な働きを期待するならば、それはいわゆる「ブラック企業」。
そうじを就業時間内に組み込むことは、
「わが社はそうじを大切な仕事だと考えています」
と内外に宣言するということなのです。
「忙しくて時間が取れない」は本当ですか?
「忙しくて、”そうじ”をする時間など取れない」
という話をよく聞きます。
このご時世、人手不足も相まって、忙しくない企業などないでしょう。
忙しいのは、どこも同じです。
だからこそ、社長が
「1日○分、必ず就業時間内に”そうじ”の時間を確保しよう」
と言うことが大切です。
「1日○分、業務時間をそうじに充てる」
ということは、極端に言うと
「1日○分で得られる、目先の売上を犠牲にする」
ということです。
でもそれは同時に、
「我が社の将来のための投資に充てている時間」
であるのです。
私はまず、一日10分間、そうじの時間を確保することをお勧めしています。
一日の就業時間を仮に8時間として、そのうちの10分間を割けないはずがありません。
(仮に割けないほど忙しいのであれば、自社が抱えている課題が見えていないまま仕事をしている可能性があります。
それこそ今すぐにでも”そうじ”に取り組むべきです)
「たかだか10分間では何もできない」
と、はなから諦めてしまうかもしれません。
そんなことはありません。
ある工務店では、毎日、現場から帰ってきた後の10分間を、”そうじ”の活動に充てました。
これを一年間続けた結果、資材や道具で溢れかえっていた社内から、見事に不要物がなくなりました。
今では、使いやすい空間へと生まれ変わっています。
たかが10分、されど10分。
「塵も積もれば山となる」のです。
時間の確保の仕方は「社風」そのもの!
具体的に、”そうじ”の時間をどこに設定するか。
朝の始業時か、昼食後か、夕方の終業時か…、それらは業種や職種次第で変わってきます。
また、毎日のそうじに加えて、週に一回、あるいは月に数回、活動日を設ける必要もあるかもしれません。
ある会社では、
「週に一回、全員で集まって活動を行おう」
ということになりました。
しかし定時間内では、お客様からの電話が入ったり、直行直帰があったりして人数が集まりません。
そのため、
「活動日だけは始業時間より45分早く出てきて、早朝に活動を行えないか」
という検討をしていました。
しかし不思議なことに、その会社では「会議」「研修」などの名目だと必ず全員が集まります。
結局「定時間内では集まれない」というのは、彼らの「思い込み」であり、「”そうじ”に対する意識の低さ」とも言えるでしょう。
「集まる」と覚悟をすれば、集まれるのです。
また、別のある会社では、毎月1日、すべての業務を止めて、全員でそうじに取り組んでいます。
もちろん、その日一日分の売り上げは落ちます。
それでも、
・そうじをすることによって機械や道具が整備される
・働く人たちの心身をリフレッシュする
など、長期的な視点に立った時のメリットの方が大きいと判断して、そのように取り組んでいます。
このように、時間の確保の仕方は、その会社の「社風」がそのまま反映されるものです。
逆に言えば、社風を変えるためには、思い切った時間設定が必要ということも言えるでしょう。
まとめ
そうじとは、単に「会社をキレイにする活動」ではありません。
私たちの定義するそうじとは、【本質を明らかにし、究めること】。
モノにアプローチしながら、実はそこにまつわるコトの問題をあぶり出すアプローチなのです。
時間の設定の仕方には、「ものの見方」や「考え方」が現れます。
目先の売り上げにこだわる経営者は、まとまったそうじの時間を確保したがらないかもしれません。
面倒なそうじをしたくない社員は、設定された時間帯が不都合であることを口実に、そうじをサボるかもしれません。
そこには、シビアなせめぎ合いがあるはずです。
このプロセスこそが、会社を変革していく上で必要な過程なのです。
「わが社にとって最適な時間設定はどのようなものか」を、社内で徹底的に話し合って答えを見つけていきましょう。
★5Sに取り組んでいるのにあなたの会社が変わらない10の理由 目次
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