2018年07月22日

5Sに取り組んでいるのにあなたの会社が変わらない10の理由 その5「『モノ』へのアプローチにとどまっている」

世の中、「5S」「環境整備」などに活動に取り組んでいる会社は、決して少なくありません。

しかしながら、そのすべてが「期待するような効果」を上げているわけではないようです。

「やってみたけれど、うまくいかなかった」

「一過性で終わってしまった」

「続けてはいるけれど、マンネリ化してしまっている」

「期待するような効果」を上げられない理由は、一体何なのでしょうか?

その理由を解き明かすのが、本シリーズコラム。

全10回にわたってお伝えしていきます。

★他の回はこちらよりどうぞ

 

 

10の理由5:モノへのアプローチにとどまっている

 

5Sって、そもそも何?

 

「5S」という言葉はビジネス用語として定着していますが、そもそも5Sとは何でしょうか?

 

一般的には、

「整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)」

の頭文字をとって5Sと称します。

 

では、それぞれの意味は何でしょうか。

おおむね以下のように解釈されているようです。

 

整理=必要なものと必要でないものとを分けて、必要でないものを捨てること。

整頓=必要なものをだけを誰もがわかるように置き場を決めて表示すること。

清掃=身の回りのものをきれいにして、いつでも使えるようにすること。

 

ここまでは何となく分かります。

問題は次の清潔と躾です。

 

清潔=整理、整頓、清掃を維持すること。

躾(しつけ)=整理、整頓、清掃、清潔を習慣づけ維持し、更により良い方法を探究すること。

 

上の3つに比べ、なんだか独立した項目として設ける必要がないように思えます。

 

このように見てみると、5Sといっても、意味するところは曖昧な部分があります。

それぞれの意味を厳密にとらえることなく活動が行われている例も多いようです。

そして、結局のところ、「5S」というと、「見栄えを良くする活動」のようにとらえられているのではないでしょうか。

 

 

見栄えを良くすることが目的?

 

確かに、見た目を良くすることも大切です。

乱れていたり汚れていたりするよりは、社内がスッキリとキレイであるほうが良いでしょう。

 

しかし、それが目的なのでしょうか?

見た目を良くすることが目的になってしまうと、「見えるところしかやらない」という問題が起こってきます。

そりゃそうです。

見栄えが良くなればいいのですから、わざわざ他人から見えないところをキレイにする必要はありません。

 

しかし、実は見えないところほど不要物や汚れが溜まりやすいもの。

後回しにしたい面倒な案件を隠してしまいたいもの。

つまり、見えない所にこそ「問題」が隠されているのです。

 

また、見栄えを良くすることが目的になってしまうと、

「社長や上位者にチェックされ、評価される部分だけキレイにする」

ということが起こります。

 

これでは、「気づき」の感度は高まりませんし、自発性や創意工夫の風土も育ちません。

たとえ見栄えだけ良くなったとしても、それが一体何になるというのでしょうか?

「見栄えだけを良くする」ことは、「問題の先送り」をしているのと同じことです。

 

 

「モノ」を通じて「コト」にアプローチするから、会社が変わる

 

私は、“そうじ”の目的は、

 ・各人が本来の持てる力を発揮できるようにする

 ・互いに気持ち良く仕事ができるようにする

ことであると考えています。

ではなぜその目的のために、「モノ」にアプローチするのでしょうか?

単純に言えば、いきなり「コト」にはアプローチしにくいからです。

 

たとえば、

「表面には見えない本当の問題が隠されていないだろうか?」

といきなり探ってみたところで、なかなか実態は見えてきません。

 

しかし、書類が山積みになっていたり、道具が散乱したりしている現場に着目してみれば、そこには何かの問題が潜んでいることがあぶり出されます。

 

そして、その現場を整える過程で、

「意思疎通がうまくいっていない」

「手順やルールが明確になっていない」

「業務量が偏ってしまっている」

「社長が言っていることが朝令暮改だ」

という「本質の問題」が把握され、その改善のための手が打たれるのです。

 

つまり、“そうじ”とは「モノ」を通じて「コト」にアプローチをする取り組みなのです。

 

「5S」が「モノ」に対するアプローチにとどまるならば、「コト」の問題に辿り着くことはできません。

そして「コト」、つまり本質的な問題に手が打たれずに放置されてしまっている限り、「会社が変わる」はずがないのです。

 

 

まとめ

 

私たちが、なぜ「5S」と言わずに「”そうじ”」と言うのか。

それは、5Sには上述したような問題があるからです。

私たちの定義するそうじとは、【本質を明らかにし、究めること】。

モノにアプローチしながら、実はそこにまつわるコトの問題をあぶり出し、改善していくアプローチなのです。

見栄えを良くすることが主眼だと考えているならば、残念ながらどれだけやっても、「コト」つまり「本質の問題」にはたどりつけないでしょう。

 

10の理由まとめ5:問題の本質である「コト」にアプローチしよう

 

★5Sに取り組んでいるのにあなたの会社が変わらない10の理由 目次

その1 「社長がやらない」

その2 「組織を作らない」

その3 「時間を確保しない」

その4 「現場の取り組みだと思っている」

その5 「『モノ』へのアプローチにとどまっている」(←本記事)

その6 「リアクションがない」

その7 「目的を取り違えている」

その8 「経営計画書に明記していない」

その9 「楽しくやっていない」

その10 「社長が約束を守らない」

 

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