2019年04月06日
人も組織も一緒に育つ!中小企業の人材育成は「環境整備」から!
少ない人数で業務を回していかなければならない中小企業にとって、人材育成は大きな課題です。
各々がマルチタスクをこなしながら、チームとして成果を上げ続けていける組織にしていきたい。
でも、ぎりぎりの人数で日々を回しており、研修にかける時間が作りだせない…。
そんな社長さんにぜひおすすめしたいのが、”そうじ”(=環境整備)です。
▼目次 1.人材育成の研修やセミナーは有効か? 2.なぜ環境整備がよいのか? 3.成功事例 |
1.人材育成の研修やセミナーは有効か?
(1)業務遂行上必要な教育
人材育成というと、すぐに思い浮かべるのが、研修やセミナーです。
ちょうどいまは新入社員が入ってきた時期。
いまごろはどこの企業でも、何らかの形で新入社員研修を行っていることでしょう。
私も、自分が日産自動車に勤めていた頃から、さまざまな研修を受けてきました。
もちろん、そうした研修の内容が、仕事上あるいは私生活上で役立つこともあります。
新入社員にとっては、社会人として最低限のマナーを身に着けることは必要ですし、中堅以上の社員にとっても、業務遂行上必要になる技術的な素養は、研修になどによって学ぶべきでしょう。
建築や工事、保険などの資格を取るための教育も、必要不可欠です。
(2)リーダーシップを育てる研修は?
ただ、世間一般的に、「わが社は人材育成がうまくいっていない」という場合、多くは、自発性や積極性、協調性、あるいはリーダーシップといった観点での育成がうまくいっていないことを指す場合が多いかと思います。
そうした、自発性や積極性、協調性、リーダーシップなどは、どうやったら身に着くのでしょうか?
それらを専門にしたセミナーや企業研修もあります。
ゲームを取り入れたり、グループワークを行ったり、宿題を出してそれを実践させたり、中には雑踏の中で大声を出させたり、といったものもあります。
それらの研修・セミナーに効果がないとは申しません。
実際、私もこれまでいろいろな研修・セミナーを受講してきて、その都度、良い学びを得ることができました。
ただ、いかんせん、研修は研修。
研修を受けている最中はモチベーションが上がっても、研修が終了してしまうと、その効果は段々と薄れてきてしまいます。
一過性で終わってしまうのですね。
2.なぜ環境整備がよいのか?
(1)環境整備は日々の継続で定着する
そこで、私がお勧めするのが、環境整備(そうじ=5S)を通じた人材育成です。
環境整備は、毎日行います。
毎日決められた時間に、モノを整理したり、整頓したり、掃いたり拭いたり磨いたりします。
環境整備に終わりはありません。
あるエリアがキレイになっても、別のエリアがあります。
すべてのエリアがキレイになっても、さらに高いレベルを目指して、あらためて整理、整頓、清掃に取り組みます。
こうした毎日の取り組みの中で、少しずつ少しずつ、自発性や積極性、協調性、リーダーシップなどが養われていくのです。
(2)モノを動かすことが心を動かすことにつながる
ではなぜ、”そうじ”(環境整備=5S)に取り組むと、自発性や積極性、協調性、リーダーシップなどが養われていくのでしょうか?
ゴミを掃いたり、床を磨いたりするのは、面倒なことです。
できれば避けたいこと。
でも、それをあえてやり続けるのです。
やりたくないけどやらなくてはいけないことを続けることで、自発性や積極性が生まれてきます。
また、モノを捨てたりモノを動かしたりする際には、自分一人で勝手に行うわけにはいきません。
必ず、周囲の人と相談したり確認したりすることが必要になります。
そこで、コミュニケーションが生まれ、協調性が育まれます。
そして、そうした活動に積極的に取り組む人の中から、リーダーが生まれてくるのです。
こうした「意識」の変化をもたらすために、「観念」だけで変えようとするのは限界があります。
環境整備のように、具体的にモノを動かし、身体を動かすことで、心が動いていくのです。
ここに、私が、「人材育成は環境整備を通じて行うべき」とご提案する理由があります。
3.成功事例
(1)消極的だった社員が積極的に変化!
福井県鯖江市にある(有)ファインは、”そうじ”(=環境整備、5S)をつうじて人材育成に成功した好事例です。
当初、社員さんたちは、自ら何かにチャレンジするということが苦手で、社内のコミュニケーションも欠けている状況でした。
お互いの不平不満や愚痴などもあったようです。
ところが、環境整備を導入するようになって、ガラッと社内の雰囲気が変わりました。
皆が自発的・積極的になり、和気藹々としたコミュニケーションが生まれ、社員の中からリーダーが育ってきました。
社長の藤井高大氏は、「”そうじ”(環境整備)のおかげで、社員みんなの意識が前向きに、そして明るく変化し、社内にまとまりができてきた」と述懐しています。
(2)新たなリーダーが育ってきた!
島根県の石見交通(株)は、地元の路線バスを運行する会社です。
会社の中には運行部門、管理部門、事務部門、整備部門など、さまざまな職種があり、互いの交流も少なく、横の連携は活発ではありませんでした。
しかし、「そうじの力」の活動(環境整備)を部門横断で行う中で、部門の壁を超えた横のコミュニケーションが生まれてきました。
また、「そうじの力委員会」の委員のメンバーには、あえて、役職や肩書にとらわれず、比較的若手からメンバーを選んだのですが、そのメンバーに任命された人たちが、とてもよく頑張って旗を振ってくれました。
そして、その委員会の委員長や副委員長を務めた人たちが、とても良いリーダーシップを発揮してくれたのです。
小河英樹社長は、「若手を委員会のメンバーにしたのが非常に良かった。この活動の中心になっている人たちが、将来、会社の中心になる」とコメントしています。
(3)経営者マインドを持った社員が育った!
東京の(株)小河原建設は、社員30名ほどの建築会社です。
「東京一キレイな現場」を目指して、長年、環境整備(そうじ=5S)に取り組んでいます。
今から4年ほど前のこと。
小河原敬彦社長が、大きな事故に遭われて、大怪我を負ってしまいます。
怪我の治療とリハビリのため、約1年半の間、まるっきり社長不在になってしまいました。
中小企業において、社長が一年半不在というのは、致命的です。
実際、社員さんたちの中には、お取引先から「残念だけど、おたくは潰れるね」と言われた人もいたそうです。
ところがどっこい、その社長不在の一年半の間に、なんと過去最高売上をあげてしまったのです。
なぜそんなことができたのか?
そのベースは、”そうじ”(環境整備=5S)だった、と社員さんたちが述懐しています。
環境整備に長年取り組む中で、各人の自発性が育ち、互いに協力する風土ができ、計画を立て、実行し、検証し、さらなる改善につなげる、という訓練が出来ていた。
つまり、環境整備をつうじてしっかりとした人材育成ができていた。
だからこそ、社長が不在でも、十分に社業が成り立っていくのだ、というのです。
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4.まとめ
世にある人材育成の研修やセミナーにケチをつけるつもりはありません。
しかし、一過性でなく、継続的に、着実に、実際の実務にいかされる人材育成の手法を模索するならば、最適解は”そうじ”(=環境整備、5S)なのです。
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