2019年07月19日

誤解だらけの「5S」。5S活動とは一体何なのか?

「5Sを進めましょう」

社長が朝礼で社員に口酸っぱく言ったり、職場内にポスターや旗を掲げている会社は多いです。

ところが、毎朝清掃はされど、一向にスッキリしていかない社内…。

いったいどうしてなのでしょう?

もしかしたら、「社長がやらなければならないこと」ができていないから、かもしれません。

▼目次

1.そもそも「5S」活動って何?
 (1)意外に理解されていない5Sの意味や効果
 (2)5Sの目的が誤解されている

2.5つの「S」の意味
 (1)整理とは
 (2)整頓とは
 (3)清掃とは
 (4)清潔とは
 (5)しつけ(躾)とは

3.成功事例
 (1)整理を徹底した結果、不良在庫がゼロを達成!
 (2)整頓を強力に推進した結果、パート社員が戦力に!
 (3)清掃に取り組む中で、リーダーシップとチームワークが育った!

4.まとめ

 

 


1.そもそも「5S」活動って何?

(1)意外に理解されていない5Sの意味や効果

 

「5S活動」という言葉は、経営用語として、ある程度一般的になっています。

では実際に、「5S活動って何ですか?」と問われたとしたら、あなたはなんと答えるでしょうか。

 

「製造現場において、片づけたりキレイにしたりして、効率化やコスト削減を図る活動」

というようなコメントが返ってくることでしょう。

 

確かにそういう面もあります。

 

でも、なぜ製造現場に限った活動なのでしょうか?

 

期待できる効果として、効率化やコスト削減を想定するから、活動範囲が製造現場になるのでしょう。

 

こうなると、

「社長をはじめとする経営陣、そして営業や事務部門は、5Sとは関係ない」

という考え方が生まれます。

それが、経営側と現場側の壁を余計に高くし、部門間の壁を高くします。

 

結果として「5Sの効果が限定されてしまう」、「効果がない」といったことを招いてしまうのです。

 

 

(2)5Sの目的が誤解されている

 

「5S」は、物理環境にアプローチをするものなので、モノを整える活動だ、と捉えられがちです。

しかし、実のところ、モノへのアプローチをつうじて「コト」を整えていくアプローチだと捉えるべきでしょう。

 

磨いているのは、床ではなく、「心」なのです。

グチャグチャに積み上がったモノを整えることで、頭の中が整うのです。

そして、そのプロセスの中で、各自の自発性が育ったり、お互いの協調性が高まったりするのです。

 

一般的に、こうした捉えられ方をされることが少ないので、私は「5S」という言葉を使わず、あえて「そうじ」という言い方をしています。

 

私の考える「そうじ」の目的は、

 ・各人が本来の持てる力を発揮できるようにすること。

 ・互いに気持ち良く仕事ができるようにすること。

この2点であり、本来、「5S」の目的も、こうであるべきなのです。

 

だから、取り組む範囲は、決して製造現場に限定されるものではありません。

まずは、社長自身が取り組み、営業や事務といった部門も、一緒になって取り組むべきです。

 

そうすれば、得られる効果も、

 ・効率化やコスト削減

といったことに限定されず、

 ・人材の定着

 ・人材育成

 ・リーダーシップやチームワークの醸成

 ・情報共有

など、経営のありとあらゆる場面での効果に拡がっていきます。

 

 


2.5つの「S」の意味

それでは、5つの「S」のそれぞれの意味を見てみましょう。

 

(1)整理とは

 

まずは「整理」です。

教科書や掲げる会社によって多少違うようですが、

一般的には、

「整理=必要なものと必要でないものとを分けて、必要でないものを捨てること。」

とされています。

 

私は、さらに簡潔にすべく、

「整理=捨てる、減らす」

と表現しています。

 

 

(2)整頓とは

 

一般的には、

「整頓=必要なものをだけを誰もがわかるように置き場を決めて表示すること。」

と書かれています。

 

私はさらに簡潔に、

「整頓=置場を決めて明記する」

と表現しています。

 

 

(3)清掃とは

 

清掃については、一般的に下記のような説明がなされています。

「清掃=身の回りのものをきれいにして、いつでも使えるようにすること。」

 

これはちょっと分かりにくいですね。

そもそも「きれい」という言葉は抽象的で、具体的にどのような行動を指すのかがハッキリしません。

 

なので、私は、

「清掃=掃く、拭く、磨く」

と表現しています。

 

 

(4)清潔とは

 

さて、問題はここからです。

清潔については、業界によって少し解釈が違うようです。

一般的には、以下のように解説されています。

「清潔=整理、整頓、清掃を維持すること。」

 

え?っていう感じですね。

独立した項目として設ける必要がないように思えます。

 

 

(5)清潔とは

 

さらに不可解なのが次のしつけ(躾)です。

「しつけ(躾)=整理、整頓、清掃、清潔を習慣づけ維持し、更により良い方法を探究すること。」

なんじゃこれ?って感じですね。

 

そもそも、これらの活動は、継続し、習慣づけなければ意味がないもの。

「清潔」と「しつけ(躾)」はちょっと余計な気もします。

 

会社によっては、さらに「6S」だとか「10S」だとか称して活動しているところもあります。

しかし、そこの社員さんたちに尋ねて、正確にそれらの「S」の意味を答えられるのを聞いたことがありません(笑)。

 

要するに、大事なのは、「整理」と「整頓」と「清掃」

 

あえて付け加えるならば、

「時間を守る」

「約束を守る」

「ルールを守る」

という「規律」でしょうか。

 

「5S」に似たような活動内容に「環境整備」があります。

これも、教科書や会社によって、意味や解釈がまちまちです。

 

いずれにしても大切なのは、

「我が社で使われる言葉の定義」

「我が社の活動の目的」

を、

「社長が」

はっきりとさせることです。

 

 


1.成功事例

(1)整理を徹底した結果、不良在庫がゼロを達成!

 

香川県を本拠として、県の内外に11店舗のホームセンターを展開する西村ジョイ(株)。

ここで力を入れて取り組んだのが、「倉庫在庫ゼロ化」です。

 

小売店では一般的に、商品在庫をバックヤードの倉庫に積んでいます。

しかし、それだと、往々にして長期在庫や不良在庫を招いてしまいます。

目につきにくいから、気づきにくいのですね。

また、目に触れにくいということは、不正やミスの温床にもなります。

 

ですから同社では、バックヤードの倉庫に商品をストックしておくことをやめました。

すべての商品を店頭に出すことにしたのです。

こうすれば、どこにどの商品があるのかが一目で分かり、不良在庫がなくなります。

また、倉庫に確認しに行ったり、移動したりする手間がなくなるので、その分、接客時間の拡大にもつながります。

 

と、口で言うのは簡単なのですが、この取り組み、とてもとても大変なことなのです。

 

いまや、生鮮食料品以外は何でも揃う、と言われるホームセンター業界。

モノが出たり入ったりする量が半端ではありません。

 

そこで、「倉庫在庫ゼロ化」のために、まず取り組んだのが、「整理」です。

「整理」とは、要らないモノを捨てて、量を減らすこと。

取り組み前の同社のバックヤードの倉庫には、いろいろなものがごちゃまぜに積んでありました。

それらを一つひとつ、「これは何?」「これは要るの?」と確認していき、不要なものはどんどん捨てていきました。

およそ、商品以外はすべて捨てたといっても言い過ぎでないくらい、モノを捨てたのです。

すると、残るのは商品のみ、ということになります。

 

こうなれば、あとは商品をどんどん店頭に出すだけ、となり、「倉庫在庫ゼロ化」が実現したのです。

整理とは、言い換えれば、

「本当に大事なものは何かを定義し、それ以外のものを手放す行為」

とも言えるでしょう。

 

 

(2)整頓を強力に推進した結果、パート社員が戦力に!

 

整頓のコツはいくつかありますが、その一つは、

〈定位置、定量、定方向、表示、標識〉

です。

 

定位置とは、「ここにこれを置く」と決めること。

定量とは、同じものを一つ置くのか二つ置くのか三つ置くのか決めるということ。

定方向は、向きを揃えること。

表示は、モノに明記すること。

標識は、置場に明記すること。

 

東京都中野区の(株)小河原建設では、強力に整理、整頓、清掃を進めています。

私がお手伝いを始めた当初は、モノをどんどん捨てる段階でした。

しかし今は、整頓と清掃を徹底している段階です。

 

特に力を入れているのが、「定量化」です。

たとえば、図面に必要な情報をマーキングしたりする蛍光ペン。

建築会社だけに、結構な消費量です。

放っておくと、いつの間にかストックがなくなってしまい、いざ必要な時に、一本もない、ということになりかねません。

それを防ぐために、「残り1本になったら総務へ発注依頼」という札が、トレーに入っています。

新しいペンを持っていこうとするときに、残りが一本であることに気づいた社員が、総務に発注できる仕組みです。

さらに、アスクルの品番まで入っているので、総務の担当者がいなくても、自分で発注できます。

 

こうした一連の定量化を、中心になって進めているのが、パート社員のSさんです。

Sさんは、こうした事務用品の整頓を任されて以来、さまざまアイデアを出して、工夫してくれています。

おかげで、どこに何があるのか、誰でも分かりやすくなり、職場の雰囲気も良くなっています。

5Sを通じて、人材が育っていった好事例です。

 

※詳細は、下記ニュースレターをご覧ください

 

 

(3)清掃に取り組む中で、リーダーシップとチームワークが育った!

 

兵庫県篠山市の自動車教習所、Mランド丹波ささ山校。

同校の床面は、ピカピカに輝いています。

ワックスに蛍光灯が反射して、まぶしいくらいです。

それもそのはず、全員で、毎日一枚ずつ床面のタイルを磨いているのです。

タイル表面の傷を研磨し、さらに細かい紙やすりで磨き込み、ワックスを塗って仕上げます。

もう十分きれいなのですが、その手を止めることはありません。

それは、単にキレイにすることが目的ではないからです。

 

同社の目的は、

・普段別々に仕事をしているメンバーが

・みんなで一緒になって「現状を変化させていく」取り組みを通じて

・コミュニケーションを活性化させ

・チームワークを育てる

ことです。

 

こうした清掃の取り組みを続けるには、チームリーダーのリーダーシップが必要です。

 

リーダーシップといっても、いろいろなスタイルがあります。

みずから黙々と取り組む人。

大きな声を出して、メンバーを鼓舞する人。

じっくりとメンバーと話し合う人。

そして、こうしたリーダーに率いられたメンバーの間に、より良いチームワークが生まれます。

 

自動車教習所の場合、多くの社員はインストラクター(教官)です。

元来、一匹狼的な気質の多いインストラクターですが、この床磨きによって、とても良いチームワークが生まれています。

 

※詳細は下記ニュースレターをご覧ください

 

 


4.まとめ

 

なんとなく経営者が発する「5S」という言葉。

本当は、とても幅が広く奥が深い活動です。

製造現場に限らず、会社全体の改革に寄与するはずのもの。

 

それなのに、なぜか活動範囲が製造現場に限定され、それゆえ、その効果も限定的かもしくは逆効果になってしまうことが多々あります。

 

5Sとは本来、モノを整える活動ではなく、モノへのアプローチをつうじて「コト」を整えていくアプローチです。

 

「5S」という言葉だけが一人歩きしているからこそ、弊社ではその言葉は使いません。

あえて「そうじ」と表現し、「そうじの力」で経営を改革していこう、と呼びかけています。

 

 

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