2019年10月10日
「信じて任せる」と「放任」は違う!社長は『枠組み』を明示すべし。
「社員に自ら考えて自ら行動できるようになって欲しい。だから環境整備は社員に任せている」。
そう仰る社長さんがいます。
「信じて任せる」ことは、とても大切なことです。
でも、環境整備で「良い会社」を作りたいならば。
社員に成長してほしいと「信じて任せる」ならば。
その際、社長が絶対にしなければならない大切なことがあります。
それは『枠組み』を明確にすることです。
こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。
▼目次 「”そうじ”のやり方」は問題ではない |
「”そうじ”のやり方」は問題ではない
本日は、ITサーバーの第三者保守を手がけるデータライブ(株)の「そうじの力」コンサルティング日。
毎月一回訪問し、同社の環境整備委員会に立ち会っています。
環境整備とは、整理、整頓、掃除をつうじて社内環境を整え、組織風土を良くしていく取り組み。
なので、実習をとおして、「整理・整頓・清掃」の具体的なやり方を委員会メンバーに伝授しています。
でも、「やり方」は実は問題ではありません。
課題を引き出していくことが、実習の目的です。
今回の実習は、営業部署や管理部署のデスク。
引き出しを開けて、
「机上をどこまで整えるか」
「何は置いてよくて」
「何は置くべきでないのか」
ということを議論しました。
さて、ここに「正しい答え」はあるでしょうか?
答えは「絶対的な正解などない」です。
机上に何もないクリアな状態の方が好きだという人もいれば、多少猥雑な雰囲気の方が集中できるという人もいます。
なので、私が「こうしなさい」と言ったことを実行することが正解なのではありません。
「では、整理・整頓・清掃とは、具体的に、何をどのようにどこまでやればいいんでしょうか?」
メンバーからこんな声が上がります。
さあ、課題が出てきました。
「目的」と「具体的な行動イメージ」を結びつけよ!
同社の環境整備の課題のひとつは、
「”環境整備の目的”が、”具体的な行動イメージ”と結びついていない」
ことです。
同社における環境整備の目的は、「気づきを高める」こと。
「環境整備によって、各人の”気づきの感度”を上げ、その感性を業務の革新に役立てよう」ということです。
でも、この目的と行動、うまくイメージとして結びつかなければ、前向きな行動にはなかなか移せません。
ひとつ例を挙げます。
たとえば、黒のボールペンが3本も4本もあります。
実務上は、1本でも2本でも3本でも構わないでしょう。
目くじらを立てるようなことではありません。
でもここで、「気づきを高める」という目的に照らし合わせたとき。
必要な数は「1本」になります。
同じ黒のボールペンが何本もあると、1本1本に焦点が当たらなくなります。
でも1本に決めた時、もしその1本がなくなってしまったら、大騒ぎになります。
必要最小限にし、それを大切に扱うこと。
これが「気づきの感度を上げる」の具体的行動です。
でも、この「行動基準」だけでは、「社員が自主的に行動する」状態になることには、まだ足りません。
社長がやるべき大事なことがあります。
それは、社長の考える「枠組み」をきちんと示してあげることです。
「枠組み」があるから、社員が「自分で考えて行動できる」
「自分は関与しないから、環境整備は好きなように進めていいよ」
と社長が言うのは、
「信じて任せる」
こととは違います。
それは、交通ルールがない世界で、
「自由に車を使って好きなところへ行っていいよ」
と言うのと同じことです。
これだけは守るべき最低限のルールがある中での自由と、無法地帯での自由。
人が生き生きと動けるのはどちらでしょうか。
「社員に自分で考えて環境整備をして欲しい」。
その前提には、
「社長が責任を負える範囲内で」
という意味合いが入っているはずです。
つまり、それが最低限のルール、言わば「枠組み」。
それならば、社長がしなければならないことは、
「社員が自由に動き・判断できる『枠組み』を、きちんと共有し、言語化すること」
です。
環境整備は、社員みんなの力を借りて、社長の頭の中の『枠組み』、つまり「判断基準」や「価値感」を明確にしていく手段です。
明確にするから、社員が自分で考えて動けるようになり、向かうべき方向を合わせていけることができるようになるのです。
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