2019年10月12日

“そうじ”をすると、なぜ会社がよくなるのか?|生駒学税理士事務所実践企業見学会

10月11日、香川県高松市の生駒学税理士事務所にて、「“そうじ”をすると、なぜ会社がよくなるのか 現場見学会&セミナー』が行われました。

参加者は、印刷会社、電気工事会社、介護施設など様々な業種の12名。

毎年1回、この季節に行っているこの見学会&セミナーですが、目的は二つ。

まず、他人に見られることで、良い刺激を得て、取り組みを促進させようということ。

もうひとつは、見学してくれた人に、「そうじの力」を実感してもらい、この取り組みを普及させようということです。

 

苦手なそうじも、仕事と割り切ってやる

 

私が同社の生駒学所長を好きなのは、とても正直なところ。

生駒所長の挨拶

冒頭の挨拶の中で生駒所長は、「私はそうじが嫌いです。だから、家ではそうじはしません。でも、高名な経営者や経営コンサルタントは皆、『そうじが大切』と言っています。だから、会社を良くするために、仕事と割り切ってそうじをしています」と明かしています。

きれいごとじゃありません。本音です。

同社のそうじの取り組みのスタートは、約11年前。

その当時は、「そうじなんて、誰にでもできる」という軽い気持ちだったそうですが、取り組んでみると、社員の反発があったりして、予想以上に重いテーマであることを実感し、一度は挫折。

その後、やはり本腰を入れて取り組むには、自分たちだけでは難しい、ということで弊社にオファーがあり、7年間から私がお手伝いをしています。

生駒所長は、「組織を変えるのは、若者、馬鹿者、よそ者」であり、黒船のペリーしかり、日産のゴーン氏しかり、良い意味での外圧が必要だ、と言います。

その「外圧」が、私だったわけです(笑)。

実際、私が関わった当初は、私もずいぶんと「圧」をかけました。

それは特に、整理、つまりモノを捨てる、という面においてです。

「要らない物は捨てましょう」と言いますが、「要る、要らない」の判断基準は、実は人によってバラバラです。

ですから、本人任せにしておくと、整理は進まないのです。

そこで、「過去12か月以内に使わなかったものは捨てる」という判断基準を明確にし、それを徹底するように促しました。

 

強制力も、ときには必要

 

整理の現場に立ち会うと、私は必ず聞きます。「これ、いつ使いましたか?」と。

本人が、「これは要る物」と分類したものでも、いつ使ったか確かめてみると、「いや、5年前くらいかな・・・」という答えが返ってきたりするものです。

本人には、もったいないという気持ちや、思い入れがあるので、なかなかモノを捨てられないのです。

そこを、「外圧」を使って、執着を断ち切ってもらうのです。

特に、最高経営責任者である所長が、執着を断ち切ってモノを捨てることは、社員にとっては大きなインパクトを与えることになります。

実際、初期の段階で、思い切って捨てたことにより、同社の“そうじ”の活動は、その後、飛躍的に進むようになります。

このように、強制力も、ときには有効です。

環境整備委員会の委員長である奥田法樹さんも、活動内容のプレゼンの中で、

「半強制の活動になることもあるが、それも必要」

「定期的なチェックがなければ、レベルは下がる」

と言っています。

でも、もちろん、「日々の活動は楽しく」を心がけている、とのこと。

 

目標に向けて体を動かすことで、ベクトルが合う!

 

プレゼンの中で印象的だったのは、「見学会があると、それに向けて覚悟を決めて取り組むことができる」というくだりです。

実際、今回の見学会に向けて、社員さんたちもかなり頑張ってくれたようです。

フロアの床面を磨いてワックスがけしたり、駐車場の床面を、高圧洗浄機を使って汚れを落としたり。

車の環境整備についての説明

見学会というひとつの目標に向けて、一人ひとりが「こうしたらもっと良くなるのではないか」という課題意識を持って、できることに取り組んでくれたようです。

現場を案内してくれる社員さんたちの顔も、自信に満ちています。

それは単に、「どうだ、キレイだろ」というよりは、今日に向けて、一生懸命に取り組んだ、充実感なのでしょう。

ある社員さんが、トイレそうじのデモンストレーションを行ってくれたのですが、彼が当たり前のように素手で便器を触るのを見た参加者の方が、「素手でやるのは、なかなか・・・」と驚いていました。

トイレそうじのデモンストレーション

一般的に抵抗のあるようなことでも、覚悟を決めて取り組んでいるうちに、それが当たり前になり、自信につながっていくのだと思います。

見学会の後は、私の講演です。

小早祥一郎の講演のようす

 

経営判断により「そうじ」を仕事として組み込まなければ会社は良くならない

 

毎回の見学会&セミナーでは、私が講演をして締めくくるのですが、ここ数年、おまけとして、最後に、参加者全員で、車座になって座談会を行っています。

今回の参加者は、経営者よりも一般社員の方が多く、社員の立場からの発言が多くありました。

共通していたのは、「会社の方針として、そうじを重視している」にも関わらず、「推進組織があいまい」だったり、「そうじの時間が確保できない」ために、活動がうまく進まない、というお悩みでした。

でもそれって、はっきり言いますが、社員さんの立場では、いかんともしがたい問題です。

日常業務が忙しい中で、空いた時間で各人の判断でそうじをしなさい、と言ったって、それは無理な話です。

経営者が、経営判断として、そうじの推進組織を作ったり、業務時間内に、そうじのためのまとまった時間を確保したりしなければ、永遠に解決はしないでしょう。

生駒所長も、過去の失敗経験から、そうしたことの重要性を、良く理解しています。

そうじは根性論ではできません。

社長が社員とキャッチボールをしながら、どのようにしたら、そうじが進められるのかを、組織面、仕組み面、意識面において構築していく作業なのです。

 

 

 

 

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