2020年01月13日
抵抗勢力への向き合い方【そうじの力で組織風土改革】
こんにちは。
組織変革プロデューサーの小早 祥一郎です。
今日は、ある支援先の会社で、幹部を集めて講演をしました。
“そうじ”を通じて、社内の組織風土を改革していこう、という取り組みの、概要の説明です。
講演後の質疑応答の中で、「そっぽを向いている人を、どう巻き込めば良いのか?」というご質問をいただきました。
さて、私はどのように答えたでしょうか?
目次
抵抗勢力が気にならなくなるための3ステップ
先ほどの答えは、「あまり、気にしないことです」。
「その代り、前向きな人を、どんどん盛り立てましょう」と説きました。
そう。
後向きな人にフォーカスするのではなく、前向きな人にフォーカスすればいいのです。
なぜ気にしなくてよいのか、次の3ステップをご覧ください。
①「抵抗はあって当たり前」と自分の認識を改める
“そうじ”を通じた組織風土改革を進める際に、多くの社長さんから、
「やる気のない人を、どうすればやる気にさせることができますか?」
という主旨のご質問を受けます。
まず必要な認識として、「抵抗はあって当たり前」ということです。
人間は、現状を変えたがらないもの。
多くの人間は、ぬるま湯に浸かっていたいものです。
たとえそれが良いことだと分かっていても、慣れ親しんだものを変えるのは苦痛なのです。
推進する側は、「良いことだから、皆が賛同するに違いない」と思ってしまうのですが、それは大きな間違い。
組織には、いろいろな人がいます。
100%の人が賛同する施策などありません。
もしあったとしたら、それは怪しい宗教です(笑)。
だからまず、「抵抗は当たり前」という認識を持ちましょう。
②前向きに取り組む人に焦点を当てる
抵抗する人がいるということは、裏を返せば、前向きに取り組む人もいる、ということです。
だから、抵抗する人をどうにか変えようとするのではなく、前向きに取り組む人を、どんどん盛り立てていくのが、賢いやり方です。
マイナスの意識をもっている人たちを相手にするのは、エネルギーを浪費します。
はっきりいいますが、抵抗する人や反対する人たちを、こちらの意図で翻意させることはできません。
ただ、そういう人たちも、周囲が変わっていけば、自然と変わる、ということはあるのです。
「火起こし」をイメージしてみてください。
湿ったマッチに火をつけるのは大変です。
でも、まず乾いたマッチに火をつけて、その次に、また別の乾いたマッチに火をつけます。
乾いた木を沢山くべてぼうぼうに燃え盛っている中に、湿ったマッチを放り込めば、燃えますね。
だから、抵抗する人やそっぽを向く人をどうにかしようとする前に、まずは、前向きな人に焦点を当て、その人たちがより活動しやすいようにお膳立てしていくことが大事です。
③「中間派の6割」を巻き込むために、盛り上げる
「2:6:2の法則」というものをご存じだと思います。
「働きアリの法則」とも呼ばれていますね。
組織は、
・前向きな人が2割
・後ろ向きな人が2割
・どちらでもない中間派(日和見派といってもいいでしょう)が6割
という割合で構成されているといいます。
肝心なのは、「中間派の6割を、いかに巻き込むか」。
そのためにも、前向き派の2割を盛り立てましょう。
前向きな人たちが盛り上がっていると、中間派の人たちは、そちらになびいていくものです。
そして、前向き派の2割と、中間派の6割の、合わせて8割の人たちが組織風土の改革に取り組めば、企業の大勢としては決まったも同然です。
だから、抵抗派の2割を気にする必要はないのです。
付け加えて言うならば、どんな組織にも、最後まで抵抗する人はいます。
そのほうが、むしろ自然だと思います。
前向きに取り組む人が組織風土を変えた事例
岐阜県の鋳造業、(株)マツバラは、「非常識なクリーンファンドリー」をめざし、「おそうじパワーアップ活動」と称して、全社で“そうじ”をつうじた組織風土改革に取り組んでいます。
鋳造業は、火花と粉塵の飛び交う、過酷な職場です。
約120人の社員の中には、前向きでない社員もいました。
その中で、委員長に抜擢されたSさんと、造型係のHさんは、まず自分自身がそうじに熱心に取り組む形で、周りを引っ張っていきました。
社長も、そんな二人を大いに盛り立て、昇進などで報いました。
そうしているうちに、社内全体が、「そうじをして当たり前」という風土に変わってきたのです。
★(株)マツバラの組織風土改革の詳細はこちら(↓)
また、島根県でバス会社を運営する、石見交通(株)。
島根県西部の路線バスと、広島や大阪を結ぶ長距離バスを運行しています。
同社では、現場系や事務系、そして、関連会社も含めて、全社でそうじをつうじた組織風土改革を進めています。
当初、バスの運転士はこの活動に参加していませんでした。
バスの運転士は、同社に限らず、閉鎖的な風土があり、変革に対する抵抗が強いのです。
しかし、総務や経理、運行管理、整備工場といった部署の人たちが熱心に取り組みはじめると、間もなく、運転士の中からも賛同者が現れるようになりました。
その賛同者が、どんどんと増えていき、今では、運転士の人たちが自発的に、バスの整備を中心にして、そうじに取り組んでいます。
★石見交通(株)の組織風土改革の詳細はこちら(↓)
まとめ
抵抗勢力とどう向き合うか、というのは、経営者や推進サイドにとっては、常に頭を悩ます課題です。
でも、上述したように、抵抗勢力をあまり気にせず、前向きに取り組む人を盛り立てていけば、解決するのです。
何よりも、そう捉えることで、気が楽になりませんか。
だから、経営者や推進サイドの役割は、前向きに取り組む人が活動しやすいようにすること。
つまり、褒めたり、表彰したり、しかるべき立場を与えてあげたりすることなのです。