2020年03月06日

なぜ「整理」が一番初めにすべきことなのか?【そうじの力で組織風土改革】

私は常々、そうじを行う際に、一番初めに行うのは「整理」だと強調しています。

はじめに整理をしっかりと行わなければ、そうじが単なる「掃除」になってしまい「そうじの力」になりません。

では、なぜ整理なのでしょうか?

今回は、そのことを詳しく解説していきます。

 

 

目次

①整理、整頓、清掃それぞれの意味

②まず「整理=捨てる、減らす」

③判断基準は「使えるか、使えないか」ではなく「使うか、使わないか」

④使わないものは、新品でも捨てる

⑤迷ったときの判断基準は「過去12か月以内に使ったかどうか」

⑥徹底的に整理するまで、整頓に移らない

⑦まとめ

 

 

①整理、整頓、清掃それぞれの意味

そうじを進める際の、正しい順序は、「整理」→「整頓」→「清掃」です。

「整理」とは何でしょうか?

一般的には、

「要るものと要らないものを明確に分けて、要らないものを徹底的に処分すること。」

と説明されているようです。

私は、もう少し簡略化して、

「整理=捨てる、減らす」

と定義しています。

では、「整頓」とは何でしょうか?

一般的には、

「要るものを必要な時に必要なだけ使いやすいようにきちんと置き、誰でも分かるように明示すること。」

とされています。

ちょっと長いので、私は、

「整頓=置き場を決め、明記する」

と定義しています。

「清掃」は、一般的には、

「身の回りのものをきれいにして、いつでも使えるようにすること。」

と言われているようですが、ちょっと抽象的で分かりにくいですね。

なので私は、単純明快に、

「清掃=掃く、拭く、磨く」

と説明しています。

 

②まず「整理=捨てる、減らす」

そして、何よりも大切なのは、「整理」→「整頓」→「清掃」の順序です。

そうじを始めるときに、最初にすることは、整理、つまり不要な物を捨てることなのです。

想像してみてください。今、部屋に多数のモノが積み重なって溢れているとします。

この状態で、モノを減らすことなく、部屋をキレイにすることは可能でしょうか?

不可能です。

不要なモノを捨てることで、スペースが拡がります。

スペースが拡がれば、実は多くのことが解決していきます。

不要なモノがなくなると、必要なモノの状態が分かり、有効活用ができるようになります。

また、整理が不十分なまま整頓を行うと、次のようなとんちんかんなことが起こります。

工場の壁面に、キレイに並べられた道具類。

一見すると、とてもカッコイイですね。

ところが、「これは何に使う道具ですか?」と聞くと、「いえ、その道具は最近は使いません」という答えが現場から返ってくる。

「えっ?じゃあ、なぜここにこの道具を並べているのですか?」と聞くと、「上司から『道具はきちんと整頓しなさい』と言われているので・・・」という答え。

吉本新喜劇ならば、「ドアホッ!」とツッコミが入りそうです(笑)。

使わないものを、いくらカッコよく並べたところで、何の意味もありません。

あるいは、整理が不十分なまま清掃を行うと、次のような滑稽なことが起こるかもしれません。

ある社員が、何かの機械を一生懸命に磨いています。

その機械は、今や眩しいくらいに光り輝いています。

そこで、「この機械は何の機械ですか?」と聞くと、その社員は、「何でしょうかね?倉庫の奥に5年以上も眠ってホコリをかぶっていた機械なので・・・」とのお答え。

「バシッ」というハリセンの音が聞こえてきそうです(笑)。

使わないものを、いくらピカピカに磨いても、意味がないですよね。

こんなバカげたことはないのですが、実は世の中では、こうしたことが意外に多く行われています。

一般的に、そうじをしようというと、すぐにホウキや雑巾を持ちたくなります。

でも、その前にすべきことがある。

それが「捨てる」ことです。

だから、「まずは整理」というのは、とても大切なポイントなのです。

 

③判断基準は「使えるか、使えないか」ではなく「使うか、使わないか」

ところが、この整理、苦手な人が多いのです。

元来、日本人は、「もったいない」精神が旺盛です。

モノを捨てられないのです。

確かに、何でもかんでも勝手に捨てていいわけではありません。

そこには何らかの判断基準が必要なのですが、よくやってしまうのが、

「使えるか、使えないか」

で判断してしまうことです。

そうではなく、

「使うか、使わないか」

を判断基準にすることが大切です。

つまり、機能的に使えても、実務的に使わないものは捨てましょう、ということです。

わかりやすいたとえ話をします。

今ここに、一台のタイプライターがあったとします。

古いものですが、元気に動いています。

しかし、実務上、タイプライターは使いません。

現代はパソコンですよね。

ならば、このタイプライターは捨てましょう。

博物館に寄贈でもするならば、話は別ですが・・・(笑)。

「そんな、まだ動くのに、もったいない!」という人がいるかもしれません。

確かにもったいないですが、もっともったいないものがあります。

それは、スペースです。

私たちは、狭い日本の国土の中にいます。

誰しも、潤沢なスペースがあるわけではありません。

使いもしない機械がドンと居座り、貴重なスペースを占有してしまうことほどもったいないことはありません。

それに、いくら機能的に使えたとしても、使わないのであれば、「もったいない」ことに変わりはありません。

だって、そのモノを活かしていないのですから。

使いもしないモノを取っておくのは、言ってみれば「生殺し」状態です。

モノがかわいそうです。

そんな殺生なことをするくらいならば、思い切って捨てて、成仏させてあげるべきです(笑)。

 

④使わないものは、新品でも捨てる

私のあるクライアント企業では、“そうじ”の活動のスタート時に、大量のモノを捨てました。

その会社は設備工事の会社なのですが、当初、倉庫には、たくさんの設備機器がストックされていました。

中には、封を開けていない新品もありました。

設備機器が積み上げられた倉庫

ところが、その設備機器の一つひとつを確認してみると、すでに型が古くなってしまって、お客様には提供しづらいものだったり、発注ミスで余ってしまったものの、特定の現場に合わせた仕様のために汎用性がなく、他の現場には転用できないものだったりしたのです。

そこで、これらのストックの中で、「機能的には使えても、実務上使うあてのないもの」は、すべて処分しました。

機能的に使えても、実態として使わないものはすべて処分した

社長さんに後から伺ったところでは、金額的には、おそらく300~500万円くらい、捨てたのではないか、とおっしゃっていました。

金額を聞くと、とてももったいないように感じるかもしれませんが、捨てたおかげでスペースができ、モノが良く見え、いろいろなことが解決していきました。

そして、このように、モノを捨てて減量化すると、あまり収納(整頓)のことに気を遣わなくても、問題はなくなってくるものです。

 

⑤迷ったときの判断基準は「過去12か月以内に使ったかどうか」

ところが、「使うか、使わないか」と考えても難しいのは、「将来のことは分からない」ということです。

ある機械があったとして、ここ数年は使ってないとします。

しかし、「ひょっとしたら、この先に、使うことがあるかもしれない」という不安はぬぐえません。

将来のことは誰にもわからないのですから、何らかの割り切りがないと、何も捨てることはできなくなってしまいます。

こんなときに、よりどころにしてほしいのは、

「過去12か月以内に使ったかどうか」です。

私たちのビジネスは、通常、12か月単位で動いています。

季節変動がありますが、過去12か月ならば、季節変動も含むことができます。

この変化の激しい現代において、過去12か月に使わなかったものは、まず今後も使いません。

商品だってそうです。

12か月以上動いていない商品在庫が、今後、売れることは、まずないでしょう。

まれに、業界の特殊事情として、数年に一度の単位で動くものがあったりします。

そのように、明確に把握できているものは、もちろん、残しておいて構わないのです。

 

⑥徹底的に整理するまで、整頓に移らない

このように、整理と一口に言っても、とても奥が深いものなのです。

それだけに、整理を徹底することは、とても大切です。

整理が中途半端なまま、整頓に移行すると、失敗します。

だって、使わないものを揃えたり並べたり表示したりしても、意味がないですよね。

スペースも食うので、収納が足りなくなったりします。

私がお手伝いする場合には、たいていどの会社でも、最初の1年間は、ほとんどこの整理、つまり捨てることにあてます。

それでもまだ不十分で、2年間くらいかけることもあります。

それだけ、整理は“そうじ”の中でもキーとなる活動だということです。

 

⑦まとめ

実は整理を徹底するだけで、組織風土は変わっていきます。

整理が徹底されてくると、身の回りにあるものすべてが「意味ある存在」になります。

無駄なものがないということは、無駄な仕事をしない、ということにつながります。

意味ある存在を生かし切ろうというマインドが生まれます。

モノに対する関心が高まると、人に対する関心も高まります。

お互いに無関心ではいられなくなり、コミュニケーションが生まれてくるのです。

これこそが、「そうじの力」なのです。

 

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