2020年03月09日
「気づき」が企業を進化・発展させていく【そうじの力で組織風土改革】
東京都で、ITサーバの第三者保守を手掛ける、データライブ株式会社。
企業のサーバは、だいたい5年でメーカーとの保守契約が切れます。
一般的には、その時点で新しいサーバに買い替えるのですが、そうしたことを繰り返していくと、設備投資負担が大きくなります。
そこで、第三者の立場からサーバを保守することで、ユーザーの負担を減らす同社のサービスが注目を集めており、今まさに飛ぶ鳥落とす勢いなのが、同社なのです。
同社においては、整理・整頓・清掃を通じた組織風土活性化の取り組みを「環境整備」と呼んでいます。
当初の活動は、どちらかといえば、「見える所」を掃いたり拭いたりすることが中心で、環境整備というよりは、「環境美化」と言うべきものでした。
私がお手伝いをはじめて約一年半。
あらためて、環境整備の目的、つまり、何のために環境整備に取り組むのか、を問い直してきました。
「キレイ」を目的にするのは、「環境美化」です。
環境整備においては、キレイは結果であり、目的ではありません。
では、いったい何のために時間と労力をかけて環境整備に取り組むのでしょうか?
問いかけながら見えてきた目的が、「気づきを高める」ということです。
同社の山田和人社長は、もともと、中古のコンピューターの販売を手掛けていました。
しかしあるとき、利益率も低く競合も多い中古販売に未来はないと「気づき」、第三者保守に完全に移行することを決断します。
「整理」とは、「捨てる」ことです。
中古販売を完全に捨てたからこそ、第三者保守という未開拓分野を切り拓くことができたのです。
山田社長は言います。
20年後、おそらく自分はこの会社にはいないだろう。
世の中は、今とはまったく違うものになっているはず。
ITサーバの第三者保守という仕事も、もはや用済みになっているだろう。
そんなとき、会社を救えるのは、「気づき」を高めた人材による新たな発想である、と。
「気づき」を高めるために、「整理」は良い訓練になります。
ところが、当初の同社の活動は、掃いたり拭いたりすることが中心で、しかも、実施場所が細かく割り当てられて、個々人がそれぞれに黙々と行うスタイルでした。
そこで、より「気づき」が高められるように、そして、他人との関わりの中で生まれる相互刺激が得られるように、「整理・整頓」に重点を置き、さらに、グループ活動を取り入れることにしました。
この1月から2月にかけての一か月間は、「環境整備強化月間」と題して、部長以上の人たちがリーダーとなり、部署をシャッフルしてグループを作り、毎朝、テーマを決めて、整理・整頓を行ってもらいました。
先日、その環境整備強化月間の発表会があったのですが、その発表では、さまざまな「気づき」があったとのコメントが相次ぎました。
「LANなどの配線がゴチャゴチャしていたが、使っていないものを捨てるなどして、使い勝手が良くなった」
「無線LANを導入すれば、もっと業務効率化になる」
「植木が置いてあるが、よく見ると元気がない。世話ができないならば、撤去してはどうか?」
「カーペットをもっとカラフルなものに変えれば、気分も明るくなるのでは」
「不明な在庫を多数発見した。早急な現状調査と対策が必要」
「いったん全部出すと、現状の問題点がよく見える」
「自分では気づかないことも、他者と話すことで気づけたことがあった」
「職場環境を向上させる意識は、業務の生産性の向上にも寄与する」
「個々人のデスクを廃して、フリーアドレスにした。その過程をつうじて、部署の一体感が生まれた」
山田社長は、総評で、
「環境整備の醍醐味は、『前提を疑う』こと。こうしたことが出来てきたことで、わが社は間違いなく変わっていくはず。わが社の基礎体力は上がっていくはず」
とおっしゃっていました。