2020年05月11日

なぜ会社はキレイでなければならないのか?【そうじの力で組織風土改革】

私は、そうじを通じた組織風土改革のお手伝いを本業としています。

そもそも、なぜ会社をキレイにすることに価値があるのでしょうか?

キレイさと経営は、どう結びつくのでしょうか?

「確かに、会社は汚いよりはキレイな方がいい。

でも時間と労力をかけて、隅々までキレイにする必要はあるの?」

こうした疑問を抱く方もいると思います。

結論から言うと、その必要は絶対にあるし、キレイにすることのメリットはたくさんあります。

ただ、それは決して精神論や宗教的なものではなく、実利が伴うものです。

今回は、このことを論理的に説明していきます。

 

クリアでないと気づきの感度が鈍る

下の写真を見てください。

ごちゃごちゃのパーテーション

このような状態で、もし、誰かがパーテーションに、新たに伝言メモを貼りつけたとします。

戻ってきた本人は、すぐにメモに気づくでしょうか?

きっと、すぐその場では気づかずに、放置してしまうでしょう。

最悪の場合、そのメモがどこかにいってしまい、トラブルを招くことでしょう。

 

一方で、下のような状態だったとしたらどうでしょう。

同様に、誰かが伝言メモを貼りつけた時に、戻ってきた本人は、どんな反応を示すでしょうか?

クリアなパーテーション

当然、すぐに気づいて、必要なアクションを起こすことでしょう。

 

このように、空間がクリアでないと、「気づき」の感度が鈍るのです。

異常感知能力と言い換えてもいいでしょう。

 

「そんなのは程度問題だ」という反論があります。

でも、程度の問題ではないのです。

徹底することでしか、この「気づき」の感性は磨かれないのです。

 

たとえば、ろくな整備もせずに、ドロドロの状態の車を運転するとします。

その車が、異常な振動を起こしていたり、オイル漏れを起こしたりしていても、気づくことはないでしょう。

それが大きな事故を引き起こすことだってあるのです。

 

一方で、普段からこまめに整備し、車内に余計なものはなく、洗車してピカピカにしている車ならば、そういった異常はすぐに感知することができます。

事故を未然に防ぐことができます。

 

留意しなければならないのは、こうしたことは、日々の積み重ねだということです。

「いざとなれば、自分はできるんだ」ということを言う人がいます。

普段できない人が、いざというときにできるということは、絶対にありません。

普段していることが、いざというときに出るのです。

だから、普段から空間をクリアにしておくことで、ミスを防ぐことができ、探し物をすることがなくなり、良い仕事をすることができるのです。

 

乱雑な環境は、乱雑な行動を引き起こす

人の心と周りの環境は連動しています。

モノの乱れは心の乱れ、とも言われます。

下の写真を見てください。

これは、ある建築現場のものです。

建築現場

同じ現場の、休憩所です。

休憩所

このような状況では、自然と仕事は粗くなります。

このような状況で、丁寧な仕事をするほうが難しいです。

 

こうした状況で怖いのは、事故やケガです。

実際、汚く乱雑な現場は、事故やケガが多いのです。

「現場が汚くても、俺は事故やケガはないよ」と大真面目で言う人がいますが、そんなことは絶対にできません。

上述したように、普段やっていることが、いざというときに出るのです。

「それも程度問題だ」という人がいますが、程度問題ではありません。

徹底することでしか、事故やケガは防げないのです。

 

たとえば、下の写真を見てください。

これも同じ現場の床面です。

現場床面

よく見ると、釘が床面から何か所も突き出ています。

踏み抜いたら、足に大けがを負ってしまいます。

こうしたことを防ぐためには、床面を舐めれられるくらいにキレイにしておくしか、ないのです。

たとえば、こんなふうに、です。

素足で歩ける床

こうしておけば、床面に何か異物が落ちていれば、すぐに気づくことができます。

だから、普段から環境をキレイに保つことで、丁寧な仕事ができ、事故やケガを防ぐことができるのです。

 

モノが多すぎると管理できない

私は企業のお手伝いに入ると、まず声を大きくして、「モノを捨てましょう!」と呼びかけます。

それはもちろん、不要なものを捨てましょう、ということなのですが、それだけではありません。

量そのものを減らしましょう、ということでもあります。

 

たとえば、下の写真を見てください。

これは、ある不動産会社のバックヤードです。

コピー用紙

コピー用紙がストックしてありますが、私は一目見て、こんなにたくさんの在庫が必要なのだろうか?という疑問を持ちました。

 

もちろん適正在庫数は、業種や業態によって違いますから、一概には言えません。

しかし、この会社においては、明らかに過剰在庫でした。

 

数が多すぎることの一番のデメリットは、管理が行き届かない、ということです。

どんなに良い収納方法があったとしても、数が多くなれば、管理は難しくなります。

管理が難しいと、無駄が発生し、ミスが発生します。

不正を招く温床ともなります。

 

逆に、量が少なければ、収納方法いかんにかかわらず管理がしやすく、不正も起きにくいのです。

モノが多いことに無頓着な人がけっこういるのですが、必要以上のモノを持つことは「悪」であると認識すべきです。

そのためには、普段から適正在庫を気にかけ、必要最小限のモノだけをストックする仕組みを作る必要があります。

 

汚れ・乱れの放置は問題の放置

世の中には、「キレイさと仕事のクオリティは一致しない」という人がいますが、私はそうは思いません。

汚れやゴミやホコリ、不要物は、「問題」なのです。

 

「問題」とは、「あるべき姿と現状とのギャップ」と表現されます。

汚れやゴミやホコリ、不要物は、そこにあるべきものでしょうか?

いや、そこにあってはならないものです。

だから、それが放置されているというのは、問題が放置されている、ということなのです。

 

下の写真を見てください。

あるスーパーマーケットのバックヤードの床面です。

床面の油分

一面にびっちりと油がこびりついています。

黒く見えている部分が油です。

厚さ5mmほどで固まっています。

灰色に見える床面は、わずかしか顔を見せていません。

近くに、魚をさばく部屋と肉をおろす部屋があるので、そこからの油分でしょう。

 

おそらくこれは、当初は一滴二滴の油の垂れだったのでしょう。

それを放置したために、その後もどんどん油が垂れ、長年にわたって積み重なって、このようになってしまったのでしょう。

その間、誰もなんとかしようと思わなかったのでしょうか。

 

こうして、問題を放置することで問題が先送りされ、皆の頭から問題意識が消えていき、やがて大きな問題を引き起こすのです。

忘れてはならないのは、「最初は一滴か二滴だった」はずだということです。

油垂れが問題なのではなく、汚れを放置しておいたことが問題なのです。

 

人の手が入らないと、無政府状態を招く

下の写真を見てください。

これは、倒産した会社の門の付近です。

倒産会社

 

 

雑草がぼうぼうに生えています。

人の力って、すごいです。

建物は、人が住まなくなった途端に、崩壊を始めます。

 

これは極端な例ですが、人の手が入っていない場所は、無政府状態(アナーキー)になります。

普通に営業している会社でも、バックヤードや裏側は、こうなりがちです。

裏側

放っておくと、ゴミや不要物がどんどん溜まります。

ヘタをすると、近所の人が粗大ゴミを捨てていったり、エロ本の捨て場になってしまったりします(笑)。

一般論として、それが犯罪を引き起こす、ということもあるわけです。

「人の手が入る」というのは、とても大切なことなのです。

 

だから、会社の敷地内は、裏側や奥まったところも含めて、隅々まで手を入れる必要があります。

また外で仕事をする場合には、現場についても同様に、隅々まで手を入れることが必要なのです。

 

ルール不在は自分勝手を招く

下の写真を見てください。

これは、車の整備工場の部品庫です。

部品庫ビフォア

この状態は、単に汚いというだけでなく、ルールが不在であることを示しています。

どこに何を置くか、どのように置くか、どのように扱うか、というルールがなく、使う人それぞれが、自分勝手に使っている、という現状です。

 

これだと、一部のベテランの人たちはいいかもしれませんが、新人や他部署の人たちは困ってしまいます。

こういう状態を放置しておくと、結果として自分勝手な人しか残らなくなってしまいます。

会社全体が、自分勝手な社風になってしまうのです。

 

そうではなく、下の写真のような状態に生まれ変わったとしたら、どうでしょうか。

部品庫アフター

新人や他部署の人たちも分かりやすく、使いやすい。

それだけでなく、どこに何をどのように置くかのルールが明確ですから、「ルールを守る」という健全な規律が生まれます。

社内に健全な規律があれば、中にいる人たちは働きやすいですね。

 

小さなことをおろそかにして、大きなことはできない

「そうじなんて、小さなことだ」と言う人がいます。

「ウチのビジネスは、もっと大きなものだ。だから、小さなことなんかに労力をかけている暇はない」と。

 

確かに、そうじは小さなことです。

でも、実は小さなことこそ大事なのではないでしょうか。

大きなことというのは、小さなことの積み重ねです。

最初から大きなものなんて、世の中にありません。

 

たとえば、下の写真を見てください。

これはトイレの個室の間仕切りの上部です。

下から見えない部分なので、どうしてもホコリが溜まってしまうのです。

 

これは小さなことかもしれません。

でも、「こんなことはどうでもいいことだ」という感性で仕事をすると、どういうことが起こるでしょうか。

 

たとえば、大きな建築プロジェクトを進めているとしましょう。

建物の構造計算は小さな計算の積み重ねです。

「大きな建物なんだから、小さな計算は適当でいい」という姿勢で計算を進めたとしたら、どうなってしまうでしょうか。

大きな計算ミスにつながり、それが大きな事故を招くことでしょう。

 

逆に、下の写真のように、小さなことに徹底的にこだわる姿勢だとどうでしょう。

間仕切りアフター

一つひとつの計算を地道にこなしていき、結果として大きな仕事をやり遂げることができるでしょう。

そう、大きな仕事は、小さな仕事を積み重ねることでしか、成し遂げることはできないのです。

 

キレイな環境は人にやさしい

最後に、とても単純なことですが、汚い環境は人に厳しく、キレイな環境は人にやさしい、ということ。

 

たとえば、下の写真。

粉塵だらけの床面

粉塵が積もっていて、一目見て、つらく厳しい職場環境だとわかります。

 

でも、こうだとしたら、どうでしょうか。

光る床面

なんとなく、「頑張ろう!」という気持ちになるのではないでしょうか。

 

もちろん、上のような状態では、ミスやケガも多く、下の状態ならば、ミスやケガも少ないのです。

 

キレイな環境は、安心で落ち着くので、人間関係も良好になります。

会話が弾みます。

 

汚く乱れた環境は、いってみれば常に危険と隣り合わせのようなものなので、安心できず、落ち着きません。

余裕がないので、人間関係もキツくなります。

必要以上の会話が生まれません。

 

下のような工場だとどうでしょう。

清潔で整然とした工場

明るくてキレイで、働くのが楽しくなりそうですね!

キレイな環境は、人にやさしいのです。

 

まとめ

多くの人は、会社をキレイにすることに異存はありません。

問題はその「程度」です。

ほとんどの人は、「そこそこでいい」と思っているでしょう。

大きな時間や労力をかけてそうじをするなんて、無駄だ、と思っているのです。

見える所さえキレイにしておけば、見えない所は適当でいいと思っています。

でも、上述したように、「そこそこ」ではダメなのです。

隅や裏が汚くてはダメなのです。

徹底することで、働く人たちが良くなり、会社が良くなるのです。

会社を良くしたければ、大きなことを考える前に、まず、そうじをして徹底的にキレイにしましょう!

 

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