2020年05月15日

そうじをすると、本当に業績が上がるのか?【そうじの力で組織風土改革】

そうじをすること自体に反対する経営者は、あまりいません。

汚いよりはキレイな方がいいというのは、多くの人に共通の認識だからです。

しかし、じゃあそうじをすれば業績が上がるのか?

そうじは経営上、重要な取り組みなのか?

というと、これまた多くの経営者は、首をひねることでしょう。

つまり、「そうじをするのは良いことだけど、そうじをしたからといって、業績が上がるわけではない」というのが、多くの経営者の認識だと思います。

でも、それは大きな間違いです。

そうじをすれば、業績は上がるのです。

今回は、具体的な事例をもとに、そうじで業績が上がることをご説明していきます。

 

目次

①残業時間が減った

②不良率が下がり、生産量が上がった

③事故が減った

④定着率が向上した

⑤不良在庫がなくなった

⑥売上が増加した

⑦利益が増加した

⑧まとめ

 

①残業時間が減った

そうじを全社で進めていくと、わりと早い段階で現れる効果に、「残業時間が減った」というのがあります。

たとえば、ある税理士事務所では、そうじの活動をはじめてから3か月後くらいから、明確に残業時間が減ってきました。

もともと同社は、さまざまな形で社員の残業削減につとめており、データも取っていました。

そのデータが如実に示すのは、そうじの活動をはじめて以来、顕著に残業時間が減っていることなのです。

これは単純に、「探す時間が少なくなった」ということによるものと思われます。

これが、活動をはじめる前のデスクの写真です。

デスクビフォア

ご覧のように、書類が山積みになっています。

所長自身、「以前は書類を探すことが多かった」と述懐しています。

しかし、そうじをしていく中で、下のような状態に変わっていきました。

デスクアフター

社長は、「最近は書類を探すことが少なくなりました」と語っています。

 

②不良率が下がり、生産量が上がった

製造業において、そうじを導入すると、「不良率が下がった」という報告をよくいただきます。

汚く、乱れている工場では、手元がクリアでないため、よくミスをします。

ゴミやホコリが溜まっていますから、異物も混入します。

道具があちこちに散らばっていますから、いちいち探して、作業がはかどりません。

こんな状態では、不良品が多くなるのは当たり前です。

そうじをして、工場の現場がキレイで整然とすれば、手元がクリアになり、作業がはかどります。

異物混入の心配もありませんから、品質の良い製品ができます。

不良率が低いということは、歩留まり率が高いということですから、結果として生産量も上がります。

ある製造業の会社では、そうじをはじめてから、以前に比べて、不良率は30%低減し、生産量はなんと2倍になったのです。

 

③事故が減った

そうじを続けていくと、事故やケガが減っていきます。

これは、製造業や建築業など、現場系の会社に顕著に現れます。

また、車を使う会社だと、交通事故が減ってきます。

車内に要らないものがたくさん載っていて、ボディもドロドロ、という車だと、事故が多いのです。

なんとなく、運転が乱暴になるのでしょうね。

車内の不要物を捨て、ボディもピカピカに磨き上げ、駐車する際にもラインに平行に停めるようにすると、事故は明らかに減っていきます。

あるバス会社は、そうじの取り組みをはじめてから1年半くらいして、「有責の車内事故がゼロになりました」というご報告をしてくれました。

バスの事故で一番多いのは、バスの車内でお客様が転んでケガをすることだそうです。

これを「車内事故」と呼ぶとのこと。

それが、少なくとも当方の責任による車内事故がゼロになったというのです。

これは、運転士たちがバスの車内外を徹底的にそうじすることを通して、「丁寧な心」が育ち、その丁寧な心で運転をするので、車内での転倒事故が減った、ということなのでしょう。

 

④定着率が向上した

人材の定着は、経営者にとって頭の痛い課題ですが、そうじはここでも威力を発揮します。

ある製造業の会社では、なかなか若い人が定着しませんでした。

というのも、鋳造の会社なので、火花と粉塵が舞う、いわゆる「3K職場」だったからです。

そうじの活動前には、工場の床面は粉塵が積もっていました。

場所によっては、20cmほども積もっているところもありました。

粉塵の積もった床面

これでは、若い人たちが逃げていくのは当たり前です。

しかし、そうじを進めていき、粉塵の堆積が減っていきました。

今では、床面が光っています。

光る床面

やはり、汚い職場よりも、キレイな職場のほうが、気持ちよく働けます。

ただ、定着率が良くなったのは、単に現場がキレイになったから、だけではありません。

同社においては、そうじの活動を推進するメンバーを若手から選び、彼らを各職場のリーダーにすえて、活動を運営しています。

鋳造業というのは、一人前になるまでに5年かかる、というような職人の世界です。

そうなると、なかなか業務の中では、若手や社歴の浅い人たちの活躍の場が少なく、やりがいも感じにくい、という面があるでしょう。

ところが、そうじは誰でもできます。

技術や経験がなくてもできるのです。

だから、推進メンバーに選ばれた若手や社歴の浅い人たちが頑張ってそうじをすることで、現場がキレイになります。

彼らが頑張ることで、ベテランも含めて周囲を巻き込むことができます。

つまり、若手の活躍の場ができ、彼らがリーダーシップを発揮する場がある、ということです。

こうすることで、若手がやりがいを感じられるようになり、結果として定着率が上がった、ということではないでしょうか。

ちなみにこの会社では、若手社員が辞めなくなっただけでなく、募集をすれば、定員以上の応募があるようになり、人材難とは無縁の経営ができるようになりました。

 

⑤不良在庫がなくなった

不良在庫の削減も、そうじの得意とするところです。

そうじにおいては、「見えないところ」を大事にします。

見えないところに、ゴミやホコリ、不要物が溜まるからです。

バックヤードの倉庫は、「見えないところ」の典型です。

見えないからこそ、管理が行き届かず、売れない商品が放置され、不良在庫と化すのです。

だからそうじにおいては、倉庫にある商品を、いったん全部出して、一つひとつを吟味していきます。

売れるものは、どんどん店頭に出していきます。

定価で売れそうにないものは、ディスカウントして、売る努力をします。

どうしても売れないものは、廃棄処分します。

もちろん、教訓を生かして、仕入れる商品の種類や量も調整していきます。

こうした整理の作業を繰り返していくことで、確実に在庫量は適正化していきます。

少し変わった事例なのですが、あるホームセンターでは、「倉庫在庫ゼロ化」という取り組みを進めています。

これは、バックヤードの倉庫に商品在庫を置くのをやめて、すべての商品在庫を店頭に出す、という取り組みです。

要するに、「見えないところ」であるバックヤードに置かず、「見えるところ」である店頭に置き、不良在庫化を防ぐとともに、品出しなどの効率化を図ろう、というものです。

ところがこれが、大変に困難な取り組みなのです。

今日、ホームセンターは実にさまざまなものを扱っています。

およそ生鮮食料品以外のものは、何でも扱っていると言っても過言ではありません。

一日に動く物の量が半端ではないのです。

そうした状況で、「倉庫在庫ゼロ化」というのは、とてつもなく難しいチャレンジなのです。

しかし今、このホームセンターでは、この「倉庫在庫ゼロ化」がほぼできています。

現在のバックヤード倉庫

上の写真は、6,000坪級の「メガ」ホームセンターの現在のバックヤード倉庫のようすです。

以前はここに、商品や備品が所狭しと置かれていました。

今はご覧のとおり、何もありません。

常に倉庫を徹底的に”そうじ”することで、それが可能になったのです。

 

⑥売上が増加した

上の⑤とも関連するのですが、そうじをして在庫管理を徹底することで、売上が上がることがあります。

お花を売っている店の事例です。

その店では、お花の管理がずさんで、多くの花を枯らして廃棄処分していました。

当初、お店のバックヤードには、たくさんの花が山積み状態でした。

そこで、まず、古くなった花を全部捨ててもらいました。

そして、入荷した花については、見栄えよく飾り、POPなども工夫して、目立たせていきました。

常に在庫に目を配り、悪くなりそうな花があれば、それを新しい花に混ぜて売ることで、売れ残りをなくしていきました。

また、売れ行きの悪い花の仕入れを止め、代わりに売れ筋の花をどんどん増やしていきました。

その結果、花の売上が前年同月比で40%も増えたのです。

また、別の小売店の事例です。

この会社に外販部という部署があり、お客様のところへ出かけていって大口の注文を取ってくる仕事をしています。

当初、その外販部の詰所は、一人に一台のデスクがあり、それぞれが外側を向いていました。

以前の外販部詰所

これだと、各デスクが各人の「根城」になってしまい、いつまでたっても片づきません。

そこで、各人のデスクを廃止し、一台の楕円形テーブルを真中に置く形にしました。

これを、「フリーアドレス」と言います。

フリーアドレスになった現在の詰所

これだと、公共の場であるテーブルを常に整理整頓しようという動機が働くので、乱れにくいのです。

また、こうしてテーブルを囲むことで、そこに会話が生まれ、コミュニケーションが良くなります。

実際、この外販部では、営業に有益な情報を皆で共有するようになり、お互いに協力して営業に当たるようになって、営業成績が伸びたそうです。

 

⑦利益が増加した

ある建築会社では、現場をキレイにすることに力を入れています。

「素足で歩ける現場」を目指して、一日5回のそうじをしています。

その結果、文字通り素足で歩ける現場が実現しました。

言葉にすれば簡単ですが、これは大変なことです。

一般的に建築現場には、ビスや釘が落ちており、刃物を伴う道具もあちこちに散乱しています。

キレイか汚いかという以前に、危なくて歩けないのです。

この会社においても、以前の現場は、そんな感じでした。

でも今は、本当に素足で歩けるのです。

現在の素足で歩ける現場

この噂を聞きつけたご近所の住民が、この現場を見に来ると、ビックリするそうです。

そして、そういったご近所の方々からの受注も増えます。

当然、お施主さんの満足度も高いですから、お施主さんからのご紹介も増えます。

こうして、口コミでどんどん注文が入ってくるのです。

「現場が営業マンです」というのが、社員さんたちの口癖です。

こうなると、単純に売上が伸びるだけではありません。

現場が近くなるので、効率がいいのです。

効率が良いということは、無駄が少ないので、コストが下がります。

結果として、利益も上がるのです。

 

⑧まとめ

「そうじをすると会社が良くなる」というのを、多分に精神論か宗教のようにとらえている経営者の方がいます。

でも、上述したように、精神論でも宗教でもないのです。

そうじをすれば、間違いなく、業績は良くなります。

ただ、そこに2つの難点があります。

ひとつは、どのような形でそれが表れるかわからない、ということ。

つまり、残業時間が減るのか、不良率が下がるのか、定着率が上がるのか、売上や利益が上がるのか、はじめた当初は予想がつかない、ということ。

もうひとつは、効果が表れるまでに、ある程度の時間がかかる、ということ。

今日そうじをしたから、明日すぐにでも効果が出る、というものではないのです。

効果が出るまでには、やはり半年~1年くらいはかかるでしょう。

英語に「Easy come, easy go」という言葉があります。

「簡単に手に入れたものは、簡単に失う」という意味です。

逆に、時間をかけて手に入れたものは、簡単には崩れません。

ですから、地味に見えるこの”そうじ”という取り組みこそ、実は着実で後戻りのない経営改善の方法なのです。

 

 

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