2020年05月19日
そうじにどのくらいの時間と労力をかけるべきか?【そうじの力で組織風土改革】
そうじに取り組んで会社を良くしていこう!と決意したならば、次に悩むのは、
「いったいどのくらいの時間や労力をそうじにかけるべきだろうか?」
ということではないでしょうか。
唯一絶対の正解はない、というのが答えになるのですが、よりどころとすべき考え方はあります。
今回は、その基本的な考え方をお伝えしていきます。
目次
そうじは基礎体力づくり
昭和の教育哲学者である森信三先生は、「再建の3大原理」として、次の三つを挙げられました。
・時を守り
・場を清め
・礼を正す
荒れた学校や業績の思わしくない企業を立て直すには、まず上記3つのことをしなさい、と説いたのです。
非常に基本的で当たり前のことではありますが、実は世の中では、こうした当たり前のことができていないために、物事がうまくいかないことが多いのです。
プロスポーツ選手でも、一流選手ほど、基礎練習を大切にするといいます。
してみると、そうじは企業経営にとって、業績を上げるための基礎体力づくり、と言えると思います。
最終的に売上を立てて利益を生み出すのは、商品であったりサービスであったりするわけですが、それを支える基礎体力とは、まさに上記3つのことでしょう。
たまたまヒット商品やユニークなサービスが当たって、一時的に売上が上がることもあるでしょうが、基礎体力がなければ、長期にわたって安定的な業績は残せないと思います。
「一日一回」が基本
そうじが基礎体力づくりであると考えれば、それを行うタイミングもおのずと決まってきます。
まず、毎日行うことが必要です。
筋トレは、たまに行ってもあまり意味はありませんが、少しずつでも毎日行うことで、効果が出てきます。
そうじも同じです。
たとえば毎日床磨きを行うことで、「常にキレイに保とう」というマインドが生まれ、「気づき」の感度が上がり、「続ける」忍耐力が養われます。
一方で、毎日の中だけでは、なかなかカバーできないものもあります。
スポーツのトレーニングでも、場所や器具、指導者が必要なものは、一週間に一回など、定期的に行うでしょう。
そうじにおいても、溜まった不要物の整理や、バックヤードの大掛かりな清掃などは、毎日の中ではできません。
一週間に一回とか月に数回の「強化活動日」に行うことになるでしょう。
このようにして、「毎日」と「定期的」を組み合わせて行うのがベストです。
本業ではないが、欠かすこともできない
では、「毎日」と「定期的」、具体的にどのくらいの時間をかければよいのでしょうか?
まず押さえていただきたいのは、上述したとおりそうじは、本業ではないものの、欠かすこともできないことだ、ということです。
たとえば、プロ野球選手を思い浮かべてください。
彼らにとっては、ペナントレースの試合が「本業」になります。
ここでしっかりとした成績を残すことが、彼らの最大の使命です。
かといって、試合だけしていればいいというわけではありません。
やはり日々のトレーニングも欠かすことはできないのです。
もちろん、試合に差しさわりが出るほどのトレーニングは禁物でしょう。
試合に影響の出ない範囲で、しかしながら、しっかりと自力がつくような分量のトレーニングを実践していく。
これをビジネスに置き換えるならば、商談や商品開発、サービス提供といった「本業」に差しさわりのない範囲で、しかし、しっかりとそうじに取り組む。
スポーツ選手の場合、試合とトレーニングの割合は、どのくらいでしょうか?
8:2くらいでしょうか?9:1くらいでしょうか?
私たち企業人が、そうじにどのくらいの時間や労力をかけるかを考える際に、こうしたことが参考になるのではないでしょうか。
計画的な実行が効果的
さて、スポーツ選手のトレーニングと同様に、企業におけるそうじも、ただやみくもに行うのではなく、計画的に行うことが、効果を上げるために有益です。
おそらくスポーツ選手ならば、
「毎日○○トレーニングを行う」
「水曜日と土曜日は△△トレーニングを行う」
「夏場は◇◇トレーニングを行い、冬場は◆◆トレーニングを行う」
というようなスケジュールを立てて実行していることでしょう。
そうじも、まったく同じです。
毎日行うことと、一週間に一回行うこと、そして、季節ごとに行うことを計画に落としこむのです。
最近はスポーツの世界でも「科学的トレーニング」などと言われますが、これも「科学的そうじ」と呼べるでしょう。
それから、スポーツのトレーニングにおいては、
・専属トレーナーと契約して、指導を受ける
・専用のトレーニング機器を購入またはレンタルして、効果的なトレーニングをする
ということもあります。
これらは、お金がかかることではありますが、一流の選手ほど、こういうことにしっかりとお金を投入しますね。
同様に、そうじにおいても、それなりにお金をかけることも必要です。
たとえば、
・不要なモノが大量に出そうな場合、処分業者に依頼する
・そうじ道具や収納する場所についても、良いものを用意する
・環境整備専門の指導者を招いて指導を仰ぐ
このようなことが、結局は、良い活動を継続していく力になります。
将来に対する投資だという視点で、しっかりと拠出しましょう。
まとめ
最終的には、
「経営者がどこまで、社内の環境整備を経営課題としてとらえるか」
その思い次第、ということになります。
キーとなるのは、いかに長期的な視野が持てるか、ということです。
目の前の売上を上げるためには、そうじなどせず、営業に走り回ったほうがいいです。
しかし、そこでトレーニング(そうじ)を怠ったツケは、半年後、一年後、三年後に、形となって表れることでしょう。
ですから経営者の皆さんには、しっかりと肚を据えて、そうじに充てると決めた時間や労力、お金を、着実に投入していっていただきたいと思います。
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