2020年05月21日

会社に聖域を作らないとは、どういういことか【そうじの力で組織風土改革】

私は、お手伝いをする会社において、よく「聖域をなくしましょう」と呼びかけます。

その呼びかけに、ピンと来る人もいるし、ピンと来ない人もいるでしょう。

聖域って、なんでしょうか?

なぜ聖域はない方がいいのでしょうか?

聖域がなくなると、どんな良いことがあるのでしょうか?

今回は、そうじをして聖域をなくすことで、組織を良くする方法について解説していきます。

 

目次

①社長室が聖域になっていないか

②タブーはない方がいい

③物理的な壁が心理的な壁を作る

④”そうじ”はオープンな風土を作る活動

⑤まとめ

 

①社長室が聖域になっていないか

会社の中の聖域というと、真っ先に思い浮かぶのが、社長室です。

みなさんの会社では、社長はどこにどんな形で座っていますか?

独立した社長室にいるのでしょうか?

あるいは、大部屋に、社員の皆さんと一緒に座っているでしょうか?

社員さんたちが社長に話しかけたいとき、すぐに向き合える位置関係にあるでしょうか?

ある会社では、当初社長は、大部屋の隅に、パーテーションで仕切ったエリアに籠っていました。

パーテーションで仕切られた社長室

私が「なぜわざわざ、こうしてパーテーションで仕切っているのですか?」と問うたところ、社長は、「社員に見られたら困る書類もあるし、急に銀行さんが来られても困るから」というようなことを言っていました。

しかし、社員さんに見られて困るような書類は、そう多くはないでしょうし、銀行さんが急に来られても、煩わしいということはあるでしょうが、特段困ることもないはずです。

仕切られたエリアがないといけない、というのは、多分に社長の先入観だと思うのです。

こうした状況で引き起こされるのは、社員さんたちが社長にアクセスしにくい、ということです。

ただでさえ、経営者と社員は立場が違うので、近寄りがたいのです。

こうして壁で仕切ってしまうことで、余計に近づきにくくなってしまいます。

怖いのは、そうしたことが、お互いの信頼感の醸成を阻害しかねない、ということです。

別の会社の事例では、社長室が、社員の事務所とは別の階にありました。

全社で”そうじ”の活動を進める中で、社長室の状況が問題になりました。

はっきり言って、社長室が汚いのです。

社長は整理・整頓が苦手な人で、デスクには書類が山積みになっており、床にもいろいろなものが散乱していました。

私は、何度も社長に整理・整頓するように促しました。

また、社員さんと一緒になって整理・整頓すると、本人だけでやるよりも進む、というアドバイスもしました。

しかし、社長は自分でやろうとしません。

社員は出入りしてほしくない、ということで、社員を入れることもしません。

この会社では事実上、社長室が「聖域」になってしまっているのです。

社員に対しては、「そうじをしてキレイにしなさい」と説いているにもかかわらず、社長ご自身は、社長室を閉じてしまいます。

これでは、社員さんたちの信頼が得られないのは当然です。

残念ながらこの会社では、”そうじ”の活動が途中で頓挫してしまいました。

 

②タブーはない方がいい

社長室に限らず、会社内に、立ち入りがはばかられる場所があることは珍しくありません。

会長(先代)が関わるエリアだったり、古参社員の持ち場だったり・・・・・。

でも、会社というのは組織です。

それぞれが何らかの関わりを持ち、一人ではできないことを、皆で実現していく共同体です。

そこにアンタッチャブルなゾーンがあると、それだけで組織の「和」が崩れてしまいます。

もちろん、金庫であるとか人事情報のファイルであるとか、一般社員がアクセスできないものもあるでしょう。

でも、そういったものは、ほんの一部のはずです。

諜報機関に属する工作員たちが、それぞれの情報を同僚にも漏らさない、というような状況であれば話は別ですが(笑)、私たち一般企業において、お互いに触れてはいけないことなど、ほとんどないはずです。

あるとすれば、それは本人だけが持っている役に立たない「こだわり」です。

タブーの存在は、組織内に無用な緊張感を生み出します。

誰かの「特権」を認めると、組織全体に「自分勝手」な風土が拡がってしまいます。

 

③物理的な壁が心理的な壁を作る

部屋が閉じられていたり、パーテーションで区切られていたりすると、その物理的な壁が心理的な壁を作ります。

だから、心理的な壁を取り払うには、物理的な壁を取り払えばいいのです。

ある会社では、当初、社員それぞれのデスクの間に、パーテーションがありました。

仕切られている方が、仕事に集中できる、というのです。

パーテーションで仕切られたデスク

しかし私は、”そうじ”の活動を進める中で、パーテーションを取り払うことを提案しました。

反対意見もありましたが、「ものは試しで、まずはやってみよう」と、少し強引でしたが、取り払ってもらいました。

パーテーションを取り払ったデスク

すると、当初は「向かいの社員の顔が見えて、なんだか気恥ずかしい」という声もありましたが、すぐに「このほうがお互いに会話がしやすく、必要な情報交換がスムーズにできる」という声が大勢を占めるようになりました。

また別の会社では、当初、社長室が2Fにありました。

社員さんたちは1Fの大部屋にいます。

社長ご自身も、2Fではなく1Fに移ることを希望していたのですが、1Fにスペースがない、という理由でできませんでした。

そこで、1Fの不要物を捨て、整理を進めることでスペースを作り、そこに社長のデスクを移しました。

おかげで、社長いわく、「社員とのコミュニケーションが各段に良くなりました」とのこと。

こんな簡単なことでコミュニケーションが良くなるのですから、やってみない手はありません。

物理的な風通しの良さは、心理的な風通しの良さをお膳立てします。

 

④”そうじ”はオープンな風土を作る活動

なぜ”そうじ”の活動で社長室を廃止したり、パーテーションを取り払ったりするのかというと、単純に、「囲われた空間は、乱れやすく汚れやすいから」、という理由があります。

パーテーションで囲われていると、その中が治外法権になり、書類が山積みになったり、私物や不要物が溜まったりします。

パーテーションがあると、隅や奥に手が届きにくく、掃き掃除や拭き掃除もしにくいです。

だから、できるだけオープンにすることで、空間をキレイにしやすくなるのです。

そして上述したとおり、空間がキレイになるだけでなく、そこに集う人の心も、互いに「オープン」になる効果があるのです。

上記①でご紹介した、パーテーションで囲われた社長室は、”そうじ”の活動を進める中で、社長がパーテーションを取り払う決断をしてくれました。

パーテーションを取り払った社長デスク

実はこの会社においては、この社長室のパーテーションを取り払ったことが、その後の”そうじ”の活動が加速するキッカケになりました。

後年になって、ある社員さんが私にそっと話してくれたのですが、「あそこで社長が自分のこだわりを捨ててくれたおかげで、社員も社長の本気度を感じて、やる気にスイッチが入った」ということなのです。

また、別の会社の事例ですが、当初、社長のデスクは書類の山で覆われていました。

まさに「足の踏み場もない」という状況でした。

書類山積みのデスク

 

 

別に壁があるわけではありませんが、これでは社員さんも、うかつに社長に近づけません。

ヘタに近づくと、触れてはいけない書類に触れてしまうからです(笑)。

その社長のデスクを、整理・整頓してキレイにしてもらいました。

クリアなデスク

すると、社員さんたちが、気軽に社長にアクセスできるようになります。

それだけではありません。

この会社では、”そうじ”の委員会が定期的に社内の巡回チェックを行っているのですが、そのチェック対象には、社長のデスクも含まれているのです。

もちろん、社長立ち合いの下でのチェックです。

どうしてそんなことが可能かというと、常に整理・整頓しているから、見られても恥ずかしくないのです。

私自身、社長なので、社長という人種の特徴はよくわかります。

自分の弱みや不都合を、他人に見せたくないのです。

山積みになったデスクは、見せたくないものの典型です。

だから、「見られては困る大事な書類があるから」とかなんとか言い訳を並べて、見られるのを拒否するわけです。

でも、こうして常に整理・整頓しておけば、それはむしろ誇るべきことなので、堂々と「どうぞ見れくれ」となるのです。

もちろん、こうしたことが、社長と社員の心理的な壁を取り払い、お互いの信頼関係の構築に寄与することは、間違いありません。

 

⑤まとめ

物理的な聖域が存在するということは、そこに必ず心理的なタブーも存在するということです。

心理的な問題を解決するのは、とても難しいです。

それこそ、心理カウンセラーや専門家の領域かもしれません。

でも実は、上述したように、物理的に手を打つことで、解決できることもあるのです。

”そうじ”は、聖域をなくし、オープンな社風を作る活動なのです。

 

 

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