2020年05月26日
『半日村』の一平に憧れて【そうじの力で組織風土改革】
”そうじ”の取り組みは、地味で根気のいるものです。
派手に見える営業施策や新商品開発、あるいは設備投資などに比べて、なんとも目立たず、泥臭い取り組みです。
そうじをすれば、必ず会社が良くなり、業績が良くなります。
ですが、結果が出るまでに時間がかかり、ダイレクトな因果関係が見えにくいために、どうしても軽視されがちです。
だから、続けるためには、トップの強固な意志が要ります。
ときに、くじけそうになることもあるでしょう。
そんなとき、心を奮い立たせてくれる、とても好きな童話があります。
斎藤隆介:作、滝平二郎:絵の『半日村』(岩崎書店)という童話です。
出版社の許可を得て、少しだけあらすじをご紹介します。
ある村は、東側に高い山があって、なかなか日が昇りません。
お昼ごろになってようやく日が昇るので、半日しか日が当たらず、『半日村』と呼ばれています。
そのため、農作物は育たず、村人たちは皆やせて、蒼い顔をして、元気がありません。
父母の困っている姿を見た少年、一平は、翌日から行動を開始します。
一平の取った行動。
それは、東側に立っている山に登り、頂上の土を削って袋に詰め、それを持って降りてきて、その土を湖にあける、というものでした。
一平は来る日も来る日も、それを続けます。
一平の姿を見た人たちは、子どもも大人も、最初はバカにしていました。
「山がうごかせるもんじゃねえ。みずうみをうめられるもんじゃねえ」と。
しかし、まず子どもたちが一緒にやりはじめます。
一平の姿を見て、なんだか面白そうな気がしてきたからです。
次に、大人たちが手伝いはじめます。
一人二人が手伝いだすと、三人四人。
三人四人がやりはじめると、五人六人。
ついには、村中の人たちが、来る日も来る日も山に登って、土を運んで降りるようになります。
そうして、何年も何年も経ちます。
当時の大人は死に、一平たちも大人になりました。
ある日、にわとりが鳴くと同時に、半日村に日が差しました。
ついに、山が低くなり、朝に日が差すようになったのです。
それから村は、『一日村』と呼ばれるようになります。
こんなお話です。
しょせん童話、と片づけられない真理が、そこにあるように思いませんか。
世の中に、こうしたことは、実際にあると思います。
何を行うのも、最初は一人です。
でも、信念を持って続けていけば、必ず賛同者が現れます。
少しずつ賛同者を増やしていって、それがいつの間にか、世の中を変えるような動きにつながっていくのです。
“そうじ”を通じた組織風土改革の取り組みは、言ってみれば、一平の取り組みです。
私自身、とても一平のようにはなれませんが、あこがれの存在です。
ご興味を持っていただいた方、ぜひ実際の『半日村』を読んでみてください。
決して子ども向けの物語ではありません。
大人が読んでも、十分に読み応えがあります。
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