2020年05月27日
車のそうじをすれば、事故は減る【そうじの力で組織風土改革】
車を使ってお仕事をされている方も多いと思います。
運輸・物流業はもちろんのこと、建設業でも車を使う場面は多いでしょう。
車で営業に回ることもあるでしょうし、飲食業においても、デリバリーなどで車を使うケースも増えてきているようです。
こうした、車を使う仕事において、一番気がかりなのは、交通事故でしょう。
交通事故防止のために、安全運転の励行を呼びかけている会社は多いと思います。
ただ、そうした呼びかけが、実際に功を奏しているでしょうか?
実は、交通事故を減らす、一番簡単で確実な方法は、車をキレイにすることなのです。
私も、たくさんのクライアントさんのお手伝いをしてきましたが、車をキレイにする活動を始めた途端に、事故が激減した、という報告を数多くいただいています。
なぜ車がキレイだと事故が少ないのか?
因果関係を科学的に証明することは難しいかもしれません。
ただ逆に、事故を起こす車に汚いことが多い、というのは、実は警察関係者の間では定評になっているそうです。
事故を起こす車は、たいてい、車の中に余計なものがごちゃごちゃ載っていて、ボディも汚れていることが多いのだそうです。
私たち人間と周囲の環境は、相互に共鳴し合っていますから、汚い車は乱暴な運転を招き、キレイな車は丁寧な運転を促すのでしょう。
今回は、事故を減らすための、「車をキレイにする方法」について解説していきます。
目次
①駐車位置を整える
①-1 斜めでなく真っ直ぐに停める
①-2 向きを揃える
①-3 左右の間隔を均等に
①-4 鼻かお尻を揃える
②タイヤを真っすぐにする
③車内に余計なものを載せない
③-1 荷室に余計なものを載せない
③-2 キャビンに余計なものを載せない
③-3 グローブボックスに余計なものを入れない
③-4 ダッシュボードに物を置かない
④奥や裏までしっかりとそうじする
④-1 そうじ道具の説明
④-2 車内のそうじ
④-3 ホイールのそうじ
④-4 ボディのそうじ
④-5 エンジンルーム内のそうじ
⑤まとめ
①駐車位置を整える
①-1 斜めでなく真っ直ぐに停める
車を停めるときに、駐車場のラインを無視して、斜めに停める人がいます。
わざとそうしている人はあまりいないでしょうが、無意識のうちにやっているのだと思います。
そうではなく、駐車場のラインに平行に停めましょう。
もちろん、ラインを跨いだり踏んだりするのは論外です。
ラインの中に納まるように駐車しましょう。
実は、普段から訓練していないと、意外に真っ直ぐに停められないものです。
①-2 向きを揃える
複数の車を停める際に、向きがバラバラのことがあります。
ある車は前向きで、別の車は後ろ向き、というように。
そうではなく、どちらかに統一して、全車同じ向きに停めるようにしましょう。
前向きが良いのか、後ろ向きが良いのか、それは、それぞれの状況によります。
植え込みなどがある場合には、排ガスで花を枯らさないように、前向きに停めるのが良いかもしれません。
あるいは、隣接して民家がある場合には、ライトを照らして迷惑にならないように、後ろ向きにするのが得策かもしれません。
いずれにしても大事なのは、どちら向きにするのか、会社として統一する、ということです。
①-3 左右の間隔を均等に
ラインに平行に停めたとしても、左か右に寄っている場合があります。
右側は50cmくらい空いているのに、左側は5cmくらいだったりするのです。
そうではなく、左右の間隔を均等にして停めるようにしましょう。
そうしないと、隣に停める人が困ってしまいます。
①-4 鼻かお尻を揃える
向きを統一し、ラインに平行に、左右の間隔を均等に停めたら、最後の仕上げで、車の鼻もしくはお尻を揃えましょう。
なぜそんなことをするのか?
実際にやってみて、比較してみれば、すぐにわかります。
上の写真のように、お尻がバラバラの場合と、
このようにお尻が一直線に揃っている場合。
どちらに好印象を持たれるでしょうか?
当然、揃っている方ですよね。
こうしたことをするのは、けっこう面倒です。
でも、こうした面倒な作業をすることで、気持ちを整えることができます。
普段からこうした訓練をしていれば、走行中も、センターラインを越えたり、交差点で停止線を越えたりといったことを、しないように心がけるでしょう。
②タイヤを真っすぐにする
駐車をする時に、タイヤを曲げたまま停める人がいます。
このことを、さほど気にしない人が多いようです。
そうではなく、タイヤを真っ直ぐにして停めましょう。
理由はいくつもありますが、大きくは二つ。
まず、機械的に負荷をかけます。
タイヤは元来、真っ直ぐになるように出来ています。
バネの力で、真っ直ぐに戻るようになっているのです。
だから、駐車中にタイヤを曲げていると、足回りを傷めてしまいます。
もう一つの理由は、社用車など、複数人が利用する車の場合です。
ある社員が、タイヤを曲げたまま車を駐車したとします。
その後、別の社員が、その車を使うとします。
その社員にとっては、駐車中の車のタイヤは真っ直ぐになっているもの、という意識があります。
タイヤが曲がっていることを意識せずにアクセルを踏んで、車体が思わぬ方向に進んでしまい、事故になる、という恐れがあるのです。
これも、普段から習慣づけていないと、「つい」やってしまいがちです。
こういう「クセ」のある人は、習慣づくまでは、強く意識して繰り返す必要があります。
③車内に余計なものを載せない
③-1 荷室に余計なものを載せない
荷室(トランクルーム、ラゲッジスペース)に余計なものを載せている人が多いです。
そもそも、「余計なもの」の定義が、人によって違うのです。
私の定義する余計なものとは、「今日その場で使わないもの」です。
つまり、その日その場で使うものだけを載せる、ということです。
人によっては、使うのか使わないのかよくわからないようなもので、荷室がパンパンになっていることがあります。
もっとも、建築業や設備業などでは、いざという時のために、工具や補修部品、交換部品を常備していることもあるでしょう。
確かに、そういったものは必要です。
しかし、中には、もう3年も5年も使っていないような工具があったり、使用期限の切れたコーキング剤が固まったまま放置されていることもあります。
それらは言ってみれば「ゴミ」ですから、ゴミを載せたままではいけません。
余計なものが多いと、車重が重くなり、燃費にも悪影響を与えます。
中身を精査して、本当に使う可能性のあるものだけにしましょう。
理想は、毎日その日に必要なものだけ載せ、一日の業務が終わったらすべて降ろす、という形です。
③-2 キャビンに余計なものを載せない
同様に、キャビン(運転席、助手席、客席)にも、余計なものを載せないようにしましょう。
外回りの営業マンでよくあるのは、営業グッズを、大量に助手席や後部座席に積んであるケースです。
チラシやカタログ、ニュースレター、筆記用具やメジャーなどを、無造作に座席の上に置いてあることが多いです。
しかし、積みっぱなしであるために、いざという時には見つからずに探したり、目当てのチラシがクシャクシャに折れ曲がっていたりします。
たとえ毎日使うものだとしても、当日の朝に、その日に使う分だけ載せた方がいいです。
その行為そのものが、当日の仕事の準備作業と言えます。
こうしてきっちりと当日の準備をする営業マンの方が、成績がよくなることは、当然でしょう。
キャビンに余計なものが多いと、いざというときに、お客様を乗せることもできません。
セダンならば、本来、ドライバーの他に、3人のお客様を乗せることができるはずです。
③-3 グローブボックスに余計なものを入れない
同様に、グローブボックスにも、余計なものを入れないようにしましょう。
グローブボックスは死角です。
ついつい、いろいろなものを入れっぱなしにしてしまいがちです。
ペンやメモ帳などの筆記用具から、ゼムクリップや輪ゴム、タバコやガム、果てはお店のポイントカードから現金などまで・・・・・。
確かに、常備しておくと便利なものもあります。
しかしそれらは、必要最小限のものでいいでしょう。
特に、現金を裸のままで置いておくのは問題です。
そのような状態を放置しておくと、お金にルーズな風土を作ってしまいます。
私物ならば自分の財布に入れる。
業務上必要なものであれば、しかるべき容器に入れた上で、その日ごとに清算すべきです。
不思議なことに、こうしたグローブボックスのような「見えないところ」の状態が、なぜか運転者に空気として伝わるのです。
③-4 ダッシュボードに物を置かない
ダッシュボードにものを置く人が多いですが、絶対にやめたほうがいいです。
ボックスティッシュや仕事で使う伝票などを、ダッシュボードに置いている人をよく見かけます。
しかし、ダッシュボードにものを置いていると、それがフロントウィンドウに反射して、視界を遮り、非常に危険です。
「助手席側ならいいんでしょ?」と言う人がいますが、助手席側のフロントウィンドウの視界も大切です。
また、カーブを曲がった際に、勢いで、助手席側のダッシュボードに載っていたものが運転席側に滑ってくる、という恐れもあります。
それから、バックミラーからお守りを吊り下げている人がいますが、あれも視界を遮るので絶対にやめましょう。
およそ、フロントウィンドウの周辺には、いっさいのものを置いたり吊り下げたりしないほうがいいです。
④奥や裏までしっかりとそうじする
④-1 そうじ道具の説明
車のそうじ方法に、唯一絶対の正解があるわけではありませんが、お勧めの方法はあります。
私のやり方では、使う道具は、バケツ2個、洗車ブラシ、歯ブラシ、洗車スポンジ、綿雑巾、洗車用クロス、マイクロファイバークロス、ハンディ掃除機、脚立、です。
一般的な方法と大きく違うのは、ホースと洗剤を使わない、ということです。
まずホースを使うということは、水道の蛇口が近くにある所でないと出来ません。
しかし、実際には、バケツに水を汲めば、どこでも洗車はできます。
また、洗剤は、油分が多ければ有効ですが、車のボディの汚れは、ほとんどが砂や土ですから、あまり意味がないのです。
加えて、洗剤を使わなければすすぎも楽で、水の節約にもなります。
④-2 車内のそうじ
まず車内のそうじを行います。
フロアマットをすべて外して、泥や砂利をはたきます。
その間に、ハンディ掃除機で、足下を掃除します。
シートの座面と背もたれの間などは、ゴミやホコリが詰まっているので、要注意です。
ワゴンやバンの場合は、座席が折りたためるものもあるので、その場合には折りたたんで掃除機をかけます。
ボディの洗車をした後に、雑巾やクロスで拭き上げるのですが、長くなるので、ここでは割愛します。
ポイントは、場所によって雑巾やクロスを使い分けるということと、裏や奥といったところも、しっかりと拭くということです。
ドアの内側の、ボディフレームと接触している所などは、要注意です。
④-3 ホイールのそうじ
車内のそうじが終わったら、次にホイールのそうじです。
特に、前輪ホイールは、ブレーキパッドの粉が付着して、汚れています。
ブラシに水を含ませて、しっかりこすりましょう。
細かい部分は、歯ブラシを使うとキレイにそうじできます。
また、車によっては、ホイールキャップが付いているものもあります。
ホイールキャップを取り外してください。
きっと、ホイールキャップの裏側は、真っ黒に汚れているはずです。
ホイール周辺が汚いと、車全体がくすんで見えます。
逆に、ホイール周りが光っていると、車全体が引き締まって見えます。
人間の靴と同じですね(笑)。
④-4 ボディのそうじ
さて、ボディ全体の洗車です。
手順としては、まず洗車スポンジにバケツの水を含ませて、それでボディをこすっていきます。
次に、洗車クロスで水分を拭き上げます。
ルーフに始まり、バック、両サイド、フロント、と同じ要領でそうじしていきます。
もちろん、途中、随時、スポンジに水分を含ませたり、クロスをすすいだりします。
ホースや洗剤を使わない簡易的な方法ですが、よほどのひどい汚れでない限り、この方法でじゅうぶんにキレイになります。
④-5 エンジンルーム内のそうじ
最後の仕上げとして、ボンネットを開けて、エンジンルームのそうじをしましょう。
といっても、エンジンルーム内は機械が複雑に配置されているので、ざっと雑巾で拭くくらいで結構です。
このついでに、点検をしてほしいのです。
点検なんて全然しないという人も多いでしょうが、道路交通法では、始業前点検をすることが義務づけられています。
エンジンオイル、ミッションオイル、ブレーキオイル、ウィンドウォッシャー液、バッテリーの、それぞれの残量チェックだけでもしたいものです。
こうして点検することで、車の異常の早期発見につながります。
実際に私も、エンジンルームを開けてみたら、ある部品のネジが取れて、その部品が落ちかかっているのを発見して、すぐに修理に出したことがあります。
⑤まとめ
こうして言葉で説明すると、とても長くなるのですが、実際には、これらの手順を全部一人で行っても、所要は1時間くらいです。
まして、会社で2~3人で一緒にやれば、20~30分間でやることができます。
また、冒頭部分でご説明した車の停め方は、習慣になってしまえば、さほど負担にはなりません。
このように、車の停め方を整え、車をキレイにすることで、確実に事故は減ります。
運転の質も上がります。
お金もかからず、誰でもできる取り組みです。
そして、こうしたことは、車に限りません。
同じことが、製造業における機械設備にも言えますし、小売店における店舗設備にも言えるのです。
そうじをすれば、会社は良くなるのです。
Youtubeチャンネルで、車のそうじ方法を実地で解説しています。
こちらも併せてご覧いただければ、より一層理解が深まると思います。