2020年06月03日

見えない所をそうじすれば、会社は良くなる【そうじの力で組織風土改革】

そうじの重要なコツのひとつが、「見えない所」を重点的にキレイにすること。

一般家庭におけるそうじならば、むしろ「見える所」を重視するかもしれません。

しかし、私たちが目指すのは、そうじを通じて組織風土を改革すること。

それには、見えない所をしっかりとそうじする必要があります。

では、なぜ見えない所をそうじすると、会社が良くなるのでしょうか?

今回は、それを解説していきます。

 

目次

①見えない所に本性が出る

②見えない所に問題が溜まる

③見えない所がクオリティを左右する

④見えないと自分勝手な風土を招く

⑤行き届いていることが「おもてなし」

⑥まとめ

 

①見えない所に本性が出る

まず、「見えない所に本性が出る」ということです。

人間、誰しも裏と表があります。

特段に邪悪な性癖の持ち主でなくたって、表の顔と裏の顔に多少の違いはあるでしょう。

で、裏と表と、どちらがその人の本性かというと、やはり裏でしょう。

企業も同じです。

表に見える所と、裏側の見えない所。

どちらにその企業の本性が表れるかというと、やはり裏側の「見えない所」なのです。

たとえば、下の写真を見てください。

これは、ある飲食店の裏口のようすです。

飲食店裏側1

見るからに荒れていますね。

角度を変えて見てみると、このような感じです。

飲食店裏側2

手前に見えているのは、どうやら使っていない業務用冷蔵庫と、洗濯機のようです。

この飲食店、べつにつぶれたわけではありません。

表側は、それなりに小ぎれいで、普通に営業しています。

しかし、裏側はこのような状態なのです。

お客様は通常、表しか見ません。

でも、もしこの裏側のようすを見たら、どのように思うでしょうか?

特に、飲食店には清潔さを求める消費者は多いですから、これを見たお客様が逃げていくことは、じゅうぶんにあり得るでしょう。

ここでちょっと視点を変えていただきたいのですが、「こちらの裏側は相手の表側」ということです。

たとえば、私のようにここを通りがかった人間から見ると、この面は「表面」なのです。

また、最初の写真をよく見ると、おしぼりの入ったカゴがあります。

つまり、おしぼり業者さんは、ここでおしぼりの配送と回収を行うわけです。

おしぼり業者さんにとっても、こちらが「表面」になるわけです。

こうして裏側に現れた真の姿を見た人が、口コミでそのことを知人に伝えることもあるでしょう。

それを知った人たちは、さぞ興醒めするに違いありません。

だからこそ、本性の出る裏側をキレイにする必要があるのです。

ちなみにこのお店は、その後、閉店しました。

 

②見えない所に問題が溜まる

次に、「見えない所に問題が溜まる」という現実です。

一見、何も問題がないように見える人にも、表からは見えないところで問題を抱えている、ということは少なくありません。

企業もまったく同じです。

たとえば、下の写真です。

工事業者倉庫

これは、ある工事業者の倉庫です。

ここには、工事で使う資材や道具、私物や、現場から出た廃棄物、ゴミなどが積み上げられています。

このようすから窺い知れるのは、この会社では、道具の管理や資材の在庫管理がうまくいっていないだろう、ということです。

実際、道具を探すのに時間がかかったり、無駄な在庫を抱えて、そのぶんコストがかかったりしているわけです。

もう一つの写真を見てください。

建屋の隙間の不要物

これは、建屋と建屋の隙間に、使わないものを押し込んでいるようすです。

ここからわかるのは、この会社では「不要物の処分方法のルールが定まっていない」ということと、「面倒なことを後回しにする、その場しのぎの風土がある」ということです。

こんなふうに、「見えない所」には、見事にその組織の抱える問題が溜まるのです。

だから、裏側をキレイにするということは、そこに現れた問題を解決する、ということなのです。

上の工事業者の倉庫は、今では下の写真のようになっています。

工事業者倉庫アフター

こうして乱れた裏側をキレイにするには、単に不要物を捨てたり、置場を整えたりするだけでなく、道具の管理方法を明確にしたり、廃棄物処理のルールを決めたり、といったことが必要になります。

この過程で、そうした問題が解決していくわけです。

つまり、「見えない所」のそうじをすることで、潜在的な問題が顕在化し、その問題に手を打つことで、組織としての問題解決ができる、ということなのです。

 

③見えない所がクオリティを左右する

製造業にしろ、サービス業にしろ、製品やサービスのクオリティを左右するのは、実は「見えない所」だという現実があります。

たとえば、下の写真を見てください。

撹拌機の下部ビフォア

これは、食品メーカーの撹拌機の下部です。

パネルで囲われた内部が、ご覧のように食品クズでびっちり覆われています。

ここから、かなり強い悪臭(アンモニア臭)がしています。

付着した食品クズが腐敗して、その臭いがしているわけです。

これでは、いくら見える所の衛生面に気を遣ったところで、工場内の雑菌の繁殖は防ぐことができません。

だから、下の写真のように、見えない所をピカピカにするのです。

撹拌機の下部アフター

こうすることで、はじめて、工場内を衛生的に保つことができるのです。

食品メーカーや飲食店では、こうしたことに、特に注意せねばなりません。

下の写真は、飲食店のカウンターの内部の足下です。

カウンター内部

こんなふうに、シンクの下部が汚れていては、店内にある食品や食器を汚染してしまいます。

これもやはり、「見えない所」です。

もちろんこうしたことは、食品以外でも同様です。

たとえば、車の整備業。

下の写真は、整備工場の一角です。

整備工場

このような状態で、良い整備が期待できるでしょうか?

欲しい工具を見つけるのにいちいち時間がかかり、場合によっては、大切な部品をなくしてしまうかもしれません。

車の整備業において、本番は「整備」です。

整備工場内をお客様が歩いて回ることは、あまりないかもしれませんが、ここが会社にとって価値を生み出す源泉なのです。

いくらお店の表面を小ぎれいに整えたとしても、整備のクオリティが低ければ、何の意味もありません。

だから、「見えない所」をそうじする必要があるのです。

 

④見えないと自分勝手な風土を招く

他人から隠れて見えない閉ざされた空間は、その本人のプライベート空間と化します。

本人にとっては居心地がいいかもしれませんが、他人の干渉が遮断されて、管理が行き届かなくなります。

組織としての一体感に欠け、情報共有もしにくくなります。

厳しい言い方をすれば、「自分勝手な風土」を招いてしまうのです。

会社という、本来「公」の場には、こうした「私」の空間は、なるべく少なくしたほうがいいのです。

下の写真を見てください。

この事務所では、当初、このようなレイアウトでした。

パーテーションで区切られたデスク

それぞれのデスクが、パーテーションで区切られています。

入口に立つお客様や取引業者からは、自分たちの手元が隠されて見えません。

同僚同士も、パーテーションによって遮蔽されています。

このような環境だと、前述したような「自分勝手」な風土を招きやすいのです。

そこで、下の写真のようにレイアウトを変えてみました。

パーテーションを取り払った事務所

すべてのパーテーションを取り払いました。

すると、隠れた「見えない所」がなくなり、すべてが「公」の空間になります。

こうすることで、コミュニケーションが取りやすくなり、情報共有も進みます。

組織としての一体感が強くなり、組織のルールが浸透しやすくなります。

つまり、物理的な「風通しを良く」したことで、「風通しの良い」風土ができたわけです。

だから、「見えない所」をできるだけ少なくする工夫が求められるのです。

 

⑤行き届いていることが「おもてなし」

特にサービス業の場合、お客様への「おもてなし」に差が出る一つのポイントが、「見えない所にまで行き届いている」かどうか、ということです。

たとえば、ホテルの場合。

見える所がキレイなのは当たり前。

ベッドの下の床面にもホコリがない。

壁に掛けてある絵画の裏側にもホコリがない。

こういう状態こそが、お客様に対する本物の「おもてなし」と言えるのではないでしょうか。

もちろん、好んでベッドの下を覗き込むお客様は、あまりいません。

しかし、何かの拍子にベッドの位置がずれて、ベッドで隠されていた床面が露わになることはあり得ます。

そんなとき、ホコリだらけならば、「まあこのホテルなら、この程度だな」と思われるでしょうし、ホコリのない状態ならば、「さすがこのホテルだ!」となるでしょう。

いくら「おもてなし」と口先だけで唱えたところで、実態が伴わなければ、お客様に見透かされてしまいます。

そのひとつの実践が、「見えない所」までしっかりとそうじをすることなのです。

 

⑥まとめ

いかがだったでしょうか。

「そうじ」や「環境整備」、あるいは「5S活動」について解説した本やサイトで、このように「見えない所」の大事さを説いているのを、あまり見かけたことがありません。

「見えない所」に踏み込んで取り組みを行うのか、あるいは「見える所」へのアプローチに留まるのかは、組織風土を本気になって改革しようとするのか、あるいは表面だけなぞってお茶を濁すのか、という違いと言ってもいいでしょう。

ですから、本気で組織風土改革をしたいと望むのであれば、ぜひとも全社を挙げて「見えない所」のそうじに取り組んでみてください。

 

 

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