2020年07月06日
在庫管理のコツ【そうじの力で組織風土改革】
あなたの会社では、「在庫管理」はできていますか?
モノを扱う仕事において、在庫管理は必要不可欠。
在庫を販売することで初めて利益が発生するからです。
在庫管理ができていなければ、販売機会の損失、需要変動リスクへの対応遅れ、必要資材欠品による納期遅れなど、経営に関わるトラブルが多く発生することでしょう。
「管理はできていないけれど、わが社には原料や資材の在庫が余裕をもって大量にストックしてあるので大丈夫」
「在庫管理しなくちゃいけないほど大きな商売じゃないし…」
小さな会社でも、在庫管理は健康な経営環境を作るのに必須。
本記事では、過剰在庫が起こる原因と、在庫管理の始め方について説明します。
目次
なぜ過剰在庫が起こるのか
例えば建築系の会社の場合、倉庫にたくさんの建材をストックしてあることがあります。
これは、現場で余ったものを引き上げてきたり、誤発注や手違いにより使えなかったものがそのまま積まれていたりするからです。
その場で捨てるのはもったいないですので、どこか他の現場で流用できればベストです。
しかし、往々にして、倉庫に置きっぱなしで、使われずにホコリをかぶって何年も経ってしまうものです。
気づいたときには、倉庫は足の踏み場もなくなっているわけです。
小売り系の会社の場合、セールの前などに販売量を予測して商品を仕入れます。
そもそもの予測が外れたり、天候悪く客足が伸びなかったなどで、在庫が多めに残ってしまったということがあるでしょう。
製造業の場合、受注時に欠品があると生産できません。
また、製品の欠品が起こると、販売店からの注文にすぐに答えられません。
倉庫にスペースがある限り、原材料や仕掛品を多めに持っておきたいというのが生産現場の声でしょう。
在庫管理を疎かにするデメリット
商品、資材、仕掛品などが、倉庫の中に積まれ、埃をかぶって何年もそのままになっていると、どのようなことが起こるでしょうか。
一つ目は「劣化」です。
カビなどで劣化が起こります。
段ボールに入っているものは、箱や商品そのものにカビが生えるかもしれません。
ネズミに齧られる、虫害も起こるかもしれません。
金属やプラスチックなども、温度や湿度によって錆が出たり、品質劣化が起こることでしょう。
つまり、「いざ使いたいときに、実は全く使い物にならなかった」という事態が生じる可能性があります。
また、劣化したものは正規の金額で販売することはできないでしょう。
値下げするか、処分するか、いずれにしても、仕入れ以下で販売することになった場合、損失が発生します。
在庫を管理することは、品質と収益を安定させることでもあるのです。
二つ目は「機会損失」です。
倉庫の中にストックがあれば、確かに「モノ」はそこにあることでしょう。
しかし、「何がどこにあるか」を「誰もが」分からなければ、それは「そこにないもの」と一緒です。
結局「在庫は存在しているが、発注してしまった」「在庫はあったが、顧客に『ない』と伝えてしまった」など、販売機会の損失が起こります。
三つめは「余計な維持費用の増加」です。
「モノがそこにある」ことは、そこにスペースがあるということです。
「倉庫は自社の土地なので問題ない」といって、倉庫をパンパンにしてしまったら、通路は狭まり、フォークリフト等での作業性が悪くなります。
出し入れする作業も頻繁に発生することでしょう。
棚卸を行っている場合、ものがあればあるほど手間が増えることになります。
必要のないものが溜まるほど、これらの「余計な維持費用」が増えることになります。
在庫管理するために必要なこと
では、いざ「在庫管理をしよう!」と思っても、やみくもにモノの数を数えていけばいいわけではありません。
今まで全く取り組んでいなかったのであれば、次の3つのステップを踏んで進めていきましょう。
現状を把握する
在庫管理をする、というと「わが社にはどんなソフトやシステムが合うだろうか」と、管理システムから探し始めようとするかもしれません。
でも、その前にすべきことがあります。
それは、「わが社にあるもの」「これから使うもの」をきちんと把握することです。
私がクライアントさんのお手伝いに入るとき、ほぼすべてのケースで最初にやるのが、整理です。
整理、つまり「全部出して、確認して、使わないものは捨てる」こと。
「全部出す」がなかなか億劫なのですが、全部出さないと「何があるのかわからない」ので、全部出してもらいます。
使われていないものは処分する
その上で、「使わないものは捨てましょう」と強く勧めます。
モノを捨てることに抵抗感を持つ人は多いです。
特に経営者は、会社にあるものすべてが自分の懐を痛めたもの、という意識がありますから、それを捨てるのに抵抗感があるのは、当然です。
ただ、そうはいっても、結局「使わないものはゴミ」になってしまうのです。
ゴミを放置しておくと、場が荒れます。
場が荒れると、気持ちも荒れます。
このような要素は、一刻も早く除去せねばなりません。
だから私は、反発や抵抗があっても、強く「捨てる」ことを説くのです。
使わないものを捨てて、ストックの物量を減らす。
そうしてはじめて、在庫管理の基盤が整います。
まずはシンプルな「システム」からつくる
とはいえ、そのまま放っておけば、半年後や一年後に、また在庫が増えてしまうことも事実。
ここではじめて「在庫の管理の方法」を考えます。
ただし、最初から高価な在庫管理ソフトを使ったり、独自の在庫管理システムを構築する必要はありません。
むしろそうしたものは、扱いきれなくて、結局使いこなせない、ということになりがちです。
まずはもっとシンプルで、単純なものから始めましょう。
たとえば、このようなホワイトボード。
例えば建設系の会社の場合、ここに
・現場から引き揚げてきた資材
・誤発注で余ってしまったりした建材
を、書き込んでいくのです。
このホワイトボードを、事務所の目立つところに掲示しておきましょう。
そして、折に触れて、たとえば朝礼などで、皆で内容を確認するのです。
そうすることで、これらの在庫を他の現場で流用する意識が芽生えます。
実際に使ったら、リストから消していきます。
なるべく早く、すべてを消したいですね。
リストアップしたものすべてを流用することはできなくとも、多くを有効活用できることでしょう。
まとめ
「在庫管理」というと、何か難しく聞こえるかもしれませんが、要はそうじの延長線上にあるアクションです。
モノを減らし、リストアップする。
これだけで、物事はずいぶんと進みます。
ぜひ、「いったんすべて出す」からスタートしてみてくださいね。
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