2021年08月25日

こんな環境整備は失敗する!継続&改善できない4つのパターン【そうじの力で組織風土改革】

こんにちは。

そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力

代表取締役・組織変革プロデューサーの小早 祥一郎です。

 

整理・整頓・清掃を通じて、自社の現状や経営課題を明らかにし、全員でより良い企業風土を作る活動。

弊社ではこれを”そうじ”と表現しています。

「環境整備」や「5S活動」とも言われています。

 

ですがこの環境整備、

「やれば効果はあるんだろうけど、失敗することはないんだろうか?」

「ウチに導入して、失敗しないだろうか?」

と心配される向きもあるでしょう。

 

私の経験から申し上げられるのは、

「ほとんどのケースで成功しますが、失敗パターンにあてはまる場合には、残念ながら難しいでしょう」

ということ。

 

今回は、「環境整備で失敗するパターン」についてご説明します。

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「環境整備の失敗」の定義

 

「環境整備」「5S」という言葉を聞くと、まず

「職場環境をきれいにする」

ということが連想されるでしょう。

 

「きれいにする」ことに、失敗というものはありません。

やれば、必ずきれいにはなります。

では、何をもって「環境整備の失敗」と定義をするか。

 

冒頭にお伝えしたとおり、環境整備の目的は「きれいにする」ことではありません。

「整理・整頓・清掃を通じて、自社の現状や経営課題を明らかにし、全員でより良い企業風土を作る活動」

ことが目的です。

 

環境整備を進めていくと、必ずと言っていいほど、会社の抱える経営上の課題が明らかになります。

ですので、取り組むべき経営上の課題が明らかになった時に、

  • 環境整備を継続すること自体をやめてしまう
  • 課題の解決を後回しにしてしまい、「きれいにする」ことのみに固執してしまう

これらの状態に陥ってしまった場合を「失敗」と定義づけることにしましょう。

 

 

失敗する4つのパターン

 

①環境整備を「社員にやらせたい」ケース

 

「環境整備は誰がやるのか?」というのは、根本的かつ非常に大事な問いかけです。

答えは、「社長と社員、アルバイトも含めて、企業を構成する全員でやる」です。

 

環境整備で取り組むことには「整理」「整頓」「清掃」があります。

そのうちの特に「清掃」に関して、社長の中には、

「掃除は社員がやるものであって、経営者がやるものではない」

と考える方もいます。

 

しかし、そもそも掃除というのは「業務なのか業務でないのか曖昧な位置づけの活動」。

売上には直結しませんし、人事評価に影響がなければ、多くの社員にとっては「面倒な作業」でしょう。

 

その掃除を、

「社員に」「一生懸命にやってほしい」

と号令をかける以上、社員からしてみると、

「この活動は、しっかりと取り組むべき大切な活動である」

という

「錦の御旗」

が必要になります。

 

その「錦の御旗」が、

  • 社長が社員と時間を作って取り組むこと
  • 社長自身が取り組むこと

なのです。

 

社長がメンバーとして参画しているプロジェクトであれば、

「この活動は経営課題を解決するための取り組みである」

と社員に伝わります。

 

また、経営者として多忙なはずの社長が、大事な時間を割いて毎日掃除をしているのを見れば、

「これは会社にとって大事な取り組みなのだ」

と社員は解釈するでしょう。

 

環境整備は、整理・整頓・清掃を行う中で、表面的には見えない、

「組織」「仕組み」「マインド」

の問題点を浮き彫りにし、その問題に手を打つことによって、企業風土そのものを変革していく取り組みです。

 

「組織」「仕組み」「マインド」の問題点とは、中小企業の場合、経営者自身の問題点であることが多いのです。

経営者自身の問題点でないとしても、経営者が理解・把握し、陣頭指揮を執って手を打たなければ、決して変わらないものでもあります。

 

「環境整備を社員にやらせたい」

というのは、裏を返せば、

「自分自身は変わりたくない」

ということ。

 

社長自身の問題がネックとなっている場合、そこを避けたままでは、どれだけ社内を物理的にきれいにする取り組みを進めたところで、企業風土は変わっていきません。

私の経験上、社長自身が取り組まない企業は、必ず失敗します。

 

 

②身内やNo.2が強硬に反対するケース

 

社長自身にやる気があるが、社長の身内やNo.2からの反対にあい、それに対して社長がきちんと対処できない場合も、失敗パターンです。

身内というのは、会長である父親や専務である奥様。

No2.というのは、財務責任者や業務執行責任者などです。

 

身内やNo.2が抵抗する理由は様々あるでしょう。

 

  • 物を捨てるのが苦手
  • 業務以外に労力を割くのは時間と経費の無駄

といった、「単純に面倒くさい」といったもの。

 

  • 業績が傾いているのに今取り組むべきではない
  • 借り入れが多く、資金繰りが逼迫している

といった、「会社の財務状況」に起因するもの。

 

  • かつて入手するのに苦労した
  • 機能的に使えるものを捨てるなんてとんでもない
  • よそ者に口を出される筋合いはない

といった、「価値観の違い」によるもの。

 

  • かつて自分も提言したのに、社長に取り合ってもらえなかった
  • 今までも何度も勝手なことをして、自分の声を聴いてくれなかった
  • 自分が辛いときに寄り添ってくれなかった

といった、今までの社長自身の言動の積み重ねからの不信感によるもの。

 

  • 自分が抱え込んでいるものをオープンにするのが嫌
  • 明らかになると不具合なことがある

といった、社内における不正を抱え込んでおり、それを隠しているもの。

 

身内やNo.2が環境整備に取り組むのに反対しているとしたら、まずはしっかり対話をすることで、「何をもって反対しているのか」を明らかにする。

そういった、

「両者間の環境整備」

をするのが第一にすべきことです。

 

必ずしも説得できるとは限りません。

袂を分かつこともあるかもしれません。

 

しかし、信念をもって環境整備に取り組もうとするならば、話を通すのが筋でしょう。

 

残念ながら、話をしても(筋を通しても)、相手が理解してくれないこともあります。

それでも、社長自身が胸に手を当てて、自分の意志に自分勝手ややましいことがないと確信が持てるのであれば、「社長の責任において、やらせてくれ」と断ったうえで、突き進みましょう。

無私の信念を持って取り組んだことは、たとえ最初は理解されなくとも、いずれ必ず理解してもらえるものです。

 

中には、会長の「捨てられない病」が会社を危機に陥れていることや、右腕だと思っていた幹部が不正を隠していた、なんてこともあります。

だから、場合によっては、そういった身内や幹部を切ってでも、社長が突き進まなければならないこともあるのです。

 

大事なのは、身内や幹部の反対に、しっかり向き合うこと。

そして、説得できるにせよ、袂を分かつにせよ、それを社長自身がきちんと対処できることです。

 

それができなければ、失敗する可能性が高いと言えるでしょう。

 

 

③社員が発案者であるケース

 

意外だと思われるかもしれませんが、

「わが社の環境整備に取り組みたい、力を貸してほしい」

と、社長ではなく、社員発案で依頼があるケースも、途中で挫折してしまうことが多いです。

 

なぜならば、この場合、

「環境整備はとても大切なことだ」

「この取り組みで会社を変えたい!」

と考えている主体が社員であり、社長はオブザーバーの立ち位置になってしまうからです。

 

たとえどんなに社長が一緒に取り組んだとしても、なかなか

「自分は”協力者”である」

という認識を変えるのは難しいこと。

 

このケースの特徴として、

「ある地点までは、非常にうまくいく」

というものがあります。

 

というのも、社員自身が発案し、主体になって取り組み始めたものが、すぐに成果となって現れるので、成功体験を重ねる経験ができるからです。

 

「社員の主体性が上がる」

「チームワークが良くなる」

「探し物の時間が少なくなり、業務が効率化する」

「業務の棚卸ができる」

というような成果は期待できることでしょう。

 

ですが問題は、

「社長が決断しなければならない経営課題」

が明らかになった時。

 

そこを解消しなければその先に進めない=企業風土の変革に踏み込めないとなった時、社長が”当事者”となれない限り失敗してしまうのです。

 

①のパターンの解説で、

  • 「組織」「仕組み」「マインド」の問題点とは、中小企業の場合、経営者自身の問題点であることが多い
  • 経営者自身の問題点でないとしても、経営者が理解・把握し、陣頭指揮を執って手を打たなければ、決して変わらないもの

という話をしました。

 

ある時点まで、

「社員さん発案の取り組みで、他の社員も熱心に取り組んでいる」

「社内がスッキリしてきて、改善のアイディアも出るようになってうまく進んでいる」

と思っていたのに、ある時いきなり

「社長自身に問題点があると判明し、活動がそれ以上進まない」

「経営者が理解・把握し、陣頭指揮を執って手を打たなければならない決定的な事案が発生」

となったら、社長にとってまさに青天の霹靂。

 

「あなたが変わらなければならないのです」

と「他者から」それも「社員から」突き付けられるわけです。

 

自分自身が「環境整備をやる」と決め、始めたわけではないのに、

「あなたの問題」と突き付けられたものに対して社長自身が手を打たなければならない。

 

これは、多大な苦痛を伴うことでしょう。

 

だから、多くの事例で、「社員が発案者であるケース」はうまくいかないことが多いのです。

 

 

④そもそも経営そのものに問題があるケース

 

いくら社長自身が取り組み、社員さんたちも熱心に取り組んでいても、経営そのものに問題があれば、うまくいきません。

経営そのものの問題とは、

  • 借り入れが多く、資金繰りが逼迫している
  • そもそも儲からないビジネスモデルになっている
  • 不正な行為を行っている

このような状態では、そもそもうまくいかないのは自明の理。

 

ですが、中には「神頼み」とばかりに、

「環境整備をやっていれば、経営の問題は解決する!」

という根拠のない信念(思い込み)で環境整備に邁進するような例もあります。

 

残念ながら、いくら環境整備をしたところで、これら経営上の問題は解決しません。

上記のような問題がある場合には、まずとにかく、これらを解決することを最優先にすべきです。

 

 

まとめ

 

上記のとおり、環境整備がうまくいかない典型例は、

  1. 環境整備を「社員にやらせたい」
  2. 身内やNo.2が強硬に反対する
  3. 社員が発案者である
  4. そもそも経営そのものに問題がある

という4つになります。

 

「環境整備に取り組みたい!」

と思ったら、

「良い企業風土にするために、自分の時間を環境整備に使えるか」

「身内やNo.2に自分の想いを打ち明けることができるか」

「社長である自分自身が”本当にやりたい”と思っているか」

「経営状況は健全か」

をまずは自問自答してみてください。

すべて「Yes」であれば、環境整備はうまくいく確率が高いと言えるでしょう。

 

 

関連記事

 

失敗事例①「社長が環境整備を”社員にやらせたかった”ために、活動の継続ができなかった」ケース

失敗事例②「身内の反対にあってしまったために、活動の継続を諦めた」ケース

失敗事例③「そもそも経営そのものに問題があった」ケース

 

 

 

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