2017年02月15日

母と私とエレクトーンと

先日、実家に帰ってきました。

大学入学と同時に実家を出て、就職、結婚と故郷に帰ることなく来た私にとって、帰省というのは「自分が18歳の時に置き去りにしてきた物に片をつけるタイミング」でもありました。

処分しやすいものから、時間をかけて片づけていき12年。

一番最後まで手をつけることができなかったのが、エレクトーンでした。

帰省するたびに一度は電源を入れて触っていた、ということもありますし、大変高価なものでもありますが、なにより私にとっては「どうしても”上手になりたい!”という気持ちが持てないのに、『やめる』と言えず惰性で続けてしまった自分自身の象徴」が、このエレクトーンでした。

 

母と私と、せっかく揃って時間をとれるのだから、と2人で埃を被った楽譜の整理を始めました。

ひとつひとつ見ていくと、私の楽譜に混ざって知らない楽譜が出てきました。

「この楽譜知ってる?」

どうやら母はエレクトーン購入時、「せっかく買うのだから」と音楽教室に通っていたとのこと。

私には全然記憶にないことでした。

私は自分の楽譜をすべて処分し、結局母は母自身の楽譜とエレクトーンを残す決断をしました。

帰省するたび「どうするの?」と言われ続けたエレクトーン。

処分できなかったのは、私一人だけの問題だと、ずっと思っていました。

でも、いざ2人で蓋を開けてみたら、そうではなかった。

2人で片をつけなければならないものだったのです。

 

会社にも、「自分には手をつけにくいもの」が溢れています。

改めて、”関わるみんなで手を入れ、処分をする”という「捨て方」がとても大切だと感じています。