2017年09月07日
2度目の世界の広がり
息子が生まれて2ヵ月。
よく食べ、よく泣き、眠り、おかげさまで日々順調に育ってくれている。
息子が生まれてから、私は自分の世界の2度目の広がりを経験した。
私の世界が最初に広がったのは、親元を離れ大学で一人暮らしを始めた時だった。
自転車で最寄り駅まで30分という田舎から、東京まで片道2,000円で行けるほどのちょっとした都会に出てきた。
アルバイトで自分が行動できるだけのお金を稼ぎ、車を買い、「親の心配」という制限がかからない環境で自由に動くことができたとき、私の世界は一気に広がったのだった。
行こうと思えばどれだけ遠くへも行けたし、自分の時間を100%好きに使うことができた。
結婚は、その世界の広がりの延長線上にあった。
相変わらず遠くへも行けたし、2人暮らしになったことで安心感が生まれ、様々なチャレンジができるようになった。
「健やかなるときも、病める時も」ではあるが、幸いなことに2人とも全くの健康体であったため、お互いが好きな時間に好きなようにして過ごしていた。
子どもが生まれてから、物理的な私の世界は急速に狭くなった。
電車に乗るどころか、歩いて10分のスーパーに行くのもとても遠くになった。
ただし、息子がいることによって、その手が届く範囲の世界には、今まで見ていた面と全く違う角度から見える面があることに気が付いた。
例えば、
「炎天下の中の車に子どもを残して買い物に行ってしまう」
「ガスコンロの火をつけたまま他のことをして、すっかり忘れてしまう」
今まで「何でそんなことをするのだろう」と思っていたことに、その背景への思考を巡らすようになる。
足で行ける範囲の世界は確かに狭くなったのだけど、思考の世界が開けていく。
私にとって2度目の世界の広がりだった。
子どもとの生活は、今まで知っていたつもりだったものを再発見させてくれる。
「教えてくれる」というよりも「気づかせてくれる」。
息子はこれ以上ない名コンサルタントだ。