【第141号】全員参加の「そうじの力」を目指して!|西村ジョイ(株)
支援事例紹介全員参加の「そうじの力」を目指して!~ホームセンター 西村ジョイ~香川県に本拠を置き、県内および近県に十一店舗のホームセンターを展開する西村ジョイ株式会社。地元では知らぬ人はいない、人気のホームセンターです。同社では、三年余り前から弊社のお手伝いにより、「そうじの力」が導入されています。小売店舗として、キレイに整っていることは、お客様に対するサービスとして当たり前のことではあります。しかし、目的はキレイにすることではありません。そうじを通じて各人の「気づき」の感度を高めること、そして気づきが「行動」を促し、行動することによって周囲とのコミュニケーションが高まり、「チームワーク」が良くなること、これが活動の目的なのです。毎月一回、全店から店長やリーダークラス社員が集まり、「そうじの力」研修会が開催されています。研修会は各店持ち回りで開催され、当番の店舗を舞台にして学んだことを、自店舗に持ち帰って実践する形をとっています。研修会においては、各店からの活動状況の報告に引き続き、現場巡回を行います。倉庫、事務所、休憩室、建屋の裏側、そして売場と、表も裏も、隅々までしっかりと見て回ります。参加者は、良くできているところは誉め、問題点については、どうすれば良くなるか改善策を出し合います。そして、問題の個所を題材にして実習を行います。実習こそ、「気づき」を高める絶好の機会です。「木材売場の裏側が木クズで汚れている」「床面が古いワックスで黄ばんでいる」といったことを頭で理解しても、それだけでは次のアクションにつながらないものです。実際に自分の手足を動かして、木材売場の裏面を掃きそうじしたり、床磨きをしたりすることで、「なるほど、こういうところが汚れているのか」「ここは死角になって気づきにくい所だな」と実感できるのです。それを参加者各人が自店舗に持ち帰り、実践してもらうという繰り返しです。同社における現在の最大の課題は、「全員参加」ということです。総従業員数は六五〇名を超え、そのうち半数以上がパートや嘱託です。大きな店舗になれば、一店舗だけで百名以上が働いています。「そうじの力」を全員に浸透させるのは容易ではありません。そこで現在、西村ジョイとしての「そうじの力」を標準化して末端にまでしっかりと浸透させるためのマニュアル、題して「西村ジョイスタンダード」を作成しています。といっても、一部の幹部が一方的にマニュアルを作り、それを配布するのではありません。各店舗がそれぞれ実際に取り組んでいる様子を写真や動画に収めて、それを集積してマニュアル化していくのです。全店舗参加型のマニュアルづくりです。一年以上かけて完成させる予定です。同社がここまで力を入れて「そうじの力」に取り組む大本は、西村久社長の姿勢でしょう。単なる美化活動ではなく、すべての業務のベースとなる「気づき」「行動力」「チームワーク」を育む欠かせない取り組みだと認識しているのです。社長みずからも積極的に実習に参加し、日々の店舗巡回でも、「そうじの力」について現場の人たちに声掛けを怠りません。もちろん、店舗によって温度差はあります。同社の大きなテーマである「倉庫在庫ゼロ化」についても、店長が不退転の決意をした店舗は、実現できています。リバウンドせず、維持できています。また、ホームセンターという特徴を生かして、DIYで棚を作ったり床面を塗ったりして創意工夫している店舗もあれば、まだまだ改善が不十分な店舗もあります。まだまだ全員にしっかりと浸透するまでには時間がかかりそうですが、着実に前進しています。 (小早)良い社風具現化プロデューサー飯塚輝明の社内のそうじの進め方のコツ局所集中、範囲を決めて徹底的に!@株式会社高鐵工業そうじのやり方、活動の進め方なんて、学校や職場で教えてもらう機会がありません。だから、やり方がわからくて普通です。「そうじのやり方も知らないなんて(涙)」と自分や誰かを責める必要もありません。そんな時のために我々「良い社風具現化プロデューサー」がいるのです。 高崎市で鉄筋工事業を営む(株)高鐵工業では、そうじの力の支援で、社内の環境整備に取り組み始めて一年半が経過しています。今まで、工場や事務所にある不要なモノをとにかく捨てる作業を続けてきました。毎日10分と決めてコツコツとです。その甲斐あって、工場の中は見違えるようにキレイになってきました。 そんな中、大根原社長には新たな悩みができました。「捨てるモノが無くなってきて、次に何をやったら良いかわからない。」ということです。モチベーションが激減して毎日の継続もサボりがちになっているとか。 大根原社長曰く「捨てる作業は、変化が実感できてやる気が出た。日々の清掃は変化が実感できなくてつまらない。」ということでした。正直、つまらないことを続けるのはつらいです。 そこで、そんな大根原社長に、つまらない日々の清掃がおもしろくなる魔法をお伝えしました。それが、そうじの力の究極魔法「局所集中…範囲を決めて徹底的にする」です。 やり方は、毎日10分(高鐵工業の場合)でできる程度の狭い範囲を決めて、違いがはっきり見えるように徹底的に掃く・拭く・磨くです。 高鐵工業の場合、砂鉄と砂で汚れがちな工場の床でやることにしました。コツは、くっきり線が現れるようにほうきで掃き、掃除機をかけます。最後にぞうきんがけまでします。これで10分ちょうどです。 ここまでやると大根原社長の声のトーンが一変、「スゲー、全然違う!」と喜んでいました。日々の清掃を続けるモチベーションが復活した様子。 そのあと二週間後にお会いした大根原社長は、「毎日やっていているよ!」と笑顔満面でした。究極魔法「局所集中」の効果は確かだったようです。 「そうじをしているけどなかなか上手くいかない」とお嘆きの皆さま、ミソは【つまらない】を【おもしろい】に変換することです。それは技術なので、練習さえすれば、必ずできるようになります。 「局所集中」お試しあれ! (飯塚) 「そうじの力」コラム「先約優先」の大切さ~先にいただいたご縁を大切にする~昭和の教育哲学者と評された森信三先生の言葉に、「時を守り、場を清め、礼を正す」があります。「再建の三大原理」と呼ばれ、荒れた学校や企業を建て直すには、まずこの三つをしなけれならない、とされました。 「時を守り」=時間を守る、約束を守る、「場を清め」=整理、整頓、清掃する、「礼を正す」=挨拶をする、返事をする、身だしなみを整える、ということです。 いってみれば、当たり前の基本的なことなのですが、出来ているようで出来ていないこれらのことを、まずはしっかりとやることが、子供の世界でも大人の世界でも大切だと説いておられるわけです。 私は、この中の「時を守り」には、もうひとつ「先約優先」という概念が含まれているように感じるのです。 「先約優先」とは、事の大小にかかわらず、先に交わした約束を優先することです。当たり前に思えますが、実際にはこうなっていない場面がたくさんあります。 たとえば、営業マンがアポイントを取っている時に、一億円の商談がA月B日に入りそうになったとします。しかし、もともとA月B日には別のお客様と一千万円の商談の約束が入っていたとします。 このような場合、多くの営業マンは一億円の商談を優先してA月B日に設定し、一千万円の商談はC月D日に変更するように動きます。 あるいは、レストランで、先に来た一般人の客を待たせておいて、後から来た政治家や富豪、著名人などを先に客席に案内する、というようなこともあるかも知れません。 本当にこれで良いのでしょうか? 私も時々、約束の日程の直前になって、先方から「小早さん、悪いけど大事な用事が入っちゃったので、日程を変更してもらえませんか?」という依頼を受けることがあります。 その時、私は心の中で密かに思うのです。「おいおい、私との約束は『大事』じゃないのかい?」と。 事の大小は、こちらが勝手に決めているだけで、相手にとってはすべて大事なことなのです。 こういうことを繰り返していると、だんだんと信用をなくしていきます。商談金額や相手の知名度などで重要度を判断するのは、「相手によって態度を変えること」です。いずれボロが出ます。「お里が知れる」などと言いますね。 だから、無条件で、先に交わした約束を優先することが大切なのです。 また、先約優先は、「先にいただいたご縁を大切にする」ことでもあります。既存顧客のフォローをおろそかにして、新規開拓にばかり力を入れる営業マンは多いですが、まず注力すべきは既存顧客でしょう。まだ売れない営業マン時代に買ってくれたお客様への感謝の気持ちを忘れてはいけないと思います。 私自身も、日々意識して「先約優先」を守っていきたいと思います。 (小早)良い社風具現化プロデューサー大槻飛鳥の支援先ミニレポート自律型人間を育てていくために! (株)日本工業社良い社風具現化プロデューサーは、「そうじ」を職場の社風改善活動として、社長と社員さんが全員で取り組むことができるように支援しています。目指すは、みんなが共に育ち合える良い社風を作り、業績を上げることです。 東京都中央区を本社とし、大手企業内サポートを中心に、複合機関連サービス事業を展開している、株式会社日本工業社。今年の一月より弊社の支援がスタートしました。 「自律型人間を育てていきたい」という米田社長。「一人一人が、自分をコントロールして行動できる人間になれることで、自分自身に自信が持てて、お客様全員を満足させることができるようになれる」という想いから、社長以下全員で「そうじ」に取り組むことになりました。 同社には、社員さん・お客様に対する『二六の約束』があります。「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」もその中のひとつ。そのため、本社社内はとてもスッキリしており、掃除機も毎日きれいにかけられています。一見すると整っているように見える社内。「いつも充分そうじしているじゃないですか」、活動を始める前には少なからずそのような声が上がったそうです。初回研修時、「そうじの目的は、環境整備をしていく過程で、相互理解を深めていくこと」とお伝えし、実習でひとつひとつ引き出しや棚を開けて、中身を取り出してみました。 すると、「定位置が決まっている置き場に、所有者不明のものが置いてある」、「もう誰も参照していないのだけど、処理のルールが決まっていない資料がある」と、「なんとなく置かれているもの」があるということがわかりました。 早速チームに分かれ、それぞれのペースで「複数人で一緒にそうじをする」活動を始めています。 先日のミーティングでの、社員さんの発表です。 「新しく配属されてきた後輩と、一緒に棚の資料の整理をしています。資料を確認しながら、彼と業務について話をするコミュニケーションの時間になりますし、自分でも自分の業務について理解が深まってきました」 「今までは営業所が違う社員とは『別会社の人間』という感覚があったのですが、そうじという共通の活動をすることでチームを感じるようになりました」 二〇一七年、同社の全社方針は「『人を生かし・育て合い・成長し合う』行動指針の徹底」。「自律型人間」を育てるために、基本を徹底していきます。 (大槻)今月の読書から『本当はブラックな江戸時代』永井義男著江戸は本当に清潔なリサイクル社会だったのか?最近、江戸時代を見直す機運が高まっています。従来は、明治維新を正当化するために、江戸時代を「悪」とするような空気がありましたが、どっこい、実は江戸時代こそ、高度に文明化された社会だったとする論調です。 私も、江戸時代や明治維新というものを、あらためて検証してみたいと思う一人ですが、とはいえ、江戸時代に対する過度の美化は危険だということを認識させてくれるのが、この本です。 たとえば、武士は子供の頃から学問と剣術の稽古に励み、文武両道だったというイメージがありますが、実態はかなり異なっていたようです。剣術の稽古などしたこともない、木刀や竹刀を握ったことすらない幕臣がたくさんいたとのこと。 江戸城内で刃傷騒ぎが発生した折にも、居合わせた武士たちは誰も乱心者に立ち向かおうとせず、屏風の裏や便所の中、あるいは縁の下などに隠れていたとのこと。江戸の街中で乱暴者が狼藉を働いて町人をいじめていても、武士たちは関わりを避けるように知らんぷり。そんなことが日常茶飯事だったようです。 時代小説にあるような、謙虚ながら腕の立つ「剣術の達人」みたいな武士が果たして存在したのか、怪しいですね。 「江戸っ子は風呂好きだった」という説もあります。「最低でも一日に二回は入る」などと主張する人もいるようですが、これも実態は違っていたようです。庶民や武士の日記などを読んでいくと、個人によって差はあるものの、およそ6日に一回から20日に一回というスパンだったようです。 幕末から明治の初めに来日した欧米人が、「日本人は風呂に入る習慣があり、清潔好きである」と評したのは、そもそも当時の欧米人には入浴の習慣がなかったからで、彼らには日本人の入浴習慣そのものが驚きだったらしいのです。つまり、どんなことでも「何と比較するか」というのが大事な視点なのです。 「江戸はリサイクルが行き届いていて、ゴミなどほとんど落ちていない清潔な町だった」とする説もあります。確かに、当時の清の北京やフランスのパリに比べれば、かなり清潔だったようですが、だからといって、現代の日本社会と比べても江戸時代の方が清潔だったと考えるのは、事実からかけ離れているといいます。 明治6年に発布された条例では、市民がゴミを勝手に掘割や川に捨てないよう、呼びかけています。 当時は現代に比べて、物の値段が高く、人件費が安かったので、リサイクルが経済的合理性があったのです。それでも、武家屋敷の跡からは敷地内の地面から碗や皿、杓子、下駄、七輪、碁石などが見つかったそうです。つまり、どうにも使い回しできないものは、やはり焼却したり埋め立てたりしていた、ということです。 冷静に考えてみると、現代の日本社会くらい清潔な街はおそらく古今東西ないのでしょう。 (小早)お知らせ◆「社風改革」セミナー日程 ・4月18日(火)18:30~20:30 群馬県 ビエント高崎 講師:飯塚輝明 ・5月18日(木)15:00~16:30 東京都 台東区民会館 講師:小早祥一郎◆ホームページリニューアル弊社ホームページをリニューアルオープンいたしました!どうぞご覧ください。◆公式Youtubeチャンネル 開設しました! 。「株式会社そうじの力」で検索!株式会社そうじの力 社風改革の支援弊社は環境整備を通じた「良い社風づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。 そうじの力だより第141号 2017年4月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町373-6 TEL:027-315-2333 FAX:027-315-2334 メール:info@soujinochikara.com