【第145号】会社の危機を乗り越えた原動力は|(株)小河原建設
そうじの力だより第145号支援事例紹介そうじの力でベクトルが合う! 会社の危機を乗り越えた原動力は「そうじの力」~株式会社小河原建設「そうじの力」~東京都中野区にある(株)小河原建設。木造注文住宅の設計施工を請け負う住宅事業部と大型鉄筋コンクリート物件を扱うゼネコン部門を持つ、社員二八名の建築会社です。ここで、私が「そうじの力」のお手伝いを始めたのは、今から七年ほど前でした。それ以前から同社では、「環境整備」と題して整理・整頓・清掃に取り組んでいたそうですが、なかなかうまくいかない、ということで私にお声が掛かりました。実際に行ってみると、確かに一見すると小ギレイなのですが、よくよく見てみると、まだまだ改善の余地がある、という状況でした。まず、モノが多いということで、あらためて「整理」、つまり、要るものと要らないものを仕分けして、要らないモノを処分することから始めました。この際に協調したのは、「使えるか使えないか」ではなく「使うか使わないか」で判断するということです。机上に山積みになっている書類を捨てて、「机上ゼロ」になりました。いつか使うかも知れないと思って倉庫内に取ってあった建築材料も、具体的に使うあてのないものは処分しました。結果、四トントラック数杯分の不要物を捨てました。重要なのは、捨てることではなく、必要なものが常に最適量手元にある状態を作る、ということです。その仕組みを作っていきました。そのために、整頓、つまり定位置化と定量化も徹底するようにしました。モノを「なんとなく」置くのではなく、表示と標識を施して、指定したものしか置けないようにするのです。常に一定量をストックしておくための発注点の明記や色分けなども進め、誰でもどこに何があるか一目で分かる状態を作っていきました。同社では、「東京一キレイな現場を目指そう」という目標を掲げ、「素足で歩ける現場」を指標として、建築現場の整理・整頓・清掃を徹底しています。その結果、キレイな現場が口コミを呼び、新たなお客様を得る好循環が起こっているそうです。同社の特長は、環境整備推進の運営体制とPDCAサイクルにあります。毎年、環境整備リーダーとサブリーダー数人が任命され、彼らが年間の活動計画を作成します。上から「やりなさい」と言われたことだけをするのではなく、自分たちで必要だと思ったこと、面白そうだと思ったことを企画して計画に盛り込みます。こうしたことを何年も繰り返していくうちに、社員さんたちの中に、積極性や自主性、問題意識、協調性などが育まれてきたように感じます。同社に予期せぬ事態が起こったのは、数年前。小河原敬彦社長が事故に遭い、大怪我を負って戦線離脱を余儀なくされたときです。治療とリハビリで、約一年半、社長が不在でした。中小企業にとって、社長の存在感は絶大です。ある社員は、お取引先から「残念だが君の会社は潰れるね」と言われたそうです。ところがどっこい、留守を預かった幹部たちが「自分たちがやるしかない!」と奮起。結果として社長不在期間中に、過去最高売上と最高益を出すことができたそうです。高橋正樹専務は、これこそ、まさに「そうじの力」だった、と述懐しています。高橋専務のコメント要約です。「企業は色々な価値観を持つ人の集まりです。放っておけばベクトルはバラバラです。ところが、環境整備をすることで、そのベクトルが合うのです。たかがそうじ、されどそうじです。ただ、ひとつの難点は時間がかかるということ。当社は幸いなことに間に合いました。社長が不在になるまでに、既に三年以上の蓄積がありました。おかげで、この危機を乗り越えることができました。」社長が復帰された今後は、さらなる飛躍が期待できます! (小早)良い社風具現化プロデューサー飯塚輝明の面白くなるそうじの進め方~面白いそうじを仕掛ける~ 「そうじが好きな人?」「そうじが好きではない人?」。セミナーや講演の場で必ずこの質問をします。そうすると、そうじが好きではない人の割合が98%。 多くの会社でそうじは、つまらないのを我慢してやっているようです。結局続かないという結果は、むしろ自然です。 そうじを続けられるように改善するには、「さらに我慢を重ねる。」では辛いです。反対に「つまらないそうじを面白く変える。」方が変化が期待できます。 会社の場合、そうじの活動の継続はリーダー次第です。リーダーの「言い方」「やり方」「巻き込み方」が課題です。 98%の人がつまらないと思うそうじを面白くする。そこが、そうじを通して社風を良くするという活動の入口です。 そうじを面白くする方法を紹介します。2つの要素が大切です。まず①マインドセット→なんのためにやるのか?それはワクワクするか?です。次に②面白くなるやり方!です。この2つの要素が同時に必要です。 ①マインドセット→なんのためにやるのか?それはワクワクするか?ですが、「そうじをする」ことが目的では、人は動けません。動くには、ワクワクできる「なんのため」が必須です。 ②面白くなるやり方の概略です。要素は4つだけ。使えるようになるとリーダー(そうじを仕掛ける側)の「言い方」「やり方」「巻き込み方」が変わります。 ❶(時間を優先)時間を決めて、途中でも止める ❷(局所集中)狭い範囲を決めてそこだけを徹底的に仕上げる ❸一カ所を複数人でやる ❹必ずリアクションをするです。 ①②を合わせた言い方の例です。→リーダー「毎朝の10分のそうじの時間ですが、来週の5日間で玄関をピカピカにしたいと思ってます。月曜日の朝の10分は、玄関の上の窓だけを徹底的に全員で洗いましょう。火曜日以降は、その続きで範囲を段々と下に拡げていきます。玄関がピカピカに生まれ変わるとお客様がビックリすると思うので、楽しみです。」みたいな雰囲気です。 そして、実際にそうじをした毎回ごとに必ずリアクションです。例:リーダー「キレイになったね!」「気持ちいいね!」「うれしいな!」などなど。言いだしっぺのリーダーが成果を見逃すと、途端に空気がしらけます。面白いそうじにリアクションは必須です。 これらの要素をリーダーが使えるようになると、そうじの時間はどんどん面白くなります。また、リーダー自身もリーダーシップが楽しくなります。そうじを面白くする方法の各要素の詳細はまた別の機会で紹介していきます。 (飯塚) 「そうじの力」コラム人は痛い目に遭わないと変われない?~痛い目に遭った時が変わるチャンス~我が家の二階への階段は、木材にペンキを塗っただけのシンプルなもの。滑り止めも何もついていないため、つるつるとした感触です。角度も急なうえに、幅も狭く、手すりもついていません。 先日、二階から下に降りる途中で、ついにズルッと足が滑り、ダン、ダン、ズダーンッと下まで転げ落ちてしまいました。 「ううっ」とうずくまること数秒。幸いにも右上腕部に二ヶ所擦り傷を負っただけでしたが、全治一週間のケガでした。 以前から、なんとなく「この階段、危ないよなぁ」と感じてはいたのです。転げ落ちはしないまでも、つるっと滑ったこともありました。でも、具体的に対策を打たねば、というところまでの危機意識はありませんでした。 なんとなく「危ないなあ」と感じた時点でアクションを起こせば、ケガをすることはなかったのです。こうした「予兆」というか「伏線」を大事にして、早めの手を打つことの大切さを実感した次第です。 とはいえ、起こってしまったことは仕方がありません。逆に、これが改善のチャンスということで、さっそくホームセンターで滑り止めテープを購入し、階段に貼り付けて、今後の対策を打ちました。 考えてみれば、世の中にこういったことはそこらじゅうにあるように思います。 いろいろな会社を訪問する機会も多い私ですが、中にはひどく汚く乱れていて、今すぐにでも「そうじ」の活動をはじめた方が良いと思うような会社があっても、社長の腰がなかなか重たい、という会社もあります。そういう社長はきっと、具体的に事故やケガなどの「痛い目」に遭わないと、アクションを起こせないのかも知れません。 社内が汚いくらいならば、大したことではありませんが、売上が減少傾向にある、赤字が出ている、というような場合は、深刻です。 私が教えを受けている経営コンサルタントの方は、「結局、借金が返済できないとか、取引先への支払いが滞るというような具体的なトラブルに見舞われない限り、社長は動かないものだよ」というようなことを言っていました。 怖いのは、周囲から見ると危機は一目瞭然なのに、本人はその危機にまったく気づいていない、というケースです。 かくいう私も、まったく同じでした。いや、前述の階段のことではありません。 仕事上で、大きな失敗をしてしまいました。正確に言うと、今まで、失敗を繰り返していました。それを失敗だとも認識していませんでした。 ある社員からの訴えで、それが失敗であること、そしてその原因が私自身の内面の闇にあること、それはずっと続いていたこと、周囲からは明明白白だったこと、などを思い知らされました。 正直、へこみました。自分のダメさ加減に打ちひしがれました。でも、これがチャンスです。自分を変えるチャンスです。痛い目にあったからこそ、本気で変えようと思うことができました。「痛い目」と諫言してくれた彼に感謝!です。 (小早)良い社風具現化プロデューサー森川剛存のヨシノブは見た!第六回そうじの力全国大会 レポート六月二三日(金)に、「第六回そうじの力全国大会」を東京で開催致しました。 午前は弊社支援先の(株)小河原建設様の会社見学会を、午後は全国各地からお集まり頂いた一五社による活動の発表会を中野サンプラザにて行いました。 午前は二班に分かれて、社屋と建築現場を視察し、小河原建設社員の皆様による丁寧な説明を受けました。 『東京一きれいな現場』を目標に掲げ、建築現場は素足で歩けるほど徹底してそうじをしています。また事務所ではきれいに整えられたキャビネや机の引き出しの中、誰にでも分かりやすく表示された道具置き場などを見て、参加された方々は一様に「凄いね」と驚きの声を上げていました。 こうして実際に見聞する事が、沢山の気づきやヒントが得られる貴重な機会なのだと改めて感じた見学会でした。 午後は全一五社の、この一年間のそうじの力活動の発表会です。初参加の企業もあれば皆勤の企業もあり、進捗状況もそれぞれ異なります。しかし共通しているのは、そうじを通じて良い会社にしたいという経営者の強い思いです。 その思いが詰まった各社のプレゼンですが、「そうじの力」の解釈や活動の進め方にも社風がよく反映されており、具体的な変化を分かり易く説明されていました。参加者の皆さんはメモを取ったり写真撮影をしたりと、熱心に聞き入っていました。各社の様子を知る事で、相互に大きな刺激を受けた発表会でした。 さて緊張の中での発表会終了後は、和やかに懇親会です。そうじについての情報交換や今後の活動について語り合うなど、大いに盛り上がり楽しいひと時となりました。 「そうじ」という共通の言葉の下に集った全国大会ですが、各社から沢山の学びや知識を得て自社の成長へと繋げる絶好の機会になったのではと感じています。 私達も進化を重ねていく為、日々精進し活動して参ります。また今回の挙行に際して、多数の皆様のご参加・ご助力を頂き厚く御礼申し上げます。 (森川)今月の読書から『勝ちきる頭脳』井山裕太著~打ちたい手を打つ~私は囲碁のことはまったく分かりません。でも、日本囲碁界の第一人者の頭の中はどうなっているんだろう、というのは興味があります。 この本には、具体的にどのような高度な計算を行っているのか、とか、それをどのように身に着けたのか、というような話は書いてありません。読者層が狭まらないように、意図的に技術論を避けたのかも知れませんが、私のような囲碁の素人にはありがたい構成です。 一番印象に残ったのは、大事な局面で、安全だと言われるセオリーどおりの手を打つのではなく、あくまで自分の打ちたい手を打つ、というくだりです。 「打ちたい手を打つ」という行為は、僕が自分に課している信念で、これを棋士人生の中で貫いてきたからこそ、今の僕があるのです。もし無難な手を優先したり、リスクを恐れて回避してばかりいたら、七冠はおろか一つのタイトルも取れていなかったに違いありません。 僕が自分に対して誓い、実行したのは「たとえ結果が悪くなったとしても、自分が納得できる手を打つことを徹底する」ということでした。 少しくらい形勢が良いからといって「安全に逃げきろう」という気持ちだけは持たないように心掛けました。リスクがあっても、その場で自分が最善と信じる道を選択するように決めたのです。 信じる道を選んで失敗し、逆転負けを喫しても、それは自分の実力不足。読みであったり判断であったりがまずかったことの証明ですから、その部分の力をさらにつければいいだけの話です。 なんだか勇気をもらえる話ですね。無難な道を選ばす、チャレンジしていく。過信は戒めねばならないでしょうが、訓練に訓練を重ねたうえで、自分が最良と思う行動を起こす、というのは、私たち一般人にも大いに参考になる話です。 このほかにも、なるほど、という話がたくさん書いてあります。 ともするとこの「直感」は「ヤマ勘」と同じようなイメージで捉えられてしまうかもしれません。しかし、この両者には明らかな差異があります。「ヤマ勘」が明らかな当てずっぽうで根拠がない選択であるのに対し、「直感」には確実に根拠があるからです。 では、その根拠とは何か?人によって微妙に回答が変わるかもしれませんが、僕は「経験と流れ」だと答えます。 (中略)そうした過去のデータが頭の中に入っているので、まったく同じ局面というのはないにしても、似た局面だと「ここが正解ではないか?」と直感が働くわけです。 いずれにしても、頂点に登るための大前提は、不断の努力、ということに尽きるような気がします。どの世界でも、成功するための要諦は同じですね。 (小早)お知らせ◆「社風改革」セミナー日程 ・8月22日(火)18:30~20:00 群馬県 高崎総合福祉センター 講師:飯塚 ・9月12日(火)15:00~16:30 東京都 台東区民会館 講師:小早◆公式Youtubeチャンネル 開設しました! 「株式会社そうじの力」で検索!◆読者プレゼント! 「そうじの力」オリジナルTシャツ。 抽選で5名様に差し上げます。株式会社そうじの力 社風改革の支援弊社は環境整備(5S=整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を通じた「良い社風づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。