【第146号】一人の熱意が会社を変える!新入社員が救った活動停滞の危機|(株)小池勝次郎商店
支援事例紹介一人の熱意が会社を変える! 新入社員が救った活動停滞の危機~(株)小池勝次郎商店「そうじの力」~埼玉県深谷市の(株)小池勝次郎商店は、農業用資材の小売店「こいけや」と、農産物直売所「とんとん市場」を運営し、「日本一農家から感謝される会社」を目指して活躍中の社員二三名の会社です。実はこの会社、弊社の大槻飛鳥の元職場です。彼女が在職中に「整理、整頓しましょう」と提案したまま退職。その後、オファーをいただき、私と飯塚が二年間「そうじの力」のお手伝いをさせていただきました。ちょうど一昨年の大雪で、倉庫代わりにしていたビニールハウスが崩壊した後でした。まずはその倉庫内を整理するところからスタートしました。屋根がへこんだために、頭を下げながら歩かなくてはいけない状態。ところが、中身を確認してみると、使わないものがほとんど。以前使っていたものの今はもう使っていない什器、メーカーから大量に送られてきて余った景品、紫外線で傷んでしまった長期在庫、などなど。これらを、どんどん捨てていきました。最初の半年~一年は、とにかく捨てる、捨てるの連続でした。ところが、捨てることが一段落すると、停滞感が訪れます。捨てている間は、山積みになっていたものがなくなり、スペースが広くなるので、見た目の変化が大きく、やりがい感も大きいのですが、その後の活動は地道な作業で、目に見える変化も以前ほど大きくないので、なかなか気持ちが盛り上がらない面があります。小池博社長は、「この時期、活動が面白くなくなってしまった」と率直におっしゃっています。そこに「救世主が現れた!」と小池社長。その当時、まだ入社して三か月ほどの新人、望月美果さんが環境整備委員会の委員長に就任したのです。新人ですから、まだ力不足であることは当然です。当初は、なかなか活動がうまく進みませんでした。ところが、半年くらい過ぎた頃から様子が変わり出しました。課題がきちんとこなされるようになってきたとともに、社員さんたちの表情も明るく前向きなものに変わっていきました。その秘密は、望月委員長の頑張りにありました。望月さんは、毎日の朝礼で前に出て、何のために環境整備を行うのか、その目的を説明し、取り組んで欲しい課題を提示しました。何か月も何か月も、毎朝続けたそうです。その熱意に感化されたのが、パート社員の菊池さんと佐藤さんです。特にベテランの菊池さんは、「一生懸命頑張っている望月さんを助けたい」思いで奮起。所属する外販部の男性社員さんたちのお尻を叩き、部内の活動を推進してくれました。菊池さんいわく、「私がこうしたいああしたいと言うと、男性陣は楽しんでやってくれる」とのこと。活動が進んだもう一つの要因は、小池社長によれば、「環境整備は顧客満足のため」という目的が、ご自身の肚にストンと落ちたことだったと言います。この目的は、、社長同様に社員さんたちにも納得度が高かったようで、そこから社員さんたちの動きが良くなっていったようです。たとえば、外販部の詰所である通称「中事務所」。以前は書類が山積みされていましたが、今ではフリーアドレス化され、机上ゼロになっています。ここを、今後どのようにしたいか尋ねたところ、外販部の部長さんは、「ここで商談すれば成約率が上がるような、静謐な空間にしたい」という回答をしてくれました。環境整備の効果は様々な面で現れていて、小池社長によれば、以前は月間平均一二〇件だった顧客訪問件数が、今は一五〇件に増えているのだそうです。とはいえ、まだまだ道半ば。課題はたくさんあります。小池社長がご自身で掲げた「三年後、社員平均年収、県内業界No1」という目標に向けて、さらなる進化が期待されます! (小早)良い社風具現化プロデューサー飯塚輝明の面白くなるそうじの進め方~そうじは何のためなのか?~例1〉 リーダー「当たり前のことを当たり前にできる会社になろうよ。毎日そうじをするのは当たり前のことだからそれをみんなで徹底していきましょう。」 違う言い方をしてみます。 例2〉 リーダー「営業しなくてもお客様がウチに決めてくれるなら、うれしいな。私は、お客様が感動して100%契約してしまうようなキレイな会社にしたいと願っているので、みなさんの協力がほしいです。」 両方とも「会社をきれいにして良い会社にしたい。そのためには、みんなに協力してほしい。」という目的のためにリーダーから語られる言葉です。 前号からの続きですが、会社の場合、そうじの活動の継続はリーダー次第です。リーダーの「言い方」「やり方」「巻き込み方」が課題です。そうじの活動を続けるには、「つまらないそうじを面白く変える。」と良いです。 冒頭の2つの例で、違うのは「何のためか?」「それはワクワクするか?」です。「そうじをする」ことが目的では、人は動けません。動くには、ワクワクできる「なんのため」が必須です。 例1〉でもリーダーは、「会社をきれいにして良い会社にしたい。そのためには、みんなで協力してほしい。」と思っています。 そのためにリーダーが「そうじをしよう」と例1>のように宣言します。そうすると100%の確率で周囲の反応は冷ややかです。 ここで「みんな会社のことなんて考えていないんだ(涙)」とか「みんな俺のことが嫌いなんだ(涙)」とか思って自分や仲間に失望したり、さらには自分や周囲を責めたりしてしまいます。 事実は違います。みんなが冷ややかなのは、リーダーの人望せいでもみんなが会社のことなど考えていないせいでもありません。(そもそも、みんなだって会社のことを考えてくれています。) それは全てそうじのせいです。98%の人がそうじが好きではないからです。つまらないそうじが悪いのです。 だからリーダーは、つまらないそうじを面白く変える必要があります。面白くするのに一番大切なのがマインドセット「なんのためにやるのか?」です。 リーダーが語った言葉に応じて動いてくれる仲間の行動や時間を、無意味な徒労にするのか?価値ある協働にするのか? 常にみんながワクワクして共感できる「何のため」を考えるのはリーダーの役割、そうじの活動継続の成功のカギです。 おもしろくなるそうじの進め方の第一歩は、マインドセット「何のため?」です。その次にそれをどう伝えるのか、「言い方」「やり方」「巻き込み方」です。また次回に続きます。 (飯塚) 「そうじの力」コラム特長を生かす~ないものねだりでなく、あるもの生かしを~誰にでも、長所と短所があります。得意、不得意があります。組織体としての会社も同じです。 短所や不得意なことを克服しようとする努力も大切ですが、持っている長所を生かすことを心がけたいものです。良い特徴を伸ばし、生かして個性化することを、「特長化」と言います。 「そうじの力」の活動においては、しばしばそれぞれの会社の特長を生かした取り組みが展開されます。 巻頭でご紹介した(株)小池勝次郎商店では、そうじ道具置場がキレイに整えられました。実はこれ、ビニールハウスの部品や単管パイプといった、農業用資材を使って作ったものなのです。さすがにプロです。仕上がりは美しく、機能的です。小規模の変更にも対応できる柔軟性も備えています。 香川県を本拠とするホームセンター、西村ジョイでは、DIYの専門家らしく、劣化してきた床面は、自分たちで塗り直しています。そうじ道具置場は、木工工作で製作。さらに、そうじ道具については、自社店舗で取り扱っている商品を吟味した上で、一番使いやすかった商品を揃えるようにしています。 兵庫県尼崎市の共生印刷(株)。クリーニング用のタグを印刷する会社です。ここでは現在、物の定位置化を進めていますが、置場所を示す標識は、材料が入っていた段ボール箱を流用し、段ボール箱に書かれている文字をそのまま生かして使っています。 島根県西部の路線バスを運行する石見交通(株)。同社には七つの営業拠点と五つの関連会社があります。「そうじの力」の活動の際には、それらの異なる事業所や会社のメンバーが入り混じって、一緒に活動しています。普段取れないコミュニケーションが取れたり、違う視点での意見交換が出来たりして、活動のレベル向上に役立っています。 特長を生かす、という考え方は,商材や人材も同じだと思います。新たなものを切り拓いたり得たりすることも大切ですが、まずは今手元にあるものを最大限に生かしたいものです。 「そうじ」は、今あるものを輝かす行為。「ないものねだりでなく、あるもの生かしを」。この精神を忘れずに日々の経営に臨みたいです。 (小早)良い社風具現化プロデューサー飯塚輝明の 輝ちゃんはミタ!(株)小池勝次郎商店 環境整備実践企業発表会 報告七月二〇日に埼玉県深谷市の(株)小池勝次郎商店にて環境整備実践企業発表会が開催されました。二年間の環境整備活動の総仕上げです。二〇社ほどの企業からの参加者を前にこれまでの活動の成果を活動内容のプレゼンと見学会を通してお披露目しました。 まずは、小池博社長と環境整備委員会メンバー全員で、これまでの活動の様子と成果をプレゼン形式で発表しました。活動がなかなかうまく行かなかった様子も、社長自身そうじの力の活動が嫌だと思っていた気持ちも、転機となったエピソードなども赤裸々に語っていました。それは、参加者の皆様にもしっかり伝わったようです。プレゼンをする皆様の自信にあふれた笑顔が印象的でした。 参加者の感想です。「社員の生の話も含めて本音が良かった!簡単な事からやってみようと思いました。親切、丁寧、ありがとうございました。」 「とても分かりやすくて、すぐに取り組めそうでよかった。笑顔がみなさんステキで、こちらも楽しくお掃除をしようという気持ちになりました。」 続いて見学会です。二年前の様子とは見違えるほどキレイになった社内の各所を、社員の皆様が気持ちのこもった応対で説明してくれます。ここでもやはり説明する皆さんの自信にあふれた笑顔が印象的でした。 最後に小早の講話の時間で、そうじの力の考え方や具体的なやり方などをお伝えしました。小池勝次郎商店の皆様に作って頂いた熱気に満ちた雰囲気のおかげで、参加者の皆様にも深く伝わったと思います。 参加者の見学会も含めた全体の感想です。「素直で率直な見学会だと思いました。そのままを見せていただき勉強になりました。」 「ビフォアを知っているので、アフターに驚いています。」 「スタッフさん同士の掛け合いがとてもフレンドリー。聞いているこちらが思わず笑ってしまう暖かで丁寧な説明でした。みんなで参加して、楽しく続けられるそうじが出来るような計画を立てたいと思える会でした。」 「こんな発表会出来たら良いですね。」 この発表会を一つの区切りとして、小池博社長が目標としていた、そうじの力からの卒業となります。今後の活動は、ここまでの活動を引っ張ってきた環境整備委員会が継続していきます。その門出となる発表会でした。 (飯塚)今月の読書から『医学常識はウソだらけ』三石巌著~良質なタンパク質と大量のビタミンが健康をつくる~「毎年、暮れから正月にかけて恒例行事としてスキーを楽しむようになってから、もう20年近くになる。(中略)私は95歳になった。」 という衝撃的な一文から始まるこの本。著者は高名な物理学者の先生だそうです。独特の「分子栄養学」を提唱し、自ら実践して証明してみせた医療理論は、従来の常識からはかけ離れているばかりか、いわゆる「自然食」や民間療法を支持する人たちの理論とも、大きく違っています。 たとえば、〈「食塩を摂りすぎると高血圧になる」のウソ〉のくだり―基本的に、高血圧と食塩摂取量とのあいだにはほとんど因果関係がない。(中略)たしかに、食塩の過剰摂取が原因で高血圧になる人はいる。ただし、それが原因になっているケースは、高血圧患者100人のうち、たった1人か2人という割合なのである。(中略)この説の有力な根拠として引用されたのが、日本の東北地方で高血圧が多いという調査結果だった。(中略)個別に調べてみると、食塩の摂取量が少ないのに血圧が高い人もいれば、食塩摂取量が多いのに血圧が低い人もいたという。(中略)同じ東北地方でもリンゴの生産地では高血圧が少なかった。リンゴをたくさん食べている人が高血圧になりにくいことは、栄養学的にも裏付けられている。血圧を平常に保つためには、食塩により摂取されるナトリウムとカリウムというミネラルの比率が重要である。(中略)したがって、血圧を下げたかったら塩分の取りすぎを気にする必要はない。何よりもまずタンパク質を十分に摂取すること。さらにマグネシウムやカリウムを摂ってもらいたい。 と、こんなふうに高血圧のことだけでも、独自の理論が展開されます。その他、・コレステロールは、本来“健康の味方”である。・貧血には鉄分よりもタンパク質。・「動物性脂肪は体に悪い」のウソー肉を食べない人は脳卒中になりやすい、動物性脂肪より植物油の方が問題。・砂糖を摂れば頭の回転がよくなる などなど、独特の理論が続きます。そして、健康維持のためには良質なタンパク質と大量のビタミンが必要と説きます。 良質なタンパク質は、卵、豚肉、サンマやイワシなどの青魚に豊富で、加えてビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12をたっぷり摂りなさいと書いてあります。 私は今まで、どちらかというと、肉類よりも魚を、動物性タンパク質よりも植物性タンパク質を多く摂るよう心がけ、砂糖を避けてきました。 今回本書を取り上げたのは、この理論が正しいということを言いたかったわけではありません。世の中のことは、いろいろな角度から見てみないと、本質にはたどり着けないのだ、ということです。右を見たら左を見る、表を見たら裏を見る。そのような中で、おぼろげながら真実が見えてくるのではないでしょうか。 (小早)お知らせ◆「社風改革」セミナー日程 ・9月12日(火)15:00~16:30 東京都 台東区民会館 講師:小早祥一郎 ・10月5日(木)15:00~16:30 群馬県 ビエント高崎 講師:小早祥一郎◆実践企業見学会(香川県) ・9月7日(木)13:30~16:00 生駒学税理士事務所 香川県高松市亀井町4-2 実践企業の見学と小早の講演です。 ・6月9日(金)15:00~16:30 群馬県 ビエント高崎 講師:小早祥一郎◆外部団体主催セミナー(兵庫県) ・9月20日(水)14:00~16:00 『そうじの力で儲かる経営に!』 講師:小早祥一郎 主催:伊丹市商工会議所 ・6月9日(金)15:00~16:30 群馬県 ビエント高崎 講師:小早祥一郎株式会社そうじの力 社風改革の支援弊社は環境整備(5S=整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を通じた「良い社風づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。