【第152号】出来たことを維持・継続させることは難しい|西村ジョイ(株)

支援事例紹介出来たことを維持・継続させることは難しい~西村ジョイ(株)「そうじの力」~香川県を本拠として、県内および近県に十一店舗を展開するホームセンター、西村ジョイ。香川では知らぬ人はいない、人気のホームセンターです。同社で、「そうじの力」の活動が始まって、早くも四年余りが経ちます。その間、社内の雰囲気は確実に変わってきました。私は毎月一回訪問し、各店の店長もしくはリーダークラスの社員を集めて、「そうじの力」の研修会を行っています。研修は、毎回、各店持ち回りで開催されます。当番になった店舗は、他店の参加者の厳しい目で見られるので、気が抜けません。同社の「そうじの力」の目的は、「気づき」の力を高め、「問題解決力」を養い、「チームワーク」を育むこと。決して単なる美化運動ではなく、経営の根幹のひとつと位置付けて、社長が先頭に立って、整理・整頓・清掃を強力に推進しています。現在、全社に統一した考え方と具体的手法を浸透させるべく、「そうじの力」のマニュアルである「西村ジョイ・スタンダード」を策定中です。マニュアルといっても、本部が作成したものを店舗に一方的にやらせるものではありません。「そうじの力」として網羅すべき項目を各店に割り振り、担当店舗が実践を基に作成するものです。作成されたマニュアル案は、他店でも実践され、実態に合わない部分や改善が必要な部分が報告され、改訂が加えられます。いわば、「実践型・参加型」のマニュアルなのです。さて、同社における「そうじの力」の課題は、大きく二つあると私は考えています。ひとつは、「全員参加」ということ。十一店舗の合計従業員数は六百六十名、多い店舗だと、一店舗で百名を超す人が働いています。パートさんたちを含めて、全従業員にどのように浸透させるのか。容易なことではありません。もうひとつの大きな課題は、「出来たことを続ける」ということ。瞬間風速的に、ある取り組みが「出来る」ということはあります。でも、それを維持できるかどうかが、真の実力として、問われるのです。たとえば、同社の大きな方針である「倉庫在庫ゼロ化」。不良在庫の撲滅や接客時間の拡大を目的として、バックヤードの倉庫に在庫を積まず、すべての在庫を店頭に出す取り組みです。言うは易し、行うは難し。瞬間的にゼロになることはあっても、それを維持するのは至難の業です。旗艦店のひとつの店舗では、三年ほど前に倉庫在庫ゼロ化が達成されました。驚くのは、その後も現在に至るまで、この状態がずっと維持されていることです。同社では、頻繁に売り出しイベントが行われます。その際に大量に入荷する商品は、ちょっと気を抜くと、すぐに倉庫に溢れてしまいます。ましてや、生鮮食料品以外は何でも揃うのが昨今のホームセンター。これだけモノの出し入れが激しい業界において、倉庫在庫ゼロ化を維持しているのは、脅威というほかありません。また、お客様に買っていただいた木材を、ご要望に応じて加工する工作室。当初は、工具が乱雑に置かれ、木のクズが飛び散っているような状況でした。二年ほど前に大きなテコ入れをして、スッキリと整った工作室に生まれ変わったのですが、嬉しいのは、その後、その状態が維持されていることです。工具はいつ見ても定位置に揃っています。裏面に木クズはありません。木材売場も、商品を陳列してある什器の奥までピカピカにしましょう、という基準を設けていますが、実際、いつ見ても、裏側までピカピカです。店長を中心にして、現場のリーダーの納得度が高いこと。パートさんたちの意見も取り入れて、自分たちがより使いやすいように工夫していることなどが、継続できている秘訣でしょう。同社の西村久社長は、常に先頭に立って実践し、社員を叱咤激励しています。お客様に喜んでもらうため、そして社員がイキイキと働けるようにするために、この「そうじの力」が必要であると、実感しているのです。西村社長の究極の夢は、各店を基点として「そうじの力」がお客様や地域に広がっていくこと。まだまだ遠い道のりですが、楽しい夢です。(小早)良い社風具現化プロデューサー飯塚輝明のグンマの魅力度向上委員会温泉といえば群馬県!草津温泉編 群馬県の観光の代表選手は、数ある有名温泉地です。伊香保、水上、草津、四万は、かの「上毛かるた」にも読み込まれるほど有名ですが、その他にも老神、沢渡、万座、谷川、猿ヶ京、川原湯、宝川などなど、きっと満足いただける温泉地が目白押しです。ぜひ温泉目当てに群馬県にお越しください。「温泉県」として西の大分県と覇を争う東の群馬県ですが、その代表と言えば、私も大好きな草津温泉です。 「上毛かるた」では「草津よいとこ 薬の温泉(いでゆ)」と謳われる草津温泉は、自然湧出量日本一(総湧出量は6位)を誇る天下の名湯です。自然湧出量では2位の別府にダブルスコアの圧倒的第1位です。ポンプでくみ上げる必要が全くなく湧き出る大量のお湯と、98度の源泉もあるほどの高温、そして強い酸性の温泉成分濃厚なお湯を、なんの加工も消毒も必要なく、天然のまま源泉かけ流しで多くの宿のお風呂に使えるという、唯一無二の贅沢な温泉地です。 草津温泉の景観は温泉地としての雰囲気が完璧です。草津温泉の中心にある湯畑は、湯畑という名にふさわしい木桶の構造物と豊富な湯量に圧倒されます。湯畑の脇の「熱の湯」では「草津よいとこ 一度はおいでア ドッコイショお湯の中にも コーリャ 花が咲くヨチョイナ チョイナ」の草津節で有名な湯もみの実演があります。湯もみは、高温で高泉質のお湯を、水で薄めることなく温度を下げるという、草津温泉の価値を象徴したようなパフォーマンスです。西の河原公園は、小川のように温泉が流れる風情と、広大な露天風呂が堪能できます。古い温泉街の風情も残っています。「内湯めぐり」でそんな老舗旅館のお風呂をはしごすることも楽しめます。 周辺の観光地にも恵まれています。先ごろ噴火したことで話題になった草津白根山には、酸性度世界一で、エメラルド色の美しさで知られる湯釜があり、その景観は息を呑みます。さらにそこから浅間山までのドライブは、雄大な景色の連続で、ここは日本か?と思えるほどです。その先には、避暑地で有名な長野県軽井沢町があり、草津温泉から草津白根を抜け1時間ほどのドライブで軽井沢町に至るルートは、見どころも多く、日本でも最強の観光ドライブルートの一つだと思います。 草津温泉の歴史は古く、江戸時代の温泉番付では大関(当時の最高位)が定位置、それから現在でも旅行会社が選ぶ温泉地ランキングで15年連続1位を継続中という、まさにキングオブ温泉地。一度は見といて損はなし!春夏秋冬いつでもお勧めです。(飯塚「そうじの力」コラム新入社員「そうじ」教育のススメ~教育などいらない。そうじだけでいい?~ そろそろ、四月に入ってくる新入社員の教育について、頭を悩ませている社長さんたちもいるのではないでしょうか。OJTにするか、OFFJTにするか。会社の理念をどう伝えるか、実務は誰がどのように教えるか。新卒採用に慣れていない中小零細企業にとって、新入社員教育は悩ましいものかと思います。 私は大学を卒業後、大きな企業に就職したので、新入社員教育の期間が二週間もありました。さぞや充実した教育内容だと思われるかも知れませんが、正直なところ、半分以上は寝ていました(笑)。私自身の不真面目さを棚に上げつもりはありませんが、眠たくなるような教育内容にも、問題があったと思います。 まだ社会に出て働くという実感を得ていない新入社員に、いくら高邁な理念を机上でぶつけてみても、「豚に真珠」「馬の耳に念仏」です。最近では、体験的ゲームを通じて学ばせるプログラムもあるようですが、しょせん、ゲームはゲームです。 私がお勧めする新入社員教育は、「そうじ」です。具体的に何をするのか?ズバリ、そうじをしてもらいます。え?それだけ?そう、それだけです。会社の隅から隅まで、表から裏まで、徹底的にそうじをしてもらいます。 この「新入社員そうじ教育」には、いくつかのメリットがあります。 メリット一=会社のどこに何があるのかを知ることができる。入社して何年も経っているベテラン社員でさえ、立ち入ったことのないエリアはたくさんあります。でも、そうじをする目的ならば、聖域なく立ち入ることができます。裏口や溜まり場、あるいは何かの隠し場所まで発見できるかも知れません(笑)。 メリット二=会社の現状が分かる。表に見える部分と裏側とが違っていないか。宣伝文句と実態が違っていないか。お客様から見えない裏側にこそ、その会社の本音が現れるものです。 メリット三=先輩たちと仲良くなれる。新入社員にとって、先輩たちと接するのは緊張するものです。何を話したらよいのか、何を聞いたらよいのか、悩むものです。そうじするために必要なことなら、気軽に会話できるでしょう。 メリット四=会社に愛着が湧く。人間は、手間をかけた分だけ、その対象物に愛着が湧くものです。この床、この壁、この柱を磨いた分だけ、「これは自分が磨いた床だ」という愛着が湧きます。 メリット五=新入社員の資質を測ることができる。そうじのような、一見意味のないようなことに、真剣に取り組めるかどうか。彼らの素直さが浮き彫りになるでしょう。 この「新入社員そうじ教育」の注意点として、新入社員だけに「やらせる」のはいけません。アテンドする担当者や当該部署の先輩社員たちも一緒にそうじをすると良いでしょう。社長が一緒にそうじをするのが、一番望ましいです。 ひょっとすると、「そうじばかりさせやがって!」と憤って早々に辞める人もいるかも知れません。でも、そういう人は、いずれ辞めるものです(笑)。(小早)良い社風具現化プロデューサー森川剛存のおそうじ実践レポート~そうじを通じて成長していきます~ 私達(株)そうじの力のメンバーは毎月一回、《目覚ましおそうじ会》と銘打ち、各々公衆トイレのそうじを行っています。私の地元沼津では二〇一六年一月より、毎月最終月曜日の朝六時から七時まで、自宅近くの大岡公園公衆トイレで開催しています。 この活動の目的は、トイレをキレイにする事はもちろんですが、そうじを通じて沢山の気づきを得たり、リーダーシップやコミュニケーション力を養成する事に主眼を置いています。 また互いの自主性を重んじ学び合う事で、参加者の皆さんの仕事や生活の場で役立てて頂き、更に活躍してもらいたいという思いがあります。 二十二歳のTさんは一昨年の八月から参加頂いています。切っ掛けは、私がTさんの勤務しているN社で『自立心』というテーマで講話をさせて頂いた事からでした。 話しの中で、「早朝のトイレそうじを開催しているので、体験したい方がいたら明々後日の六時に大岡公園へ来てみて下さい」と告知をしたのですが、その場で参加したいと申し出た人は一人もいませんでした。 そして開催日の当日朝六時。そうじの準備をしている時に何と!。Tさんが何の連絡も無しにひょっこりと現れたのです。 自己紹介では「N社のTです。今の自分を少しでも変えたいと思い来てみました」と話してくれました。私はその言葉と即行動に移した彼の自主性に驚き、大変感激しました。 その後も毎月とはいきませんが継続して参加を頂き、リーダー役も率先して担当しています。 そんなTさんですが、昨年の初めから定時より十五分程早く出社し、仕事の下準備やそうじを続けているそうです。改めて継続する事の大切さと彼のひたむきな向上心を感じたエピソードでした。 そしてそんな前向きな彼の姿勢を社長さんはちゃんと評価してくれたそうです。日本中の会社がこんな社員さんと社長さんになったら素晴らしいですよね。 年齢や序列など全く関係なく、成長したいという思いを現実化させてくれる力がそうじにはあるんだという事を再確認できた、私にとっても本当に嬉しく感じた出来事でした。(森川)今月の読書から『食は、しあわせの種』高石知枝著~シンプルに、でもちゃんと作ろう~ 著者の自然(じねん)料理研究家、高石知枝さんは、ウチのご近所さんで、10年以上前からお付き合いがあります。その高石さんの初めての出版本が本書です。 高石さんは、もと学校の教師でしたが、現在の学校教育のあり方に疑問を感じて退職。その後は、不登校や知的ハンデキャップを持つ子どもたちやその親たちのたまり場などを主催してきました。教育、福祉、医療、環境問題などに関する勉強会を数多く開催。 その中で、「食」の持つ力を実感し、現在では、「食」を通じて心身を豊かにするための活動を行っています。 教員時代のエピソードが紹介されています。特別学級の担当をしたときの男子生徒アキオ(仮名)は家庭事情が複雑で、生活が荒れ、学校に来ない日も多かったそうです。アキオの食べるものはめちゃめちゃで、毎日の食事は、スナック菓子とコーラ1.5リットルのペットボトルを丸飲みして、たまにご飯を炊けば、キムチ一瓶をかけてたべるだけという生活でした。高石さんは、調理実習という名目で、アキオに、カボチャやひじきの煮物など野菜料理を教えたそうです。 卒業後、アキオは住み込みの職場に就職。規則正しい生活と食事をしていたら、太っていたアキオの体がどんどん締まっていったそうです。アキオを見て、心の安定と「食」は本当に深い関係があるのだと実感したそうです。 本文をいくつか抜粋します。 食がどんどん豊かになって、いろいろなものをおなか一杯食べているのに何か体調がすぐれない人が多いのは、季節に関係なくいつまでも腐ることのない不自然に育てられたもの、作られたものを食べているからです。人間も自然の一部です。できるだけ自然なものを摂り入れたいと思います。 100円のしょうゆと1,000円のしょうゆの味のちがいはどうなのでしょうか。材料のちがいはどうなのでしょうか。小さい子どもたちにしょうゆの味比べをするとだいたい味のちがいがわかります。 わたしの料理教室では、1キロ1,300円のマザーソルトという塩を使っていて、100円の塩と味比べをしてもらっています。確かに高いのですが(中略)1キロの塩なら、厚生労働省から出されている一日の塩の摂取量が7.8グラムですから、しょうゆや味噌などの調味料からでもいくらか摂っていることを考えると、一人分で毎日使っても半年は使えます。 高石さんが教える料理のベースは、「基本の重ね煮」です。材料は、しいたけ、玉ねぎ、にんじんと塩のみ。土鍋に、それぞれ2~3ミリぐらいに千切りしたものを、一番下に塩少々、次にしいたけ、その上に玉ねぎ、にんじん、そしてまた一番上に塩を少々。これを弱火にかけるだけ。 シンプルだけど、ちゃんと自分で作る。食に対する姿勢が、人間として大切なことを教えてくれます。(小早)お知らせ◆公式Youtubeチャンネル 公開中です!「株式会社そうじの力」で検索!Web番組に出演中!Web番組『覚悟の瞬間』で小早祥一郎がインタビューに答えています。◆読者プレゼント!「そうじの力」オリジナルジャンパー。抽選で5名様に差し上げます。株式会社そうじの力  そうじで、組織と人を磨く日本で唯一の研修会社弊社は環境整備(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ=5S)を通じた「良い社風づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。そうじの力だより第152号 2018年3月1日発行発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町373-6 TEL:027-315-2333 FAX:027-315-2334 メール:info@soujinochikara.com