【第158号】問題は起こるもの、乗り越えるもの|(株)森田石材店

そうじの力だより vol.158支援事例紹介問題は起こるもの、乗り越えるもの(株)森田石材店「そうじの力」~兵庫県丹波市に本拠を置き、石材販売と加工、施工、および葬祭場運営を行う(株)森田石材店。同社で約一年前から「そうじの力」の活動が始まりました。 スタート時から経営陣の頭を悩ませていたのが、「石材を捨てられない」ということ。敷地内に膨大な量の石材在庫が積まれているのですが、これがなかなか整理できません。モノが石だけに、腐ることはありません。取っておけば、使う場面も、ないではないのです。だからといって、積み上げられた石材すべてを使い切るわけでもありません。ここで大切なのは、現状把握とルール決めです。そもそも敷地内にどんな石材の在庫があるのか。そして、業務の流れを思い浮かべながら、本当に必要な石材は何なのかを決めていきます。同様なことが、事務所内の書類や葬祭用品などにも言えます。同社においては、「そうじの力」委員会が編成され、各部署から選抜されたメンバーが毎月集まり、それぞれの進捗状況を確認しながら推進しています。石材の加工と施工を担う技術部。工場内には不要な道具や石材があちこちに散らかっていました。一箇所ずつエリアを絞り、要らないものを処分していきます。工場の中二階に上がる階段の奥は、雑多なもので溢れていました。これを整理することで、新たに電動工具置場を作ることができました。この技術部においては、活動の中で、ちょっとした騒動がありました。工場の端に、消耗品などをストックしてある部屋と、社員の詰所があります。それらの部屋の整理・整頓を行う中で、レイアウトの変更が行われました。当初、現場の社員たちの意見を反映したレイアウトが取られたのですが、それについて社長がダメ出しをしたのです。現場側にしてみると、自分たちで決めていいよ、という方針だったはずなのに、なぜ否定されるのか。ミーティングの中で、不満が表明されます。それでも、社長の指示に従ってレイアウトのやり直しが行われます。そして、しばらく経つと、現場からは、「意外に良いね」という声が上がるようになりました。社長の指示は、技術部の全員が一体感を持てるように、コミュニケーションが良くなるように、大部屋形式にしなさい、というものだったのです。これが奏功したということです。一方、県内に二つある販売拠点においては、書類の整理を中心に活動が進められています。ここでも、さまざまな問題が発生しています。注文書などの書類は、既に電子化(PDF)されています。なので、紙の書類は捨てるようにしよう、という意見がある一方、紙の書類も手元に残しておきたい、という意見もあり、なかなか統一化できません。営業所のデスク周りにおいては、当初、デスクとデスクの間を仕切るパーテーションがありました。早い段階でそのパーテーションが撤去されたところもあれば、なかなか現状が変わらないところもありました。こうしてさまざまな問題が起こることは、決して悪いことではありません。もとより「そうじの力」の活動の目的は、見栄えを良くすることではありません。各人が持てる力を発揮し、互いに気持ちよく働けるようにすることが、目的です。ですから、活動することで、水面下に隠れている問題を表面化させる機能があるのです。そうして表面化した問題に手を打っていくことで、より良い職場風土が作られるのです。同社においては、社員の間で、この「そうじの力」に対する不満の声が出てきました。そこで、部署ごとに活動するだけでなく、部門の違う社員同士が集まり、活動することで、違う視点が入り、コミュニケーションも良くなるのではないか、という提案が出ました。それを受け、先日、全社員が集まり、部門をシャッフルして、三班に分かれて、大掛かりな作業をする機会が設けられました。当日は猛暑日でしたが、全員が笑顔で、ワイワイ言いながら、楽しく作業をすることができました。作業後の感想においても、「ようやくそうじの力の意義が分かった」というコメントもありました。問題を明らかにして、それを乗り越える。皆で一緒に改善に取り組む。そうした「そうじの力」のリズムがようやく同社で回り始めました。今後の同社の展開に期待したいです。   (小早)「そうじの力」コラム災害ボランティアで思ったこと~そうじはやっぱり、みんなでやる方がいい~先の西日本豪雨の被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。私も遅まきながら、八月九日に、岡山市東区に復旧支援のボランティアに行ってきました。平日にもかかわらず、ボランティアセンターには、県内外から、老若男女が百人ほども集まっていました。夏休み中の高校生や大学生らのグループもあり、彼らの心意気を考えれば、この国の未来はまだまだ明るい、と感じます。被災から約一か月が経っていることもあって、浸水した床板を剥がしたり、家財道具を運び出したりといった、喫緊の作業は一通り終わっているようでした。で、我々のグループに与えられたミッションは、道路の側溝に溜まった汚泥の掻き出しでした。近くの川が氾濫し、運ばれた土砂が、側溝に溜まって、通水を妨げているのです。まず、コンクリート製の側溝の蓋を開けなければいけないのですが、これがまた、重たいのです。専用のジャッキを使って、テコの原理で開けるのですが、それでも、全身の力を使わなければ開きません。蓋が開いたら、溜まった汚泥を、スコップやジョレンを使って掻き出していきます。しかも、単に掻き出すだけではなく、掻き出した汚泥を土嚢袋に詰めて、それを軽トラックに載せて運ばなければいけません。当日は、例のごとくの猛暑日。張り切ってボランティアに参加したものの、ちょっと作業をすると疲れてしまい、頻繁に休憩を取りました。これをもし、被災した住民の皆さん自らが行うとなると、ただでさえたくさんやらなければならないことがある中で、気が遠くなってしまうでしょう。我々のようなボランティアであれば、人数で勝負できます。たとえ、一人ひとりの作業量は限られていたとしても、何人も集まれば、戦力になります。そして、皆で一緒に作業することで、なんとなく楽しく作業ができます。知らない人とコミュニケーションを取ることもできます。このことは、こうした災害時に限ったことではないと思うのです。そうじって、やっぱり面倒なことです。そうじは修行である。だから、人に頼らず、自分一人で黙々と行うものである、と考える人もいます。もちろん、それはそれでいいのです。でも、皆で行えば、たくさん良いことがあります。自分一人ではへこたれてしまうような膨大な作業も、皆で協力すれば、可能になるのです。そんなことをあらためて感じた、今回のボランティア活動でした。     (小早)株式会社そうじの力そうじで組織と人を磨く日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ”を通じた企業の「組織変革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第158号2018年9月1日発行発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町373-6 TEL:027-315-2333 FAX:027-315-2334メール:info@soujinochikara.com