第65号「そうじの力だより」

そうじの力だより第65号活動報告社 環境整備強化プロジェクト~気づきの決め手は実習~〈きれいになる驚きと感動を味わう〉介護用紙オムツのメーカー、?リブドゥコーポレーションさんの環境整備のお手伝いをはじめました。同社では、すでに十年以上前から、環境整備に取り組んでいるのですが、それをさらに充実させるために、今回あらたに強化プロジェクトを組みました。まずは徳島県にある三野工場から着手。毎朝全員でそうじしているだけあって、工場内は一見するときれいです。ところが、よく見てみると、普段は目が届かない部分に汚れやホコリがあったり、不要物が放置してあったりします。社員のみなさんは、それぞれに真摯に取り組んでいる姿勢が見て取れますが、残念ながら徹底されていないのです。その原因はどこにあるのか。「何のために取り組むのか」という目的についての理解不足。そして、具体的にどのように行えばよいのか、という方法に関する知識・経験不足が原因だと思います。ですから、それらを改善することを重点に置きました。まず活動の中心となるプロジェクトメンバーおよび各現場のリーダークラスの人たちに講義を行い、「環境整備は会社のためにやるものではない。自分のためにやるものである。」ことを説きました。そうじをすれば、自分も気持ちがいいし、周りも気持ちがいい。面倒くささを克服して取り組むことで、自分が人間として成長でき、さらに周囲の人間関係も良くなる。環境整備は決して強制的な手法で取り組ませるべきではなく、各人が自主的に取り組む風土を作るのが目標です。とはいえ、そのような趣旨を何回講義で説いたとしても、頭だけで理解するには限度があります。そこで、今プロジェクトにおいては、実習を数多く行うことにしました。まずはトイレそうじ実習です。はじめに私がデモンストレーションを行ってやり方を示し、プロジェクトメンバーに実践してもらいました。一見するときれいなトイレも、便器に水アカによる黒い筋がついていたり、水濾の裏に黄色い尿石がこびりついていたります。それらをスポンジ、ナイロンタワシ、サンドメッシュなどを使って、丁寧に落としていきます。やりながら、あちこちで「うわっ、こんなに汚れているのか!」「わあ、こんなにきれいになるんだ!」という声が上がります。みなさん、夢中です。実習後の感想では、「裏があれほど汚れているとは気づかなかった」「きれいにするとはどういうことか分かった」「きれいになると楽しくなる」「もっときれいにしたい」などの意見が出ました。人は、頭を使うと同時に、手足を使って汗をかくことで、学ぶのだと思います。N社 環境整備の取り組み?~成果が見えると楽しくなる~〈各人の自主性を尊重して〉前号でもご紹介した飲食業のN社のセントラルキッチン(CK)の環境整備の取り組み。私の予想を超えて、どんどん進んでいます。先日私が訪問した際には、朝、パートさんを含めたスタッフ全員で、包装用の機械をそうじしていました。聞けば、外側それなりにそうじしてきたものの、パネルを開けたりして内部のそうじをするのは、機械導入以来(十五年ほど)初めてではないか、とのこと。みなさん真剣な表情で、黙々と機械を磨いておられます。「きれいになりますね」と声をかけると、「気持ちいいですね」と笑顔で答えてくれました。パートさんたちは、主婦の感覚で、やはりきれいにすると気持ちがいい、ということを感じておられるのでしょう。同社の取り組みの特長は、各人の自主性を重んじるところです。同CKのセンター長は、「最終的には、何の取り決めがなくとも、みんなが自主的にそうじする風土を作りたい」と言います。毎月一回、私も参加してプロジェクトの会議を行っています。会議では、各グループの現在の取り組み状況を報告してもらい、現場の確認と合わせて、今後の取り組みについて意見交換を行います。トイレや階段、休憩室などの共用部分については、当番表を作って、そうじをしています。ただし、その当番表には、「何日に誰が」行うのかが明記されていません。当番表を見て、「今日は自分だな」と思った人がそうじするのです。出張の多い人などは、出社するときにまとめて三日間連続でトイレそうじを行う人もいます。取り組みをはじめる前のトイレは、かなり汚れていました。しかし取り組み三ヶ月目に入った今では、ピカピカになり、時間が余るようになってきました。報告によれば、時間が余ったスタッフから、「他の人を手伝ってもいいですか」との問いがあり、上司の方は「もちろんいいですよ。ぜひ手伝ってください」と答えたとのこと。週に一回、CKの周辺をそうじしているのですが、最近は、センター長が「どこをやろう」と言う前に、各人がそれぞれ場所を決めて取り掛かるのだそうです。また、以前から「つゆ」に若干の「おり」が混入することがあり、原因がよく分からなかったのですが、つゆを封入する機械を分解してみたところ、注入口にカスが溜まっていることが分かり、それをそうじしたところ、「おり」はなくなった、とのことです。会議で、そうした報告を聞くのはとても嬉しいものです。プロジェクトメンバーの口からは、「している所としていない所の違いがハッキリ分かるので、汚いところをきれいにしたいという気持ちが湧いてきます」「外部のトイレを借りるときに、自分が汚してはいけない、という気持ちになります」などという感想を聞くこともできました。自主性を重んじるトップの気持ちが、そのままスタッフに伝わっています。連載企業再建の現場から~税金は逃れられない~〈金融債務と税金はまったく別〉再建を支援しているA社の資金繰りが厳しく、固定資産税を払えない、というので、経理担当者に同行して、市役所の収納課を訪ねました。当方は分割して五~六年かけて納付することを提案したのですが、収納課担当者に言下に否定されてしまいました。「分割納付は、年度内完納が前提です」「分納が長期にわたれば、新たな年度の税金も滞納になり、雪だるま式に滞納額が増えていきます」「年度内完納できなければ、法律に則って強制的に処分します」とのこと。「強制的に、と言いますと?」と尋ねると、「まず、所有不動産を差し押えます」「不動産を競売にかけて換金します」「抵当権がついて競売ができな場合には、次の段階として、御社の売り先に対して売掛金の供出を要求します」「売り先がそれを拒否すれば、民事裁判を起こし、裁判所の命令により、売り先の預金口座を差押えます」「売り先が一般消費者の場合、市が直接その消費者から代金を徴収することもできます」とのこと。担当者は、極めて事務的で、淡々と説明してくれます。感情や思い入れがない分だけ、よけいに怖さを感じます。売掛金を抑えられてしまったら、もう商売を続けることはできません。金融債務については、先方もビジネスと割り切っていますし、色々な債務圧縮策がありますが、どうも税金については、逃れる方法はないようです。「税は国家なり」と言います。再建にあたって、税金を甘く見てはいけません。おそうじ名言集N社 社長の決意表明文~「そうじの力」は大きな意味がある~〈N社 社内報より転載〉商売をするにあたって、大切な考え方はいくつかありますが、環境整備もその一つです。特に「清潔である」ことはとても大切なことであると、常々思っていました。当社は、お客様が口に入れる「食べ物」を作り、提供し、商売を営んでいるのですから、「清潔であること」はとても大切です。しかし、現実には工場も、店舗も、私の考える清潔とは差があります。今までこれを何とかしなければと考えていましたが、商工会議所様とのご縁で、小早先生にお会いできました。先生のお話をうかがい、あらためて整理、整頓、清掃、清潔、躾(5S)の大切さを力強く感じました。「やらなければならない」と強く思いました。そうじの仕方に意志を入れて実行することで、職場がきれいになり、環境が整備されるだけでなく、創意工夫が生まれます。仕事の仕方も変わります。考える習慣も身につきます。また、職場の一体感が強まり、「お互いさまの心」や「感謝の心」が育ち、他人を思いやるあたたかみのある調和のとれた職場環境を作ることができると考えています。環境整備の力は大きいと考えています。本来はセンターだけでなく、全店で取り組みたいところですが、今年はセンターで取り組むこととしました。やる以上は、きちんとやりましょう。みんなの力でやりぬきましょう。(本誌表面下段でご紹介した飲食業のN社がCKで環境整備を始めるにあたって、N社長が作成した決意表明文です)お知らせ◆(仮称)高崎リーダー経営者道場  今までここ高崎で、地元の経営者仲間たちと一緒に、様々な経営の勉強会を実施してきました。このたび、それらの勉強会を統合し、ひとつのまとまったカリキュラムとして開催していくことにしました。目的は、「志ある経営」を学び、それを自社で実践するのみならず、取引先や近隣企業にもアドバイスできるリーダー経営者を輩出することです。手作りの自主的勉強会です。ぜひお気軽にご参加ください。 尚、北三公園のトイレそうじは、この勉強会の環境整備実習に統合します。 対象者:経営者、後継者、起業志望者内容:?経営計画書に基づく実践発表とそれに対するアドバイス、?環境整備実習 他講師:須田知身(事業再生財団理事長)小早 祥一郎 他参加費:無料(食事代等は実費)時間割:前日夕方集合、当日正午解散開催日程:十二月七日(火)~八日(水)二〇一一年一月四日(火)~五日(水)、二月一日(火)~二日(水)、三月一日(火)~二日(水)ご希望の方には詳しい資料を送付します。◆ラジオに出演します十二月十日(金) PM二時四十五分~TBSラジオ『日本列島ほっと通信』テーマ「掃除できれい」 ◆「そうじの力」解説DVD頒布中実際に私がお手伝いした事例を題材に「そうじを通じた経営改革」を解説したDVDを無料で頒布中です。株式会社そうじの力・そうじを通じた経営改革・人材育成支援    (コンサルティング、研修)・企業再建・事業継承・後継者育成支援(専門家チームプロジェクト)当社は、志(理念)を持った人と企業を応援するため、諸々の支援活動を行っております。編集後記◆ツワモノ?いえ、あなたが・・・ 新幹線で『会社の買い方、上場の仕方教えます』という本を読んでいました。下りる間際に、隣に座っていたおばあさんが、私を見て、「やはり今が買い時でしょうかね?」と尋ねます。「は?」と、わけの分からぬ私に構わずおばあさんは、「どんな銘柄が買いでしょうか?」と尋ねます。どうやら私のことを、株式投資の達人と勘違いしておられるようなのです。「いや、私は株のことはとんと・・・」「かれこれ十五年ほど株をやっておりますが、なかなか難しいものですね」私はそのおばあさんに、持っていた本を差し上げて、電車を下りました。