第67号「そうじの力だより」

そうじの力だより活動報告真下労務SO環境整備実習~「当り前」のことをやる習慣づけ~〈「即行」を身につけるために〉群馬県高崎市にある社会保険労務士事務所、真下労務サポートオフィスの環境整備推進をお手伝いしています。同社は社員数も少なく、新築の事務所に移転して三年ほどなので、比較的きれいです。ただ、仕事柄、書類がかさばるので、書類の整理整頓を中心に進めることにしました。真下俊明社長が環境整備に取り組もうと思われた真意は、単に見た目をきれいにするためというよりも、環境整備を通じて社員さんたちに成長して欲しい、という願いが根底にあるとのこと。しゃちほこばった座学よりも、実習型の環境整備教育の方が、得るところが多いと判断しました。昨年十一月から取り組みを始め、まずは書類の整理を進めています。一ヶ月に二回ほどお邪魔し、全員参加で二時間程度の実習を行います。「整理」とは、要る物と要らないものを分けて、要らないものを処分すること。私はこれを、「捨てる、減らす」と表現しています。世の中には、なかなかモノを捨てられない人が多いものです。モノを「使えるか、使えないか」で判断すると、ほとんどのものは機能的には使えるため、捨てられません。「使うか、使わないか」で判断すると、多くのものを捨てることができます。実習後の感想では、「前回、前々回と実習をして、もう十分に捨てたと思っていたが、よく見るとまだまだ捨てるものがあると気づいた」「後でやろうと思って取っておくと、結局積みあがってしまう」「自分だけだと基準が甘くなってしまうので、全員でやると整理が進む」「全員で知恵を出しながらやるので、仕事がしやすくなる」などが出ました。真下社長は、「要らないものを捨て、要る物を捨てない、というのは当り前のこと。その当り前のことがなかなかできない。自分自身も、執着があるから書類や本を捨てられないのだと思う。どうしても後回しにしてしまう。だからこのように定期的に全員で取り組むことが必要だ」と言っています。直接的な生産活動に比べて、整理・整頓・清掃は地味で成果が見えにくい活動です。しかし、「当り前のことを当り前にやる」ことがなかなかできない私たちにとって、その訓練環境整備通じて行うことができます。環境整備を進めていくと、「気づいたときに、気づいた人が処理する」いわゆる「即行」が身につきます。「この書類は後で見よう」と思っていると、結局積み上がってしまい、生かせません。「汚れているけど、いつかそうじしよう」と思っていると、いつまで経っても汚いままです。小さなことの積み重ねが、少しずつ人間を成長させます。おそうじ先進企業訪問株式会社トラスト~風土として根付かせる~〈何よりも社長の想いが大切〉横浜市に本拠を置き、神奈川県下に四店舗の調剤薬局を展開する?トラスト様を訪問させていただきました。同社は、金子貴一社長が製薬会社勤務から独立して創業したもので、二十年目を迎えます。同社は九時始業なのですが、私たちが訪れた八時には、既に社員さんたちはそうじを始めていました。同社の目の前の道路を、およそ百メートルにわたって二人ペアになって掃き清めています。そうじしながら社員さんたちは、道を通行する人たちに大きな声で丁寧に「おはようございます!」と挨拶しています。同社の向かいに大きな病院があるのですが、出勤してくる医師たちにも大きな声で挨拶をしています。こうしてそうじや挨拶をすることで、当然ながら地域住民や病院の医師たちに良い感情が生まれ、地域から愛されるようになります。実際、同社のすぐ隣に他社の薬局があるのですが、処方箋の扱いは、同社の一人勝ちという状況だそうです。驚いたのは、そうじや挨拶といったそれらの取り組みは強制ではなく、すべて自主的なものだ、ということです。取り組みを始めた当初は、まず金子社長が自ら早く出勤し、店舗周辺のそうじを一人で黙々と続けたそうです。また、コミュニケーションを取るために「挨拶」に取り組み、まずは社長自身が社員さんたちに向かって正対し、大きな声で挨拶するようにした、とのこと。金子社長は当時のことを振り返り、「周りからは、私がバカに見えたと思う」とおっしゃっています。しかし、そうした取り組みが徐々に社員さんたちを変えていきました。金子社長は、なぜこのような取り組みをするようになったのでしょうか。「薬局というのは、実は普通の職場ではないのです」と社長は言います。薬剤師というのは資格の職業です。各店舗には必ず一人の薬剤師を置かなければならず、求人も多いため、薬剤師にはプライドが高い人が多く、中には一般常識も知らないような人もいるのだとか。「当時は、私が挨拶をしても、返事もしない社員がいました。」と金子社長。「これではいけない。薬剤師である前に、一人の人間として当り前のことができるようにならなければならない」この社長の想いが、そうじや挨拶といった取り組みに突き動かしたのです。当初は、そうしたことに反抗的な態度を取る人もいて、中には同社を辞めていった人たちもいたそうです。しかし今、同社の社員さんたちの表情を見ていると、実にすがすがしく、穏やかな表情で、イキイキと働いているのが見て取れます。「ローマは一日にしてならず、です。そうじや挨拶は漢方薬のようなもので、じわじわと効いてくるものですよ」金子社長の言葉には重みがあります。連載企業再建の現場から~親族以外が経営を引き継ぐには~〈営業会社設立という選択〉日本のほとんどの中小企業は、親族経営です。多くの場合、息子さんが父親の後を継いで代表取締役になります。「自分の親族に継がせたい」という創業者の気持ちもあるのでしょうが、それ以上にそうさせている原因が、金融債務の連帯保証制度です。借入をする際には、代表取締役が連帯保証人として実印を押します。代表者が変わった場合には、新しい代表者が実印を押し直さなければなりません。もし親族内に継ぐべき男子がおらず、プロパー社員に適任者がいたとしても、血のつながりのない他人が連帯保証のハンコをつくのは躊躇するものです。こうした問題を解決する方法に、「営業会社設立」という手法があります。現在の会社の体制はそのままにして、新たに同社の営業を引き継ぐ会社を設立し、プロパー社員が新会社の代表取締役に就任します。新会社は、元会社から事務所や工場、店舗といった不動産を借りて元会社のすべての事業を引き継ぎ、家賃を元会社に支払います。当然、顧客や取引先には事情を説明しますが、外部から見れば、実態は今までと何ら変わりありません。後継者であるプロパー社員にすれば、連帯保証というリスクを回避して、経営を引き継ぐことができます。元会社の社長にとっては、育てた事業を後継者不在でこの世からなくすことを避けることができます。不動産は、新会社の経営が順調ならば、少しずつ買い取っていけばいいのです。ミニコラム志を持った若者が育つことに期待~中学生への講演を終えて~〈働くって、どういうこと?〉高崎市の中学校で、就業体験週間の事前学習という位置づけで依頼を受け、中学一年生に講演をしました。テーマは、「働くってどういうこと?」私自身の体験である、日産自動車への就職、独立、そして「株式会社そうじの力」の設立などのエピソードを通じて、私の職業観をお話しさせて頂きました。まず私から生徒に、「働くって、どういうことだと思う?」と質問してみました。「給料をもらうこと」「金を儲けること」「よく分からない」などの意見が出る中で、一人の生徒が、「人の役に立つこと」と答えたのです。これこそが私の用意していた答えだったのですが、まさかズバリ出るとは思わなかったので、ビックリしました。私自身、中学生の頃には「働くとは役に立つことだ」などと思ったこともありませんでした。少数かも知れませんが、将来、志をもった青年に成長してくれる子供たちがいるかも知れません。後日送られてきた感想文には、「働くことは金を儲けることだと思っていたので、『役に立つことだ』と聞いてビックリしました」「働くことについての考えが変わりました」などの文言もありましたが、「独立した小早さんは大変だと思います。だっていつもお金の心配をしなくてはいけないのだから」と書いてあるのもあり、苦笑してしまいました。また、良い感想文は女子のものが多いことも気になりました。この年代、男子はまだまだ幼いのでしょうか。今後の成長に期待します。お知らせ◆経営計画作成合宿in草津「志ある経営」を目指す仲間と共に、個人あるいは自社の経営計画をじっくりと練る合宿です。計画作りそのものは各人の個別作業になりますが、折々に内容を発表し合い、互いに感想やアドバイスを述べ合うことで、より内容を充実させます。夜には懇親会もあります。対象者:経営者、後継者、起業志望者日 時:二月七日(月)十三時現地集合    二月九日(水)十三時現地解散場 所:草津温泉 中沢ヴィレッジ参加費:宿泊費および食事代等の実費◆創業道場(原則毎月開催)対象者:経営者、後継者、起業志望者日 程:三月二日(水)、五月十一日(水)、六月一日(水)、七月六日(水)、九月七日(水)、十月五日(水)、十一月二日(水)、十二月七日(水)内 容:六時~七時半環境整備実習(北三公園他)七時半~九時 朝食会九時~十時 良書輪読会十時~十二時 経営計画書に基づく実践発表と意見交換(高崎市産業創造館)参加費:無料(食事代等は実費)◆経営計画コンベンション(発表会)志ある経営を目指す仲間同士による、経営計画の合同発表会です。日 時:四月六日(水)九時~十二時場 所:高崎市産業創造館◆北三公園トイレそうじ日 時:二月一日(火)六時~七時株式会社そうじの力・そうじを通じた経営改革・人材育成支援    (コンサルティング、研修)・企業再建・事業継承・後継者育成支援(専門家チームプロジェクト)当社は、志(理念)を持った人と企業を応援するため、諸々の支援活動を行っております。編集後記テレビの見過ぎ! ある日の夜、妻がテレビを観ていて、脇にいた五歳の娘が妻に聞きました。娘「これは何の女?」「何の女」とは、二時間サスペンスドラマにありがちな「京都地検の女」「科捜研の女」などのタイトルのことです。妻は二時間サスペンスドラマが大好きで、そのときに観ていたのも、まさに火曜サスペンス劇場でした。妻「いえ、これは『女』ではなくて、『法医学教室ファイル』なのよ」娘「ふーん。『女』じゃないんだ。でも『女』と同じ人が出てるよね」私「君たち、病気だよ・・・」