第69号「そうじの力だより」
活動報告小河原建設環境整備PJ〈他者の視点が気づきを促進する〉~全員による現場視察~東京の注文住宅建築の小河原建設で、環境整備強化のお手伝いをしています。今回、社員全員による建築現場での環境整備研修を行いました。全員が現場に入り、「良い点」「悪い点」を指摘し合います。ポイントは、安全性、作業性、そして清潔感です。まず良い点として、「全体的に、建築現場としてはきれいな印象だ」「トイレがきれいで素晴らしい」「ゴミにブルーシートがかけられているのが良い」「材料がまとめられている」などの意見が出ました。反対に悪い点としては、「道具があちこちに出しっぱなしになっている」「窓枠に道具や材料が置かれている」「飲んだ後のコーヒー缶が置きっぱなしになっている」「床の養生シートが、一部固定されていない」「材料の保護材が一部剥げている。日焼けしないか」などの指摘がありました。私の方からは、「電動工具の配線が、以前に比べれば良くなったが、まだ足を引っ掛ける可能性がある」「道具やビスなどの置き方が乱雑」などを指摘しました。社員の中には、設計部門や総務部門など、普段はなかなか現場に入ることのない人たちも含まれています。彼らの「素人」なりの視点も、大変に有用です。現場監督たちは、普段から環境整備に気を配っていますが、当事者というのは、どうしても「慣れ」があるため、盲点が出てきてしまいます。同社の現場は間違いなく、「業界としては」かなりきれいです。しかし、えてして業界の常識は一般の常識とかけ離れてしまうものです。もうひとつ、他部署の人間同士で指摘し合うことのメリットは、そこでコミュニケーションの訓練ができる、ということです。他人から悪い点を指摘される、というのは辛いものです。そして指摘する方もまた、覚悟が要ります。今回、どの社員もたくさん「良い点」を挙げていました。指摘される側の気持ちを慮っているのがよく分かります。感心したのは、今回視察した現場を担当している現場監督です。「担当者として、みなさんの意見をどう受け止めるか?」と問うたところ彼は、「こうしてみんなに来てもらうと、大変に緊張感がある。現場監督の視点では気づかない指摘もあった。ぜひこうした視察会を定例化して欲しい」と答えたのです。素直でないと、他人の進言を受け止めることはできません。おそうじ技術紙上講座トイレそうじの目のつけ所〈裏、奥がポイント〉~ひざまづき、視線を低く~パッと見た瞬間に汚いトイレというのは、実はそんなに多くありません。問題は、裏や奥です。まず、便器の奥の床が汚れている場合があります。この部分は、顔を奥に突っ込んで見ないと、見えないものです。立った姿勢では手が届きませんので、ひざまづいて、手を伸ばしてみると、汚れている感触を確かめることができます。実際に奥を覗きこんで見ると、信じられないほどの埃が溜まっていることがあります。まるで羊を飼っているかのような綿埃です(笑)。また、男子便器には、水濾(みずこし)という、排水管からの臭いの逆流を防ぐためのフタがついています。この水濾を、外してみることが大事です。中には、トイレ設置以来一度も水濾を外したことがないと思われるようなトイレに出くわすことも珍しくありません。あまりの強烈な臭いと、ヘドロの感触に、吐き気を催すことも・・・。この二つの事例は、これらのトイレを管理する人の気持ちをよく表しています。それはつまり、「表面だけ済ませばいい」という気持ちです。私たちは誰でも面倒くさがり屋です。しかし、その面倒だという気持ちにいかに打ち克ち、手間暇のかかる作業に汗を流せるか。トイレそうじを通じて、そんなマインドを育むことができます。一方、「そこまでできるとは思わなかった。」という観点もあります。たとえば、便器と床を締結しているボルトのカバーがあります。このカバーは、外すことができます。カバーの中に、泥汚れが溜まっていたり、ボルトが真っ赤に錆びついていたりします。また、最近の様式便器の場合、便座が取り外せる構造になっているものが多くなっています。便座を外して、その裏を見てみると、「キャー!」という悲鳴を上げたくなるような汚れがついていたりします。大事なのは、「徹底する」こと。徹底的にきれいするためには、分解できるものはすべて分解します。私は以前、自宅のトイレをタンクから便器からすべて分解し、「穴」ひとつにしたことがあります。(もちろん、そんなことまでする必要はありませんが・・・。)コラム「震災を経て」?日本人って、やっぱりすごい〈イザという時に人間性が出る〉~調和社会への回帰に向けて~今回の東北地方太平洋沖地震発生当時、私は茨城県に出張中でした。震度6強で、それこそ立っていられないほどの揺れを体験しました。すぐに広い屋外に退避したので、人的被害はありませんでしたが、建屋に戻ってみると、中にあったものは散乱し、粉々に割れていました。電気、ガス、水道もストップし、その晩はローソクの火の下で過ごすことに。大きな揺れが収まってから、避難生活に必要な物資を調達するため、コンビニに買い出しに行ったのですコンビニでは、商品が棚から落ちて床に散乱していました。電気も消えて、暗い店内です。その中で、みな、ちゃんとレジに並んで、お金を払って買っています。店員たちも、おそらくパートさんでしょうから、自分の家のことが心配なはずですが、職場放棄することもなく、ちゃんと責務を果たしていました。諸外国などでは、これ幸いにと略奪が行われるそうですが、まったくそんな気配はありません。次の日、茨城の知人の車に乗せてもらって、高崎に帰りました。道中、一帯は停電していますので、信号が消えています。交差点に入ると、みな一時停止し、どちらからともなく譲り合います。日本人は、普段は自分勝手な行動が多いのに、このような時には、眠っていた良心が呼び起されるようです。この震災を契機に、助け合って生きてゆく調和社会に回帰できれば、せめてもの救いとなるでしょう。常に身の回りをシンプルに〈不要なものを捨てる〉~なくすものを「なくす」~今回の大地震を経て、私はますます「整理」の重要性を感じています。整理とは、「必要なものと不要なものに区分し、不要なものを処分すること」ですが、私はシンプルに「捨てる、減らす」と定義づけています。モノが多ければ多いほど、地震で揺られたときに、被害が大きくなります。散乱したモノを片付けるのにも、手間暇がかかります。少なければ少ないほど、失うものも少なくなります。たとえば私はある時期に、若い頃の写真をすべて捨てました。過去の写真など、まず見ません。捨てたところで、何も困ることはありません。でも、それらの写真の奥にある「思い出」は消えることはありません。たとえ自然災害で「モノ」が壊されてしまったとしても、「想い」まで壊されることはないのです。ならば、普段から極力余計なものを持たないようにして、常に身の回りをシンプルにした方がいいです。たとえば、本やCDは買わずにレンタルする。電子データも、個人のパソコンのハードディスクに保存せず、インターネット上にクラウド化する。そういった生活が、これからの時代に求められている気がします。お知らせ◆第五回 経営計画コンベンション「志ある経営」を目指して一緒に勉強する仲間による、経営方針のプレゼンテーションの場です。本コンベンションの目的は、まず経営計画書を作成すること。そして、発表することで、自分自身の決意が固まり、他人の発表を聞くことで、参考にすることができます。応援してくれるオブザーバーも歓迎します。遠方の方にはホテルをご紹介します。日 時:四月六日(水)九時~十三時場 所:高崎市産業創造館 対象者:経営者、後継者、起業志望者参加費:三五〇〇円(昼食代込)◆チャリティーセミナー『そうじの力で会社が甦る!』 本セミナーでは、なぜ整理・整頓・清掃に取り組むと会社が良くなるのか、その合理的メカニズムをご説明します。 また、そうじを取り入れて経営を改革した会社の事例もご紹介します。 そして、導入にあたっての具体的方法やコツなども伝授します。 尚、本セミナーの参加費は全額、日本赤十字社を通じて、東北地方太平洋沖地震の復興支援に寄付させて頂きます。日 時:五月十日(火)十五時~十七時場 所:高崎商工会議所講 師:小早 祥一郎対象者:経営者、経営幹部参加費:五〇〇0円株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援環境整備は「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習(トイレそうじ、倉庫内不要物撤去、工事現場の整理整頓、工場内機械磨き、洗車、書類の整理整頓、周辺地域清掃など)を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は半年~一年。毎月二回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。現状調査(診断)やご相談は無料です。全国どこでも出張が可能ですので、お気軽にお問合せください。 編集後記◆これだけは守る? 今回の地震発生時、高崎の自宅には、妻だけが居ました。 高崎は震度5強でした。 幸いにも、若干の食器が割れたりしたものの、ライフラインにも影響はなく。すぐに元通りの生活に戻れたようです。 私が帰宅したあと、互いに地震発生時のことをいろいろと話したのですが、私が、「すぐに屋外に避難したのか?」と聞くと、「いや、家の中にいた」と言います。 「テレビが倒れそうだったので、必死に押さえてた」と。 おおっ!わが家で一番高価な資産を守ろうとしてくれたのか。さすがわが妻よ! って、オイ! テレビのことより、自分のこと心配しろ!