【第159号】形から入って心に至る|生駒学税理士事務所
そうじの力だより vol.159支援事例紹介形から入って心に至る~生駒学税理士事務所「そうじの力」~香川県高松市の生駒学税理士事務所。スタッフ約七十名、顧客数八百社超という、四国でも有数の規模を誇る会計事務所です。私は六年前から同社の「そうじ」の活動のお手伝いをしています。私が同社の生駒学社長を好きなのは、その正直なところ。同社がなぜそうじに取り組むようになったのか、その理由を次のように説明してくれます。〈そもそも、私(生駒)自身、そうじは好きではない。みんな嫌いだと思う。面倒くさい。それでも、多くの著名な経営者や経営コンサルタントは全員、掃除が大事だと言っている。ならば、わが社もやってみよう。〉というふうに、そうじはあくまでもビジネスを成功させるための手段と割り切っています。さらに、〈私たち会計事務所は、顧客企業に経営のアドバイスをする立場。「そうじをすると会社が良くなりますよ」と伝えたくても、自分のところがやっていなければ、お客様に言えるわけがない。だから、まず自分のところでやってみて、その手ごたえをお客様に伝えよう。そして、お客様に良くなってもらおう。〉ということなのです。私は、当初の二年間は、毎月訪問して研修を行っていましたが、ある程度のレベルになってきたので、現在では、年に一~二回の訪問になっています。そして、毎年一回、外部向けに発表会(見学会)を開催しています。発表会を開催することで、社内に緊張感が生まれます。そのために頑張ろうという気持ちが湧いてきます。ピアノでもバレエでも、発表会があるから頑張れるのです。同時に、発表会に来てくれた企業に、「そうじ」の有用性を伝えることで、「そうじ」の取り組みの普及にもつながります。さて、同社も、取り組み当初はまず、要らないモノをすてること、すなわち「整理」から始めました。会計事務所という業種がら、やはり書類が溜まってしまいます。期限の過ぎた書類は廃棄し、お客様に返却すべき書類は返して、量を減らしました。また、人員の変動やレイアウト変更に伴って不要になったスチールデスクや椅子、ソファなども処分しました。そして、徹底した定位置化(整頓)と、裏側や隅など「見えない所」にこだわった清掃に取り組んでいます。活動も七年目に入り、前年に比べてさらにレベルアップしている面もあれば、新たな課題も出てきています。書類については、これまでの「紙」を電子化(スキャン)することで、保管スペースのコンパクト化と検索効率のアップを図っています。社内の各フロアごとに、そうじの責任者を決めて、責任者ごとに活発な活動が行われるように工夫しています。トイレそうじを素手で行うことは、既に当たり前になっています。見学会においても、若手社員が素手でのトイレそうじを実演していましたが、見学者からの「抵抗はないですか?」との問いに、慣れればどうってことありません、と平然と答えていました。一方、新入社員が増え、私の研修を直に受けていない人が増えたこと、繁忙期には残業を抑制するためにそうじを簡略化していることなどから、そうじに対する意識が少し落ちている、という話もありました。見学会の後、参加者を交えて座談会がありました。そこで参加者から、「そうじをやりたがらない社員を、どのようにすればやるようになるのか」という質問がありました。生駒学社長の答えがイカしています。〈二:六:二の「パレートの法則」というのがあります。前向きな人が二割、後ろ向きの人が二割、残りの六割は、どちらにも転ぶ。二割の人はどうやってもやらない。でも、八割の人がやれば、会社は変わる、だから、六割の人をどう巻き込むかが大切です。〉〈「そうじ」は、「形から入って心に至る」取り組み。でも、人間、心なんてそうそう変わるものではありません。だから、心が変わらなくてもいいのです。形が変われば、組織は変わります。〉ちなみに同社では私のことを「ゴジラ小早」と呼んでいるそうです。訪問するたびに、指摘の嵐という火を噴くからでしょう(笑)。外部の刺激をうまく使って、成長していっているのが同社の特長です。(小早)今月の読書から裏切られた自由(上・下)』ハーバート・フーバー著 渡辺惣樹訳~ルーズベルトが戦争を起こし、戦後世界を狂わせた!~ 第31代アメリカ大統領ハーバート・フーバーが、第二次世界大戦はなぜ起こったのか、そしてそれが戦後世界に何をもたらしたのか、を考察した歴史書です。 以前に要約版を読んだことがあるのですが、今回は完全訳本。上下巻合わせて1293ページという大著です。お値段も張るので、ご興味のある方以外にはお勧めしませんが(笑)、内容は一級品です。 以下、引用です。 〈ドイツのソビエト攻撃で、ルーズベルト氏に永続的な和平を構築できるまたとないチャンスが到来した。世界最悪の侵略国家の二人の独裁者(ヒトラーとスターリン)が、死に物狂いの戦いに突入したのである。放っておけば、遅かれ早かれ二人の悪魔の気力は萎え国力は衰退する。(中略)しかし、そうはならなかった。ドイツの攻撃からわずか24時間後の1941年6月23日、国務長官は記者会見の席で、ロシアへの武器供与の可能性を仄めかしたのである。(中略)こうして武器貸与法の枠組みの中で、共産主義者への支援が決められた。我が国が共産国家と連携することなど、あってはならなかった。〉 〈いまの状況をさらに進めて、我が国が現実に参戦し我々が勝利すれば、スターリンはロシアの共産主義を盤石にし、共産主義思想を世界各地に拡大させることになる。(中略)スターリンと提携することは、ヒトラーと手を結ぶこと同様に、我が国建国の精神を踏みにじることなのだ。〉 〈国民も議会も我が国の参戦に強く反対であった。したがって、大勢をひっくり返して参戦を可能にするのは、ドイツあるいは日本による我が国に対する明白な反米行為だけであった。ワシントンの政権上層部にも同じように考える者がいた。彼らは事態をその方向に進めようとした。つまり、我が国を攻撃させるよう仕向けることを狙ったのである。〉 〈ある程度の事情がわかっている者は、日本が悪辣な奇襲攻撃をアメリカに仕掛けたなどとは考えない。真珠湾攻撃は、予期されていただけでなく、期待されていた。ルーズベルト大統領がアメリカを戦争に導きたかったことに疑いの余地はない。最初の一撃は相手側から発せられる必要があった。だからこそ、日本に対する締め付けを強めていったのである。その締め付けは、自尊心のある国であれば、もはや武器を取るしかないと思わせるところまでいっていた。〉 ルーズベルトがこのような行動をとった原因について、フーバーは以下の2点を上げます。ひとつはニューディール政策の失敗を隠すため。そしてもうひとつは、ルーズベルト政権内部に共産主義の工作員が多数潜入していて、ソ連側に有利な政策が推進されていったことです。 その後、ソ連は崩壊しましたが、北朝鮮や中国などの共産主義国が世界の脅威となっている現実は変わりません。こうした本を読むと、つくづく、物事を多面的に学ぶ必要性を感じます。(小早)株式会社そうじの力そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ”を通じた企業の「組織変革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第159号2018年10月1日発行発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町373-6 TEL:027-315-2333 FAX:027-315-2334メール:info@soujinochikara.com