【第162号】続けてきたからこそ、大事さが身に染みて分かる!|(有)ファイン

そうじの力だより vol.162支援事例紹介続けてきたからこそ、そうじの大事さが身に染みて分かる!()ファイン「そうじの力」見学会~福井県鯖江市の()ファイン。毎年この時期に、外部の方をお招きして、そうじをテーマにした見学会(発表会)を開催しています。今回も、十二月八日に、参加者十八名を得て、盛況な会が行われました。同社は、メガネフレームなどにデザインを印刷する会社です。私がお手伝いを始めた当初は、床と言い、壁と言い、機械と言い、インクまみれでした。「印刷会社なのだから、これが当たり前。そうじなんてしても無駄」という雰囲気がありました。今では、床も機械も、ピカピカに光っています。あ当初、手狭で、通路も満足に確保できていなかった工場内は、無駄なモノを徹底的に処分したことで、広々とした、安全で快適な空間に生まれ変わりました。道具や備品の定位置化を進め、誰が見ても、どこに何があるのか、ひと目でわかるようになっています。毎回の見学会では、まず、これまでの取り組みの経緯について説明をした後、実際に工場内を歩いて見てもらいます。ただ単に見てもらうだけでは詰まらないので、ここで、どのような作業をして製品作りを行っているのか、デモンストレーションを行います。参加者は、工場内がキレイで整っていることに感嘆し、印刷作業を興味深く見守っていました。さらに、「見学者にもっと楽しんでもらおう!」と、今回は「シールラリー」を実施。工場内に隠された十種類のシールを台紙に貼り付け、完成したら景品がもらえる、という仕掛けです。今回の見学会について、同社の藤井高大社長は、「準備について、社長である私は何も指示していない。社員たちが自分たちで考え、アイデアを出して、実行してくれた」と言います。シールラリーのアイデアを出してくれたのは、当初、「そうじなんて面倒くさい」と後向きだったHさん。ある時期から、「どうせやるなら、楽しくやろう!」と姿勢が変わり、以来同社では、「楽しくやる」が合言葉になりました。既に活動開始から七年半が経ち、整理・整頓・清掃のレベルは相当なものになっています。しかし、同社では、現状に満足することなく、常に進化を続けていっています。研修室(会議室)の壁面は、明るい壁紙に貼り換えられました。商品のサンプルは、見やすく取り出しやすいように、専用の箱やファイルを作っています。実務面でも、残業時間の短縮やクレームの削減などの効果が出ています。藤井社長は、「こうして発表会をやると、普段自分たちでは気づいていない進歩を確認することができる」と言っています。今回はじめて取り組みのプレゼンをしてくれたSさんも、今までになく、熱く語ってくれました。同社がなぜ、ここまで環境整備に力を入れて取り組むのか。少し前の私の研修において、あらためて「目的」を確認してみました。そこで出た彼らの答えは、「自分たちの会社は自分たちで作る」「小さくても誇れる会社にする」というものでした。その言葉通り、社員さんたちの表情は、七年前とは打って変わって、自信に満ち溢れています。活動をはじめてまだ間もない頃、一年後、三年後、五年後の目標を決めました。その三年後の目標に、「赤ちゃんでも這い回ることのできる工場を目指す」とありました。現在の工場は、塵一つ落ちておらず、実際、社員たちが自分たちの子供を連れてきて、床に這わせて遊ばせています。以前に目標としたことが、現在は当たり前に実現しているのです。昔日を思い出すと、感慨深いものがあります。藤井社長が、最後の挨拶で言っていた言葉が印象的でした。「整理・整頓・清掃が大事だということは、経営者ならだれでも知っている。でも、頭で知っていることと、実際にやって分かることは違う。実行に移せるかどうか。実際に七年間コツコツと続けてきて、あらためてそうじが大事だということを実感している。」「小さくても誇れる会社」を作るお手伝いこそ、私の使命です。(小早)「そうじの力」コラム『先約優先』 『先約優先』という言葉があります。 私が誰からこの言葉を教えてもらったのか、そして、オリジナルは誰なのか、今となってはよく分かりません。でも、とても好きな言葉で、独立以来、座右の銘の一つとして大切にしています。 先約優先とは、「先に交わした約束を優先すること」です。言葉の意味は、ごく簡単なことです。そして、当たり前のことではあります。 ところが、世の中一般を見ていると、この当たり前のことがそうでない事例が多いのに驚かされます。 たとえば、○月×日に、Aさんという顧客との商談予定が入っているとします。今、Bさんという顧客と商談のアポを取ろうとしているのですが、あいにくBさんは○月×日しか空いていないというのです。Aさんとの取引額は百万円で、一方のBさんとの取引額は一億円です。この場合、あなたならどうしますか? この問いを、私はいろいろな経営者の方に投げかけてみるのですが、多くの方が、Aさんとの予定をキャンセルして、Bさんのアポを入れる、と答えます。 でも、それで本当に良いのでしょうか?キャンセルを食らったAさんはどのような気持ちになるでしょうか。Aさんのような立場に立った人が増えてくれば、世間のあなたの評判はどうなるでしょうか? それに、今のAさんの取引額は百万円かもしれませんが、将来、Aさんが一億円の取引をしてくれる可能性だってあるのです。 もう少し、現実的にありそうな例を挙げてみましょう。 大口顧客のCさんから連絡があり、□月△日に来てほしいとのこと。ところが、当日は社内会議が予定されていて、出席を予定していました。 この場合、ほとんど百パーセントの人が、社内会議をキャンセルして顧客訪問を選ぶでしょう。社内のことは内輪だと。顧客こそが大切なのだと。 でも、社内会議を仕切っていた人の気持ちはどうでしょう。その会議で、あなたと話をしたいと思っていた人の気持ちはどうでしょうか?そのようなことを続けていると、社内に「恨み」が残ります。 仕事と家庭の問題も、同様です。 週末に、家族でディズニーランドに行く約束をしていました。ところが、直前になって、顧客からゴルフに誘われてしまいます。あなたなら、どうしますか? 家族との約束を破り続けていると、そのうち家族から信頼されなくなってしまいます。この世でもっとも愛する家族から信頼されなくなるのは辛いですよね。 このように、「どちらが大事か」という判断は、目先の利益のことでしかなく、長い目で見ると、どちらが大事かなんて、誰にも分からないことなのです。 だから、無条件に、先に交わした約束を優先するのです。『先縁尊重』と言い換えてもいいでしょう。 私も、完全に実践はできていません。肝に銘じて守っていきたいです。(小早)株式会社そうじの力そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社はそうじを通じた企業の「組織変革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第162201911日発行発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町373-6 TEL:027-315-2333 FAX027-315-2334メール:info@soujinochikara.com