【第163号】「なんとなく」をやめ、すべての物ごとに意味を持たせる|(株)西鶴

そうじの力だより vol.163支援事例紹介「なんとなく」をやめ、すべての物ごとに意味を持たせる(株)西鶴 環境整備の取り組み~大阪府で三つの霊園の運営と墓石販売を行う(株)西鶴。霊園=墓地というと、一般的に「暗くて汚い」というイメージがありますが、同社は業界の常識を覆す「明るくキレイ」な霊園を展開し、各方面から注目を集めています。ヨーロッパの庭園を思わせるような花と緑あふれる霊園。休憩所は高級ホテルのロビーのような質感です。はじめてここを訪れた人は、およそ「墓地」に似つかわしくない華やかな雰囲気に、びっくりしてしまいます。私が「そうじの力」としてお手伝いを始めたのが四年前。その当時から、フロント面はキレイでした。手を入れたのは、バックヤード。事務所には書類が山積み。倉庫内の道具もあちこちに無造作に置かれていました。まずはセオリー通り、不要なものを捨てること、つまり「整理」から始めました。綴じてあるファイルも、一つひとつ中身を吟味することで、本当に必要な書類だけにし、減量化。分厚かったファイルが薄くなりました。次に「整頓」、つまり定位置化です。どこに何があるか、誰が見ても分かるように、標示と標識を施していきます。さらに、写真やイラストを加えることで、より分かりやすいように工夫しています。おかげさまで、今では事務所内も倉庫内も整然としています。しかし、環境整備に終わりはありません。常に進化のための努力を続けています。ひとつのキーワードは、「なんとなくをやめよう」です。なんとなく分かったつもりになっている、なんとなく以前からこうしている。これできっとわかるだろう。そのようなことが、そこここにあります。そうではなく、すべての物ごとに意味を持たせのです。たとえば、霊園ごとに運営ルールが異なっていることがあります。パソコン内の電子データの保存方法が、各霊園でバラバラでした。各霊園で、以前からなんとなく行っていたものです。それをやめ、全霊園で電子データの保存方法を統一化しました。これにより、人事異動で勤務先霊園が変わったとしても、どのパソコンでも同じようにデータにアクセスすることができます。また、事務用品や霊園内に手を入れるための園芸用品といった道具も、そもそも、どこに何があるのか、今日入った新人でも分かるようになっているか、というと、そうはなっていません。ならば、まったくの素人でも分かるようにしようと、標示と標識を根本からやり直すことにしました。大切なのは、こうした取り組みを通じて、リーダーシップとチームワークが育つこと。最初から答えなどありません。より良くするためにどうすればいいのか、皆でアイデアを出し合い、話し合います。同社では、昨年、新卒社員を六名採用しました。これまでのように少人数で「なんとなく」やってきたことの延長線では、もう通じません。新人に、「なぜこれはこうなのですか?」と聞かれて、「なんとなく以前からそうしているから」と答えるようでは、先輩として尊敬されません。「これはこのような理由でこうする」と明確に決めて、それを徹底的に順守することが必要です。昨年四月に、新しい霊園「千年オリーブの森」がオープンしました。外部と隔絶された広大な空間に、樹木葬専用のユニークな霊園が拡がります。オープン以来、テレビなどのメディアにも取り上げられて注目され、墓石の契約も順調に伸びているようです。この分野のトップランナーを目指す同社の山本一郎社長は、社業を支える土台は環境整備にあり、妥協を許さず、細部にこだわることが大切だと言います。「環境整備が出来ている会社は、しっかり儲けた会社が多く、常に前向きで革新的な会社や組織で、自分たちが取り入れて分かる事が多くなった」同社のようなユニークで優秀な会社が、日本の停滞した経済を活性化してくれることを期待しています。 (小早)「そうじの力」コラムトイレは『人間交差点(ヒューマンスクランブル)』 弘兼憲史氏といえば、漫画『島耕作』シリーズの作者として有名ですが、彼の書いた漫画に『人間交差点(ヒューマンスクランブル)』というのがあります。 内容は、普通の人間の普通の暮らしの中に潜む、後ろぐらい部分や影の部分、きれいごとでは済まない部分、思いもかけない偶然や奇跡など、悲喜こもごもを、オムニバスでまとめたものです。 そういった、いわば人間の赤裸々な姿を、「人間交差点」と表現したわけです。 私が若いころによく行った山小屋に、この『人間交差点』シリーズがダーッと並んでおり、そこに行くたびに熱心に読んでいました(笑)。 さて、前置きが長くなりましたが、トイレというのは、実はこの「人間交差点」なのではないかと、最近思っております。 トイレは、使う人間の本音というか、素の姿が現れる場所です。 汚すことに無頓着な人間は、汚しっぱなしにします。男性の場合、無造作に「いたす」と、必ず飛び散ります(笑)。きちんと狙いをつけていたすことが第一ですが、それでも距離が遠いと飛び散ります。 立ってするスタイルの男性小便器の場合、思い切って便器に近づくことが重要です。離れていると、飛び散るどころか、ボトボトと下に垂らしてしまうこともあります。 洋式便器の場合、男性でも丁寧な人は、座ってします。立っていると、どうしても距離が遠く、どんなに気をつけていても飛び散ってしまうのです。よく気がつく人ならば、その飛び散りをティッシュで拭いてから出るのですが、無頓着な人は、何も気にしません。 こんなふうに、その人の本性や性格が現れるのがトイレですが、それだけではない、ということに気がつきました。 下痢をしているとき、どうしても便器を汚してしまいますね。でも、下痢で疲労困憊になっているときに、その汚れを拭き取ろうなんて人はいません。緊急事態を回避するだけで精いっぱいです。 普段、丁寧にトイレを使う人であっても、体調不良や不測の事態のときには汚してしまうことはあるし、それをキレイにして出る余裕もありません。 私が公園のトイレそうじをしていると、時々、「どうして?」という光景に出くわして、憤りを覚えることがあります。 でも、それがひょっとして体調不良などの不測の事態によるものだったとしたら、その人間を責めることはできません。 先日、自分自身が下痢になってみて、はじめてそのことに気づきました(笑)。 こんなことも含めて、やっぱりトイレは「人間交差点」なのです。だからこそ、いつでもトイレはキレイにそうじしておきたいものですね。(小早)株式会社そうじの力そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ”を通じた企業の「組織変革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第1632019年2月1日発行発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町373-6 TEL:027-315-2333 FAX:027-315-2334メール:info@soujinochikara.com