【第169号】発表会があるから頑張れる|第8回そうじの力全国大会
そうじの力だより vol.169支援事例紹介「見る」「見られる」良い機会~ピアノもバレエも、発表会があるから頑張れる~六月二九日、「第八回そうじの力全国大会」を、福井県鯖江市にて開催しました。全国から、環境整備に取り組む十二社四〇名が集まって、盛況に行うことができました。今回は、(有)ファインにホスト役を担っていただき、同社の見学と参加各社の取り組み発表、そして懇親会という構成です。今回の舞台となった(有)ファイン。メガネのフレームやアイフォンカバーなどにデザインを印刷する、特殊印刷の会社です。八年前に活動をはじめた当初は、床といい、壁といい、機械といい、インクまみれでした。それを、全員でスクレーパーでこそげ落とし、床面を自分たちで塗り直し、明るく清潔な工場に変えていきました。什器や備品、道具の整理と整頓を徹底し、「誰でも分かる」職場空間をつくっていきました。毎朝始業前に、三十分間掃除を行い、加えて、週に一回金曜日に二時間、さらに、月に一回半日かけて、さまざまな改善に取り組んでいます。おかげで、今では、工場内はピカピカで、塵一つ落ちていません。さすがに、これだけ力を入れて活動を続けると、ネタがなくなってきます。社員からも、「もうこれで十分ではないか。これ以上、やることはないのではないか」という声が上がってきます。そこで、さらなる進化を目指して導入したのが、改善提案のためのポストイットです。掃除をする中で気づいたことを、どんどんポストイットに書いて貼っていきます。その中で、おもしろそうなものや、効果のありそうなものを、随時、実行していくのです。それらの提案が、同社をさらに発展させています。会議や研修を行う「研修室」。ここの壁は、もともと無地のモノトーンでした。老朽化のため、ところどころ壁紙がはがれているところもありました。そこで、彼ら自身の手で、明るいデザインの壁紙に貼り換えました。ついでに、お客様と打ち合わせなどを行う商談室も、これまでのモノトーンのものから、明るい色の壁紙に貼り換えました。工場と事務室の蛍光灯は、印刷業として大切な「色目」を正確に認識できる専用のLED照明に変えました。工場の玄関口には、社員全員の笑顔の顔写真と、ウェルカムボードが飾ってあります。玄関を入った途端に、明るく暖かい雰囲気が感じられます。同社では、今回の全国大会に限らず、毎年一回、外部の方を招いて見学会を開催しています。それは、「見られる」ことを意識することで、より良くしようという動機が働くからです。毎年見学会を開催しているので、なかには、毎回参加してくれる人もいます。そういった人たちから、「なんだ、昨年と変わらないね」と言われたら悔しいですね。だから、前回よりも、少しでも進化、深化したところを見せよう、という気になるのです。多くの会社で導入している改善提案ですが、難点は、なかなかネタが出てこないこと。「もう十分だ」と思ってしまったら、そこで進化は止まってしまいます。いかにネタを見つけ、昨日よりも今日、今日よりも明日、と、前進していけるか。それにはやはり、掃除が一番です。両膝をついて雑巾がけをしていると、床面の汚れや傷に気づきます。それをいかにキレイにするか、ということだけでなく、どうしたら、汚れないようになるのかということを考え、工夫していきます。そうした「気づき」↓「提案」↓「創意工夫」のサイクルが、同社を活気づけています。社業も好調で、これまでにない大手メーカーとの取引も決まったとか。ピアノでもバレエでも、発表会があるからこそ、頑張って練習するのです。「見られる」機会が、「そうじの力」をさらに力強くします。(小早)飛鳥の視点「キレイ」の先に見えてくるもの~第八回そうじの力全国大会から~ 「環境整備」「掃除」という言葉から、皆さんが想像するのは、どんな状態でしょうか?おそらく「キレイ」とか、「整然としている」という漠然としたものだと思います。 六月二九日、第八回目となる全国大会が開催されました。今回のホストは、(有)ファイン。五年ぶり二度目の開催で、参加者の皆さんの「環境整備」のイメージを覆す変化を見せてくださいました。 一言で表すならば、五年前は「シンプル」、そして今回は「カラフル」です。 玄関を入ると、明るいクリーム調の壁紙と植物、社員さんの笑顔のウェルカムボードが出迎えてくれました。事務所に入るのにワンクッションあった引き戸は取り払われ、お客さんが入るとすぐに「いらっしゃいませ」という声が聞こえます。 グレーだった印刷機械は、スマートに赤と黒に塗り揃えられました。研修室や応接室も、気分が一新するような爽やかな色合いに変わっています。 同社では、これらすべてが、社員全員で行うDIYです。藤井社長自身が壁付の棚や、作業台を手作りすることから始まったDIY文化。今では「協力して会社を変えていくプロセスを大切にする」ことを体現している、ファインの組織風土と言えるでしょう。 ファインが今掲げているヴィジョンは、「ダントツに突き抜けるファイン」。「また会いたい」と思ってもらえる人・企業になる、です。そのために、環境整備も「キレイにする」から飛び出した発想にチェンジしています。 「キレイな状態」だけを目指していると、ある時ふと疲れてしまうものです。常に汚さないように、清潔を維持できるように・・・終わりのないトンネルにいるような気分になります。長年環境整備を続けているファインでも、このマンネリ感を打破するのに苦労していました。そこで、「何のための環境整備の取り組みなのか」を徹底して話し合い、常識を打破する取り組みを模索しつづけています。 第二部では参加企業の実践発表が行われました。今回は発表内容にも変化が。「画像で見る社内ビフォーアフター」から、「環境整備に取り組んだことで出てきた我が社の課題・解決できたこと」に、テーマが大きくシフトしたのです。「キレイにする」、その先に辿り着いたから、出てきたものです。 「環境整備、マンネリに陥ってしまった」「モチベーションが続かない」…お悩みの方は多いと思います。立ち止まってしまったら、ぜひ来年、全国大会にお越しくださいね。答えが、きっとあります。(大槻)株式会社そうじの力そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ”を通じた企業の「組織変革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第169号2019年8月1日発行発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町373-6TEL:027-315-2333 FAX:027-315-2334メール:info@soujinochikara.com