【第170号】黒字決算は環境整備のおかげ|西島木材(株)
そうじの力だより vol.170支援事例紹介黒字決算は環境整備のおかげ~コミュニケーションが取りやすくなり、協力し合える社風に~福井県あわら市の西島木材(株)。創業八〇年、現在の社長は三代目、スタッフ九人の会社です。私がお手伝いをして環境整備に取り組んで、約八年になります。環境整備に取り組もうと思ったきっかけを、社長夫人である西島由紀恵さんは次のように振り返ります。事業継承したときに、売上の半分ほども借入金があり、いつ倒産してもおかしくない状況でした。そのころ、尊敬する経営者である鍵山秀三郎さんのCDをよく聴いており、その中で、鍵山さんが、社風をよくするために、たった一人で掃除を続けていた、という話を聞き、「掃除ならば誰でもできる!ウチもやってみよう」と思ったそうです。ところが、問題は山積み。まず、そうじをする習慣がなく、そうじを仕事だと思っていない。それに、材木屋は汚くて当たり前という意識。忙しいのに、そうじする暇なんてない。第一、掃除道具がどこにあるかすら、わからない状態。一番の問題は、社長がそんなに本気で環境整備に取り組もうと思っていない、ということでした。そんな中で、私とのご縁があり、いよいよ本腰を入れて環境整備に取り組むことになりました。スタート当初は、とにかく、長年眠っていたものを捨てることに注力しました。たとえば、作業場の天井の梁の上に、たくさんの木材が載っていました。これはいったい、どうやってこの場所に載せたんだろう?という場所です(笑)。社長に、「ここの木材は使っているのですか?」と聞くと、少なくとも、自分が経営を引き継いでから、つまり、十年以上、一度も触ったことはない、とのことでした。ということで、これらの木材を全部降ろして、ほぼすべてを処分しました。建屋の奥にも、木材の在庫が山積みになっていたのですが、これらもいったん全部出して、吟味し、これならば必ず売れる、というものだけ残して、処分しました。おかげで、モノが大幅に減り、スペースが拡がりました。小さな会社であるにも関わらず、当初は、五か所に倉庫があったのですが、こうして整理を進めていけば、木材の在庫の量が減り、そのぶん、倉庫は不要になります。そこで、ある倉庫については、解体して更地にしました。こうして整理を進めた結果、現在では、倉庫は三か所に集約されています。事務所も、当初はモノトーンの無機質な雰囲気のものでしたが、本業を生かして、木材をふんだんに使ってリフォームし、明るい雰囲気の事務所に生まれ変わりました。現在、日々の掃除に加えて、毎週木曜日の午後に、全員で集合して、整理、整頓、清掃に取り組んでいます。ここ二年ほどで進化したのが、ヘルメット着用です。会社の構内で、事務所以外では必ずヘルメットを着用することをルール化したのですが、当初はなかなか守れなかったこのルールも、今では全員がきちんと守れている、とのことです。環境整備について、社員さんたちにアンケートを取ったところ、次のような回答が返ってきたということです。「環境整備をすることで、気づきが得られるようになった。」「家でも掃除、片付けをするようになった。」「工具が探しやすい。」「環境整備をするようになって、何事においても協力しあえるようになった。」「コミュニケーションがとりやすくなった。」「ふだんから整理整頓をする意識が高くなった。」「廃材等の処理を早くするように心がけるようになった。」「自分なりに工夫するようになった。」この八年間を振り返って、西島由紀恵さんは、「毎朝、犬の散歩のときゴミ拾いを始めた。」「社長も気がつくと、すぐほうきを持つようになった。」「事故やケガが減った。」「風邪で休むことが減った。(健康になった)」「不良在庫が減った。」と言います。そして極めつきが、「不安定だった決算書が黒字が当たり前になった」ということ。今後も環境整備を続けて、黒字を続けていってほしいです。(小早)今月の読書から『1984年』ジョージ・オーウェル著~こうして歴史は書き換えられる~ 「読んだつもりの本」で必ず上位にランクインするのが、この『1984年』だそうです。さまざまな評論で、よく引用されるので、なんだか読んだつもりになってしまうということのようですが、私もこの本ははじめて読みました。 全体主義社会の恐ろしさを、実にうまく表現した作品です。迫力のあるストーリー展開で、読み進めていくと、背筋がゾっと恐ろしくなります。 1949年に刊行された作品ということなので、当時のソ連をモデルにして書かれたものなのでしょうが、これを読むと、現在の中国が、きっとこうなのだろう、と思えます。 私が特に印象に残ったのは、「言葉」を変えることで、事実を変えてしまう、という点です。『1984年』の世界では、ニュースピーク(New Speak)という言葉が標準語になっており、既存の英語が次々にニュースピークに書き換えられていきます。当然その過程で、指導部に都合の悪い事実はすべて抹消され、都合の良い内容に改竄されます。 このような作業を、新聞、雑誌、広告宣伝、公文書など、人々が目にする文書すべてで行っていくので、過去に起こったはずの「事実」は、その証拠がまったく残らなくなってしまいます。 また、ニュースピークで育った世代が社会の主流になってくると、万が一、過去の英語で書かれた文献が見つかっても、それを解読することは不可能になります。 なるほど、こうして歴史は書き換えられるのだな、と恐ろしくなります。 ここで思い浮かべるのは、現代中国の「簡体字」です。たとえば「業務」は簡体字だと「业务」となり、「貨幣」は「货币」となります。我われ日本人にとっては、ほとんど読めません。 この簡体字。いったいなんのために導入されたのか。表向きは、誰でも読み書きできるように、ということですが、その裏には、簡体字を普及させることで繁体字(従来の漢字)を読めなくさせ、過去の、共産党指導部にとって都合の悪い事実を隠そう、という意図があるようです。 その意図が本当かどうかは確かめようがありませんが、簡体字で育った世代が、過去の文献を読めないことは確かでしょう。そうなれば、過去の事実はもはや「事実」ではなくなってしまいます。 もっとも、簡体字のことはさておき、現代の日本においても、情報操作による事実の書き換えは日常的に行われていると見てよいでしょう。 テレビや新聞で伝えられる報道の多くは、誇張や矮小化されています。都合の悪い事実は、報道されません。嘘ではないにしても、物事の一面だけをとらえて報道されることもあります。 生の情報、多面的な情報を得ることの大切さをあらためて痛感します。(小早)株式会社そうじの力そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ”を通じた企業の「組織変革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第170号2019年9月1日発行発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町373-6 TEL:027-315-2333 FAX:027-315-2334メール:info@soujinochikara.com