【第172号】目標に向けて体を動かすことで、ベクトルが合う!|実践企業見学会レポート
そうじの力だより vol.172支援事例紹介目標に向けて体を動かすことで、ベクトルが合う!~苦手なそうじも、仕事と割り切ってやる~十月十一日、香川県高松市の生駒学税理士事務所にて、『“そうじ”をすると、なぜ会社がよくなるのか 現場見学会&セミナー』が行われました。参加者は、印刷会社、電気工事会社、商社、介護施設など様々な業種の十二名。毎年一回、この季節に行っているこの見学会&セミナーですが、目的は、他人に見られることで、良い刺激を得て、取り組みを促進させようということです。私が同社の生駒学所長を好きなのは、とても正直なところ。冒頭の挨拶の中で生駒所長は、「私はそうじが嫌いです。でも、高名な経営者や経営コンサルタントは皆、『そうじが大切』と言っています。だから、会社を良くするために、仕事と割り切ってそうじをしています」と明かしています。きれいごとじゃありません。本音です。同社のそうじの取り組みのスタートは、約十一年前。その当時は、「そうじなんて、誰にでもできる」という軽い気持ちだったそうですが、取り組んでみると、社員の反発があったりして、予想以上に重いテーマであることを実感し、一度は挫折。その後、やはり本腰を入れて取り組むには、自分たちだけでは難しい、ということで弊社にオファーがあり、七年間から私がお手伝いをしています。生駒所長は、「組織を変えるのは、若者、馬鹿者、よそ者」であり、黒船のペリーしかり、日産のゴーン氏しかり、良い意味での外圧が必要だ、と言います。その「外圧」が、私だったわけです(笑)。実際、私が関わった当初は、私もずいぶんと「圧」をかけました。それは特に、整理、つまりモノを捨てる、という面においてです。「要らない物は捨てましょう」と言いますが、「要る、要らない」の判断基準は、実は人によってバラバラです。ですから、本人任せにしておくと、整理は進まないのです。そこで、「過去十二か月以内に使わなかったものは捨てる」という判断基準を明確にし、それを徹底するように促しました。本人には、もったいないという気持ちや、思い入れがあるので、なかなかモノを捨てられないのです。そこを、「外圧」を使って、執着を断ち切ってもらうのです。特に、最高経営責任者である所長が、執着を断ち切ってモノを捨てることは、社員にとっては大きなインパクトを与えることになります。実際、初期の段階で、思い切って捨てたことにより、同社の“そうじ”の活動は、その後、飛躍的に進むようになります。このように、強制力も、ときには有効です。環境整備委員会の委員長である奥田法樹さんも、活動内容のプレゼンの中で、「半強制の活動になることもあるが、それも必要」「定期的なチェックがなければ、レベルは下がる」と言っています。でも、もちろん、「日々の活動は楽しく」を心がけている、とのこと。プレゼンの中で印象的だったのは、「見学会があると、それに向けて覚悟を決めて取り組むことができる」というくだりです。実際、今回の見学会に向けて、社員さんたちもかなり頑張ってくれたようです。フロアの床面を磨いてワックスがけしたり、駐車場の床面を、高圧洗浄機を使って汚れを落としたり。見学会というひとつの目標に向けて、一人ひとりが「こうしたらもっと良くなるのではないか」という課題意識を持って、できることに取り組んでくれたようです。現場を案内してくれる社員さんたちの顔も、自信に満ちています。それは単に、「どうだ、キレイだろ」というよりは、今日に向けて、一生懸命に取り組んだ、充実感なのでしょう。ある社員さんが、トイレそうじのデモンストレーションを行ってくれたのですが、彼が当たり前のように素手で便器を触るのを見た参加者の方が、「素手でやるのは、なかなか・・・」と驚いていました。一般的に抵抗のあるようなことでも、覚悟を決めて取り組んでいるうちに、それが当たり前になり、自信につながっていくのだと思います。本心はどうあれ、目標に向けて体を動かすことで、マインド面でのベクトルも合ってくるものです。(小早)今月の読書から『罪の轍』奥田英朗 著~世の中には、理解のできない人間がいる~ 身代金目的の誘拐事件をテーマにしたミステリー小説です。ネタバレになるので、ストーリーには言及しません。 私がこの小説を読んで感じたのは、「やっぱり、世の中には、どうにも理解しがたい人間がいるものなのだ」ということです。 不気味なのは、この誘拐事件の犯人像です。 猟奇的な事件や残虐な事件が起こると、我われは、いったい犯人はどんな人物だったのか、に興味が湧きます。 犯行の手口が残虐であればあるほど、奇異であればあるほど、よほど犯人は残虐で血も涙もない人間だと思うでしょう。 普段から、粗暴なふるまいや奇行を繰り返し、危険な思想を吹聴し、周囲から危険人物と見なされているはずだ、というふうに、我われは思ってしまいます。 ところが、普段はごく普通の人間に見えて、周囲には特段に害悪もまき散らしているようには見えない人間が、実は残虐な犯人だった、ということがあるようです。 そして、犯行の動機を解明しようとしても、動機らしい動機も見当たらない。周囲の人間には、なぜ彼がそのような行為にいたったのか、まったく理解ができない。 そもそも、本人が、悪いことをしたと思っていないので、動機と言われても、吐露のしようがない。 こういうことが、あるようです。 でも、私たちの日常生活の中でも、理解に苦しむ人というのは、周りに結構いるものです。 私などは、どちらかというと、「人間は誰でも理解しあえるものだ」という根本思想の持ち主なのですが、現実社会を見ていると、それがいかに甘いか、思い知らされることもあります。 もちろん、何が常識で何が非常識かは、時代や社会環境によって変わるので、絶対的な「常識」というものは存在しない、ということも言えると思います。 でもやっぱり、「人の道に外れる行為」というものはあるはずですし、そうした行為を、罪悪感もなしに働く人がいることも、事実です。 「理解できない人間がいる」と言うと、身もふたもないかもしれませんが、こういう現実があるということを、私たちは知っておく必要がありますね。 ところで、この本は、あくまでもフィクションではありますが、昭和38年に起きた実際の誘拐事件をモデルにして書かれています。 それだけに、難しいこと抜きに、ミステリー小説としてのスリル感や迫力は、満点です。 硬派の小説がお好きな方には、ぜひともお勧めの一冊です。(小早)株式会社そうじの力そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ”を通じた企業の「組織変革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第172号2019年11月1日発行発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町373-6 TEL:027-315-2333 FAX:027-315-2334メール:info@soujinochikara.com