【第173号】日々の活動の積み重ねが、会社に「良い空気」を作る|(株)マツバラ

そうじの力だより vol.173支援事例紹介”そうじ”は職場に良い「空気」をつくる~日々の活動の積み重ねが、自信を生み、「空気」を作る~先日、岐阜県の鋳造業、(株)マツバラの「おそうじパワーアップ活動」の、半期に一度の発表会が行われました。全社員が集合する一大イベントです。各部署が、この半年間に、どのようなそうじの活動を行ったのか、五分間の持ち時間でプレゼンを行います。このプレゼンをもとに、社長や副社長、「おそうじパワーアップ活動」委員長、そして私が点数をつけ、表彰をするのです。でも、別に表彰をするためだけにこのプレゼンをしてもらうわけではありません。各部署には、これを機に、これまでの活動の振り返りをしてもらいたいのです。良くできた点については胸を張り、課題点については、それを下半期にどのように改めていくのかを、じっくりと考えてほしいのです。おもしろいことに、というか、当然のごとく、活動が充実している部署の発表は堂々として自信に満ち、活動がうまくいっていない部署の発表は、元気がありません。彼ら自身も、自分たちの取り組みレベルが分かっているのです。先に、プレゼンの内容を点数づけすると書きましたが、このプレゼンだけで順位をつけるわけではありません。実際の現場を回り、現場の整理、整頓、清掃状況も、当然審査の対象になります。また、活動を進めるリーダーシップやコミュニケーション、創意工夫・新規性といったものも加味して審査をします。そして全グループの発表が終われば、審査用紙を集計して、いよいよ結果の発表です。表彰は、銅賞、銀賞、金賞の順で行います。表彰された部署には、表彰状と盾、そして金一封が送られます。銅賞、銀賞と進むたびに、会場から小さなどよめきが漏れます。こちらが、今回の金賞、品質保証係です。実はこの品質保証係、ここのところ連続で金賞を受賞している、優秀な部署です。ひそかに逆転の金賞を狙っていたと思われる銀賞の部署は、「銀賞!」のアナウンスがあったときに、悔しそうな表情をしていました。やっぱり、一生懸命に活動していれば、より高い位置での表彰を狙うでしょう。望んだ表彰を得られれば、やっぱり嬉しいし、惜しくも逃せば、やっぱり悔しいのです。これって、とても健全なことだと思います。松原史尚社長も、講評の中で「そうじの力」を通じて、社内に「空気」を作っていきたい、と話しています。「空気」というのは、物事をなしとげていくための「熱意・情熱」です。企業として受注を増やし、利益を増やしていくためには、技術や戦略だけでは足りない。「どうしても勝ちたい」「どうしてもやりとげたい」という、「空気」が必要だ。その空気を醸成するためには、この「そうじ」が一番だ、というのが、松原社長の持論なのです。 さて、この日はラインを止めての調整日であり、午前中に発表会&表彰式を行った後、各人が職場に戻り、そうじの活動を行いました。鋳造工場というのは、火花と粉塵が舞い散る、とても過酷な職場です。その降り積もった粉塵を、一生懸命に掃いたり拭いたりして掃除をします。彼らのご苦労には、ほんとうに頭が下がります。でも、この過酷な状況の中で、「どのようにすれば、もっとキレイになるだろうか?」「そもそも汚れないようにするには、どうすればいいだろうか?」「なかなか時間的、人員的余裕がない中で、どうすれば活動がもっと進むだろうか?」と考え、皆で知恵を出し合っていくことで、解決策が生み出されていきます。そして、そうした日々の取り組みこそが自信を生み、それが「空気」を作っていくのでしょう。ところで、この活動を支える原動力は、松原社長の「覚悟」に他なりません。既に活動は一〇年目に入っています。これだけ続けていくには、生半可な覚悟ではできません。また、こうして一日ラインを止めることも、経営者としては大きな勇気がいることです。二宮尊徳翁の「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」の名言どおり、松原社長の目線は、常に将来を見据えています。(小早)飛鳥の視点「目に見えにくかったもの」が評価される時代へ~見えるようになるから、動き出せる~ ここ数年の間に生まれた、「名もなき家事」という言葉をご存知でしょうか? 「名もなき家事」というのは、料理・洗濯・掃除といった「イメージしやすい家事」の前後に付帯する、「ちょっとした、傍目には見えにくい作業」のこと。 例えば、料理に関わる「名もなき家事」には、毎日の献立を考える、食材の在庫管理・補充、使い切った調味料の瓶の洗浄・乾燥、排水溝の掃除、使った鍋を水に浸すなど…。他にも挙げればキリがありません。その数、1日120以上に及ぶそうです。 この言葉が生まれた背景のひとつに、「社会で働き、経済的に自立する女性が増えた」ということがあります。 女性が自立した結果、家庭における仕事(家事・育児)を両立することが大変になったため、「家庭の仕事を分担して受け持つ男性」が増えました。 閉鎖されていた世界に、立場が違う人の目が入り、その仕事を共有できた結果、今まで「目に見えにくかったこと」を、「見えること」にできるようになったのです。 近年、このように今まで「見えにくかったこと」がどんどん「見える」ようになってきているように感じます。 ハラスメント、毒親、発達障害、LGBT…。科学の発達に加え、女性の社会進出とインターネットの普及により、従来の世界に様々な人の目が入るようになりました。その結果、「今までじっと耐えていた人」が声を上げることができるようになった。これは世の中が変わっていく、とても良い流れだと思うのです。 社内の「整理」も、同じ役目を果たすものであると、私は考えています。 会社というものは閉鎖空間、いわゆる一つの「村(ムラ)」です。社員は「ムラの掟」に則って仕事をしています。 「ムラの掟」はなかなか強固で、簡単に変わることはありません。なぜなら掟は、その「ムラ」の秩序を守り、人々が「ムラ」の中で安心して生きていくための拠り所であるからです。 ですが、「ムラ」が発展していけばいくほど、掟に無理が生じてきます。発展の都度、その帳尻を合わせようと、掟を少しずつ変えていくと、どうしても無理を押し付ける場所が出てきてしまいます。そのうちのひとつが、「捨てられずに放置されているモノ」「見て見ぬふりをしているモノ」だったりするわけです。 会社の整理をみんなでする。これはモノをきっかけにして、「ムラ」という閉鎖空間に新たな目を入れ、問題を「見える」状態にする、ということ。そこから、現状に向き合い、掟を根本から作り直していこう、という大プロジェクトが始まります。 問題が「見える」ようになって初めて、課題が生まれ、解決に向けて動き出せます。まずは社長の机の整理から、「みんな」で始めてみませんか?(大槻)株式会社そうじの力そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ”を通じた企業の「組織変革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第1732019年12月1日発行発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL: 050-3709-2333 FAX:050-6868-2721メール:(事務所移転につき、住所・TEL・FAXが変更になりました。)