【第174号】常に見直し修正するから、良い状態が維持できる|西村ジョイ(株)

そうじの力だより第174号支援事例紹介常に見直し修正するから、良い状態が維持できる ~たゆまぬ努力が、進化発展の源~香川県を本拠とし、県の内外に十一店舗を展開するホームセンター、西村ジョイ。地元では知らぬ人はいない、人気のホームセンターです。私が同社のお手伝いを始めてから、ちょうど六年になります。現在、二~三か月に一回、同社を訪問し、各店の店長あるいはリーダー社員を集めて、環境整備についての研修会を行っています。研修は毎回、店舗を持ち回りで行います。今回の担当店舗は、久しぶりに高松市の成合店。同社屈指の規模を誇る、旗艦店です。成合店の特徴はなんといっても、「倉庫在庫ゼロ化」。一般的に小売店では、バックヤードの倉庫に在庫を積んでいます。それをやめて、すべての在庫を店頭に出してしまおう、というのが、「倉庫在庫ゼロ化」です。というのも、バックヤードの倉庫に在庫を積んでおくと、往々にして長期在庫や不良在庫になってしまうこと。そして、商品確認のために、いちいち倉庫に移動していては、ロスが生じる、ということから、このような施策を取ることになったものです。ところがこの「倉庫在庫ゼロ化」、言うは易く行うは難き、とんでもないチャレンジなのです。今日、ホームセンターは、およそ生鮮食料品以外、何でも売っているというくらい、取り扱いの商品が多く、日々、膨大な物量のモノが出入りしています。その中で、倉庫を空っぽにし、かつ、欠品がないように売場を充実させることは、とてつもなく難しいこと。この難事業を、早い段階でクリアしたのが、この成合店なのです。ですから今回の研修会でも、私も含めて参加者の大きな関心は、成合店の倉庫がどのようになっているか、ということでした。結論から言うと、倉庫在庫ゼロ化は、みごとに維持されていました。だだっ広い倉庫に、何にもないのです!実に壮観です。しかし、店長さんが正直にコメントしてくれたところでは、実は、少し前までは、必ずしも「ゼロ」ではなかったそうです。イベントのために大量搬入された商品や、季節ものの売れ残った商品などが、それなりに積まれていた、とのこと。でもそれを、店長が各マネージャーや担当者に声かけをして、ゼロに持っていくようにした、ということです。一度ある基準に達したら、その後は放っておいてもそれが維持される、なんてことはありません。常に見直し、手を入れることで、はじめてそれが可能になるのです。同じことが、工作室にも言えます。お客様が購入した木材などを、好みの長さにカットする工作室。活動を開始した当初は、工具や木片、オガクズなどが室内に散乱し、ひどい状態でした。その後、取り組みを進める中で、工具は整理整頓され、日々発生するオガクズも、キレイに清掃されるようになりました。今回の研修でも、この工作室を視察しましたが、やはり、キレイで整った状態が保たれています。しかし、担当者に聞いたところ、これを維持するために、相当の努力をしているようです。チェックリストに従ってチェックすることはもちろんのこと、工作室で実際に作業をするパート・アルバイト社員ともこまめにコミュニケーションを取りながら、彼らが整理、整頓、清掃に取り組むよう、後押ししていったそうです。一方で、これまでにない工夫改善も見られました。たとえば、フォークリフトの定位置化。これまでフォークリフトには決まった駐車位置がなく、使ったらそのへんに適当に停めていたのですが、それを、きちんと定位置化しました。これによって、迷うことなくフォークリフトにアクセスできるようになったと同時に、売り場が常に整った状態になった、と言います。同社のように、ある程度のレベルになったとしても、そこで安心して活動がゆるむのではなく、常に見直して、手を入れていく。そうした気風が、おそらく業務そのものにも生きて、常に新しく刺激的な「西村ジョイ」が維持されているのでしょう。 (小早)そうじの力コラム「整理」の本当の意味~不要なモノを捨てるとは、本当に必要なものを見極めること~ そうじのイロハのイは「整理」、つまり、不要なモノを捨てることです。 私は支援先の現場で、整理のシーンに立ち会い、アドバイスすることがしょっちゅうあります。 でも多くの場合、みなさん、なかなかモノが捨てられません。私の目から見て、これは明らかに要らないだろうと思えるモノでも、「これは要る」と取っておく人が多いのです。 ひとつの原因は、「もったいない」という気持ち。我われ日本人は、古来からモノを大切にして暮らしてきました。そのDNAが、今も残っているようです。 ただ、それだけではない、ということが分かってきました。 整理の現場で、「要らないモノを捨てて、要るモノだけにしましょう」と言うと、何でもかんでも取っておく人がいます。「要る」「要らない」は主観なので、本人が「要る」と思えば、それは要るモノになってしまうのです。 なので、そんなとき私は、「ここ一年間に使ったものだけにしましょう」と、問いかけを変えることにしています。 すると、使ったかどうかは客観的に判断できますので、主観を排して、使っていないものを捨てることができるのです。 ところが、人によっては、「これも使った」「あれも使った」といって、いっこうにモノが減りません。たとえば、同じ黒のボールペンが五本あるのですが、その五本とも使った、というのです。三本あるハサミも、全部使った、といいます。かといって、用途によって使い分けているということでもなく、何となく、あるものを適当に使っている、ということのようです。 そこで私は、奥の手として、「これがなければ仕事ができない、というものだけにしましょう」と言い換えます。そうすると、ようやく、黒のボールペンは一本、ハサミも一つに減らすことができるのです。 こんなプロセスを経ながら、私が感じたのは、「自分にとって、本当に大切なものは何なのか」が分からない人が多いのではないか、ということです。 だから、あふれるばかりのモノに囲まれていても、「これも要る」「あれも要る」となってしまう。どれか一つに絞れ、と言っても、絞れない。 これは、モノに限らず、コトについても共通することです。 私たちは、日々、多くの雑事に忙殺されています。「あれもやらねば」「これもやらねば」と、息つく暇もありません。 でも、ふと冷静になって、「自分にとって、これをしなければ人生が成り立たない」というものって何だっけ?と振り返ってみると、そう多くない、ということに気づくかもしれません。 本当に大切なものを見極めて、それに自分の持てる資源を集中投入することで、これまでよりも楽に、高いパフォーマンスを発揮できることでしょう。 だから、モノの整理をすることで、心が研ぎ澄まされていくのです。(小早) 株式会社そうじの力そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第174号 2020年1月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333 FAX:050-6868-2721 メール:info@soujinochikara.com