【第178号】従来が本来ではなく、「あるべき姿」を追い求めて|(株)森田石材店
そうじの力だより第178号支援事例紹介従来が本来ではなく、「あるべき姿」を追い求めて~こだわりを捨てて変えていくことで、ステージが上がる~兵庫県丹波市の(株)森田石材店。創業100年、現社長が三代目という、老舗の石材店です。ここで、3年弱前から「そうじの力」の取り組みがスタートしました。森田茂樹社長は、当時を振り返って、「以前から机上ゼロのキレイな会社にあこがれていましたが、ウチは整理整頓が苦手なので、難しいと思っていました」と言います。しかしある日お客様から、「葬儀もお墓もやってもらったのに、亡くなった親父の名前で情報誌が来るんやけど、どうなってるんやお前とこの会社!」とお叱りを受けたことで、本気で取り組まねばならない、と思ったそうです。同社の大きな関門は、石材の在庫でした。本社の敷地内と、少し離れた山奥にある資材置き場には、大量の石材が積まれていました。石材は腐りません。加工すれば、いかようにも使うことができます。それゆえ、当初、社長たちの意識は「在庫=宝」だったようです。しかし、私の目には、長期間使わずに積まれている石材は、何の役にも立っておらず、無駄にスペースを食う、「お荷物」に見えました。さあそこで、不要な石材在庫を捨てていくバトルが始まります。いつものごとく、私は質問攻めにします。「この石材はいつからここに置いてあるのですか?」「この石材を使う予定はありますか?」「こんなにたくさん要りますか?」と。社長をはじめ、社員のみなさんも、最初は戸惑っていたことと思います。これまで宝だと思っていたものを、捨てなさい、というのですから。社員の中には抵抗する勢力もあり、「時間の無駄や」「この活動辞めてくれ」 という声も上がったとか。当時まだご健在だった会長に、「大切な石材を捨てるとは何事か!」とお叱りを受けたこともありました。それでも、みなさん徐々に、その意図するところが分かってきたようで、「使う石材=宝、使わない石材=ゴミ」という意識になり、使わない石材をどんどん捨てていきました。2年目の終盤に、資材置き場に積んであった大量の石材を、破砕機を用いてすべて砕き、処分をしました。社長としては一大決心だったと思いますが、これで「めっちゃスッキリして、活動が楽しくなってきました」と語っています。3年目の現在は、整頓、つまり、「置場を決めて明記して使いやすくする」段階に入っています。加工場は、ずいぶんと進みました。以前は石材や工具がその辺に無造作に散らばっていたのですが、無駄な石材はなくなり、工具はきちんと定位置化されました。以前に比べて、かなり作業がしやすくなったようです。営業店舗においては、書類の整理と、車両の整備を中心に活動を行っています。同社の良いところでもあり悪いところでもあるのですが、いろいろなやり方が各営業マンの自由裁量になってバラバラになっています。ある営業マンは、大量の書類をカバンに詰め込み、車にも、いろいろな道具を載せて営業に回っていました。一方で、書類は必要最低限のものしか持たず、車にも、その日に必要な道具しか載せない営業マンもいました。皆で、「あるべき姿とは、どういうものだろうか?」と議論しながら進めていきました。時には、それぞれの意見がぶつかりあい、険悪な雰囲気になることも・・・(笑)。でも、そうしたことを繰り返していくうちに、皆さんが、より使いやすく、分かりやすい形に落ち着いてきました。車両については、以前は営業マン本人しか乗れないような状態だったのが、今はいつでもお客様3人を乗せられる状態になっています。お乗せしたお客様から、「キレイにされてますね」とお褒めの言葉もいただくそうです。事務所内も、セロテープやハサミ、ホチキス、ゴム印などが定位置化され、分かりやすくなりました。新入社員が入ってきても、コミュニケーションを取りやすくなった、と言います。森田社長は、「お客様に工場や現場を見学をしてもらって、『この石材店なら安心して任せられる』と言ってもらえるような会社を目指していきます。」と抱負を語っています。(小早)そうじの力コラムコロナ禍の今こそ、そうじに取り組むチャンス~今しかできないことがある~ 武漢コロナウィルス感染症の猛威によって、私たちは、未曽有の社会的経済的危機のただ中にあります。 影響を受け、大幅な売上減少などに見舞われている方々には、心よりお見舞い申し上げます。 まずは皆様の健康が第一。睡眠と栄養をしっかりと取り、人込みを避け、手洗いを励行し、お元気にお過ごしください。 さて、私は、こんなときだからこそ、企業はそうじに取り組み、会社を活性化させるチャンスだと考えます。 まず、ウィルスはホコリに付着するといいます。しっかりとした清掃が、ウィルスから我々を守ってくれます。ホコリを除去するには、掃除機だけでは不十分なので、固く絞った雑巾で、床や壁、デスクや什器、機械や設備などを拭き上げることをお勧めします。 そして、残念ながら業務量が減ってしまった場合。余った人手や時間を遊ばせておくのはもったいないので、それをそうじに振り向けましょう。 普段は忙しくて取り組むことができない大掛かりな整理や、裏側も含めた徹底的な清掃に取り組みましょう。「いつか時間が取れたらやろう」と、先送りしていた課題に、今こそ取り組むべきです。 整理を徹底し、無駄なモノがなくなれば、ウィルスに感染するリスクも減ります。モノが多ければ多いほど、そのモノを媒介にした感染のリスクも高まります。 同じ理屈ですが、紙の書類を減らして電子化することでも、感染リスクを低減することができます。電子化できれば、テレワークも可能になります。 さらに、すべての業務プロセスについて、「誰かが分かる」という状態ではなく、「誰でも分かる」状態にしておくことも重要です。これは万が一、社員から感染者が出た場合にも、業務を止めずに、他の社員が業務をカバーすることができる状態にしておく、ということでもあります。 そのためには、書類や資料、道具、部品などの整理整頓を進め、「どこに何があるか」が明確な状態を作ると同時に、業務の流れを明確にして文書化したり、フォーマットやテンプレートを作成したり、自動化したりすることが有用です。 加えて、そうじを徹底すると、さまざまな「気づき」があります。壁を拭いていると、穴が開いていることに気づくかもしれません。何かがぶつかりやすい状況があるのならば、ぶつかりにくいように、構造や角度に工夫を加えることでしょう。 そうじを徹底する中で生まれる「気づき」を改善につなげましょう。自由な発想で創意工夫し、より快適でより仕事がしやすい環境に変えていきましょう。 また、時間があるならば、周辺地域のゴミ拾いをするのも有意義です。地域をキレイにすることで、我われの中に、地域に対する愛着が生まれ、地域の住民からは感謝されることでしょう。 いずれにしても、「そうじの力」で組織の体力を蓄え、今回のピンチをチャンスに変えていこうではありませんか。 (小早)株式会社そうじの力 そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第178号 2020年5月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333 FAX:050-6868-2721 メール:info@soujinochikara.com