【第179号】「3K職場」から「非常識なクリーンファンドリー」へ|(株)マツバラ
そうじの力だより第179号支援事例紹介最善を尽くして働きやすい職場を作る!~「3K職場」から「非常識なクリーンファンドリー」へ~岐阜県関市の鉄製品の鋳造メーカー、(株)マツバラ。ここで私がお手伝いして「そうじ」の活動をはじめてから、ちょうど10年が経ちます。鋳造というのは、鉄をキュポラと呼ばれる炉で溶かして、砂で出来た鋳型に流し込んで製品を作るプロセスのこと。だから工場内は火花と粉塵が舞い散る、過酷な環境です。日々のそうじに加え、毎月一回、調整日に集中的なそうじを行っています。推進事務局と私が毎月、工場内を巡回し、取り組み状況をチェックし、アドバイスをしています。また、年に二回、「そうじ」の発表会と表彰式が行われます。各部署が、この半年間の活動を発表し、実際の現場の状況と合わせて社長たちが審査し、上位グループを表彰するのです。今回はコロナの影響で、社員全員を一堂に集めての発表会はやめ、一人ずつ個別に呼んでの発表となりました。私もオンラインで参加しました。火花と粉塵が舞う工場ですから、どんなに頑張っても、粉塵をゼロにすることは不可能です。つまり、すべてを完璧にキレイにすることは、現実的にできないのです。そこで、各部署ごとに重点項目を決めてもらい、それを徹底的に実行するよう促しました。たとえば、キュポラ係。鉄を溶かす炉で作業する人たちです。ここは工場内でも、もっとも粉塵が溜まる場所。このキュポラの中段フロアを「ビュースポット」にする、という方針を立てました。以前は5~10センチほども粉塵が積もっていましたが、今は床面が蛍光灯を反射して光っています。それも、一時的なものではありません。いつ見てもこうなっているのですから、彼らの努力には頭が下がります。そして最近は、あらためて、使っていないものを捨てることに力を入れています。同社の鋳造の機械は、古いものが多く、中には30年選手のものもあります。それだけ、長持ちさせている、ということです。ただそれだけに、不具合が起きたときに交換する部品が、市中にない場合があります。そのため、予備部品を大量にストックしていました。万が一壊れたときに、それがないと交換ができないからです。しかしそのために、予備部品を置いておく広大なスペースが必要で、それが敷地を圧迫し、管理も行き届いていませんでした。社長の強い指示により、ある程度のリスクを覚悟で、かなりの予備部品を捨てることができました。また、使用していない集塵機やフライス(切削工具)も廃棄し、広い作業スペースを確保することができました。金型の保管も、頭の痛い課題です。長年にわたって使用実績のない金型を、お客様と交渉して返却したり廃棄したりしています。こうしたことは、思い切りがないとできないことであり、やはり社長のリーダーシップがものを言います。また、工場内の不明物や「チョイ置き」をなくすため、仮置きの表示をするようにしています。こうすることで、誰が見ても所在がわかり、むやみに物が増えることを防ぐことができます。一方で、問題もあります。部署によって温度差があるのです。汚く乱れている部署は、そうじだけでなく、他にも問題を抱えていることが多く、相関関係があります。ですから、リーダーシップとチームワークを改善すべく、様々なテコ入れを行っています。そのかいあって、少しずつですが、こうした問題も改善に向かっています。松原史尚社長は、同社の白い作業服を白いまま保つように、と社員に説いています。社長の父上(先々代)が導入された、鋳造業として非常識な白い作業服を白いままに保つことこそ、「非常識なクリーンファンドリー」の証なのではないでしょうか。同社の「非常識」への挑戦に、終わりはありません。 (小早)今月の読書から『復活の日』小松左京 著~人間の英知に期待したい~まるで予言の書です。この本で描かれていることは、現在我われが武漢コロナウィルスで経験していることと、ほぼ同じです。ある日、新種のかぜウィルスによって、世界中がパンデミックに陥り、社会経済機能がマヒし、どんどん人が死んでいき、やがて人類は滅亡してしまいます。正確には、かぜウィルスだけでなく、原因不明の病原体(宇宙から来たとも言われる)との複合作用によるパンデミックで、人類はワクチンも対処療法薬も開発することができず、窮地に陥っていくのです。しかも、これらのウィルスや病原体は、実はある国の生物兵器研究所が開発したもので、それが諜報活動の過程で漏れ出してしまったのが事の発端だった、というところまで、なんだか現在の状況を暗示しているようです。ほぼすべての人類が死滅する中で、たまたま南極大陸にいた約1万人の人たちだけが生き延びるというのが、この本の前半のストーリーです。ただ、私が以前にある識者から聞いた話では、世界異変によって人類の人口が三分の一を割り込むと、文明の維持は困難だそうです。だから、もし現実に、南極で1万人の人たちが生き残ったとしても、彼らがこの文明を維持していくのは無理でしょう。さて驚くのは、この本が書かれたのは、なんと昭和39年(1964)、つまり、前回の東京オリンピックの年、私が生まれる4年も前のことです。こんな時代から、ウィルス感染症の脅威というのは認識されていた、ということ。しかも、その脅威はその当時と現在とで、何ら変わりはない、ということに、とてつもない恐怖を感じます。これだけ科学技術や医療が進歩しているにもかかわらず、です。私が子どもの頃、癌は不治の病でした。患者への告知は、基本的にタブーでした。ところが今、癌は決して不治の病ではありません。告知も、よほど末期のものでない限り、普通に行われています。AIDSも、流行が始まった当時は不治の病でしたが、今では、根治はしないものの、治療薬の開発により、延命率はグッと高くなりました。ところが、インフルエンザを含むかぜウィルス感染症だけは、昭和39年から、その脅威が何ら変わっていないのです。その恐ろしさを、我われは今まさに身をもって体験しているわけです。それでも私は、医療従事者の治療努力、科学者の皆さんの研究努力、そして、我われ一般民間人の行動制御努力によって、こうしたウィルス感染症を克服できると信じています。私たち人類を救えるのは、私たち自身の日々の行動なのです。今こそ人類の英知を結集すべきときです。 (小早)株式会社そうじの力 そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第179号 2020年6月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333 FAX:050-6868-2721 メール:info@soujinochikara.com