【第186号】昨日よりも今日、今日よりも明日と進歩していく|(有)ファイン
そうじの力だより第186号支援事例紹介昨日よりも今日、今日よりも明日と進歩していく~(有)ファインのあくなき歩み~福井県鯖江市の有限会社ファイン。メガネフレームやライターなどにおしゃれなデザインを印刷する、特殊印刷の会社です。印刷会社だけに、当初は、床と言い壁と言い機械と言い、インクまみれで、それが当たり前の状態でした。「そうじの力」を導入して9年が経った今、工場内にインク汚れは皆無です。床面は、舐められるくらいにピカピカです。設備や道具は、細かく定位置化され、誰が見ても、どこに何がどのくらいあるか一目見てわかるようになっています。ここまでのレベルになると、もうやることがなくなり、マンネリ化して、活動が停滞してしまうのではないか、と危惧されるところですが、同社にその心配はなさそうです。このコロナ禍で、私の環境整備研修も久しぶりの開催となりました。約1年ぶりに訪れた同社は、相変わらずキレイで整っているだけでなく、さまざまな面で、以前よりも進歩しているのが目に見えて、とても嬉しく思いました。たとえば、工場の玄関口。雪国のため、冬季は消雪パイプからの温水が路面に散布されます。すると、水の中の鉄分なのでしょう、路面が赤茶けてしまうのです。以前から、この赤茶けた鉄分を、どうにか取れないか、と話していました。今回見てみると、路面の一部が明らかに他の部分と違い、キレイになっているではありませんか。聞いてみると、鉄分専用の洗剤を使って落としたり、アスファルトを黒く塗るスプレーを使うなど、試行錯誤しながら、徐々にキレイにしていっているのだとか。きっと、大変な労力を要したことでしょう。頭が下がります。そして、研修室の床面。ここは、これまでに、壁紙を貼り替えたり、床面を塗り替えたり、いろいろと手を入れてきたところです。今回は、グレーだった床面を、ライトグリーンに塗り替えている最中でした。社員さんたちの、「もっと明るい空間にしたい」という提案を取り入れて、この色に塗り替えることにしたそうです。「やるからには楽しく」をモットーとする、同社らしい取り組みです。また、インクを調色する際に使う溶剤から床面を保護するために、以前は調色室にビニールマットを敷いていたのですが、より耐久性があり、見栄えも良いPP製の硬質ボードに変えられていました。これによって、耐久性と見栄えが良くなっただけでなく、作業性や安全性も良くなったことが伺えます。ではなぜ、同社が、高いレベルにある現状に満足せず、昨日よりも今日、今日よりも明日と、進歩しつづけているのでしょうか?それはひとえに、日々の活動を愚直に続けている結果だ、としか言いようがありません。同社では、毎日30分間のそうじをしてから朝礼を行っています。朝礼においては、その日のそうじで気づいたことを発表し合って、気づきを共有しています。週に1回は、工場の床面全体を全員で雑巾がけしています。また、毎週1回1時間、大掛かりな改善活動を行っています。道具の定位置化や、壁や床面の塗り直し、レイアウト変更などです。さらに、月に1回「班長チェック」が行われます。これは輪番で任命された班長2人が、会社内を歩いて見て回り、改善が必要な点を指摘し、より良くするためのアイデアを提案する場です。こうした取り組みを、この9年間、ずっと続けてきました。そしてもちろん、このコロナ禍の中でも、休むことなく続けてきました。そのおかげで、同社の団結力は半端ではありません。工夫や改善の能力も優れているので、利益率も高いということです。「小さくても誇れる会社」のお手本が、ここ鯖江にあります。 (小早)今月の読書から雑誌『MAMOR(マモル)2020年12月号』~きれいな軍隊は強い軍隊~ 軍事マニア向けの雑誌です。私自身はこの分野に特に関心はないのですが、先日、新聞にこの雑誌の広告が載っていて、その見出しの「自分を磨く自衛隊式掃除法」に目が留まり、さらにサブタイトルの「戦車を洗車する技術と心」というダジャレに思わず吹き出し、すぐに注文して購入しました(笑)。〈自衛隊では、新入隊員は最初の3か月間で行われる基礎教育中から、徹底して掃除や整理整頓を教え込まれる。それはとても厳しく、何度もやり直しをすることもあるという。なぜ掃除をみっちりと教えるのか、そこには自衛官として必要で明確な理由があった。〉〈掃除を重視する理由の一つは、仕事と生活の場を清潔に保つため。隊員は基本的に駐屯地・基地内で集団生活を送るので、病気の予防につながる環境衛生は大切だ。〉〈整理整頓も重要。部屋が散らかっていると十分な掃除ができない上、緊急事態に即応できない。たとえ夜間に緊急招集が掛かっても、そしてそこが暗闇であっても、どこに何があるか分かるように整理されていれば、すぐに必要な装備を手に取り、身に着け出動することができる。〉〈また、掃除教育には精神修養の意味もある。自衛隊の装備類は、全て国が保有する資産であり、物品愛護について徹底した教育を受けている。なので、自分が受け取ったときよりも美しい状態で「お返し」し次の人に託す、という精神で運用している。〉〈また掃除は装備品の安全確認という役割も持つ。汚れで隠れたひびや傷を発見できるのも掃除の効用。補修や修理が必要な場所の早期発見にもなる。〉〈そして、掃除は日本を守ることに。清潔に保たれ整頓された装備を見ると、その部隊の精強さが分かる、と、軍事の世界ではいわれている。きれいな軍隊は強い軍隊なのだ。国防を担う自衛隊も、掃除を徹底することによって、精強さを表し、ひいてはそれが抑止力となって、平和を守ることにつながっているのだ。〉 記事には、駐屯地の居室空間の掃除をはじめ、戦車の洗車法や、砲や小銃、そして弾丸に至るまで、それぞれの装備品の細かい掃除法が解説してあります。 私が個人的に一番気に入ったのは、編集後記に書かれていた〈教官の松村3曹からは「念入りに掃除するとささいな汚れにも気付けます。重箱の隅をつつくような指摘は嫌がらせではないので、気を悪くしないでくださいね」と優しいフォローがありました。〉とのくだり。 そうです。私も皆様の会社の現場で、重箱の隅をつつくような指摘をするのは、決して嫌がらせではなく、皆様への愛情の証なのです(笑)。 (小早)株式会社そうじの力 そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第186号 2021(令和3)年1月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333 FAX:050-6868-2721 メール:info@soujinochikara.com