【第187号】新しい時代の新しい働き方|中谷石材(株)草むしり事業部

そうじの力だより第187号支援事例紹介新しい時代の新しい働き方~〈草むしり〉で生涯現役~香川県高松市牟礼町を本拠とする中谷石材(株)。創業59年の、墓石販売、加工、施工をメインとする会社です。近くには、銘石で知られる庵治石(あじいし)の産地があり、同社も庵治石の販売で発展してきました。墓石業界を取り巻く環境は、年々厳しくなってきています。核家族化で「家」に対する考え方が変わり、少子化で墓を代々にわたって守ることが難しくなってきました。新たな墓石を建てることが減り、代わりに、樹木葬やロッカールーム方式の納骨堂などが増えてきました。墓石の新規建立件数は、ここ四半世紀、ずっと減少してきています。2019年は、ピーク時の1996年に比べて、なんと80%減です。このような業界状況の中で、同社が墓石販売に代わるものとして着目したのが、〈草むしり〉です。高齢化に伴い、自宅の庭の手入れを自分ですることができず、業者に依頼する需要は、年々高まってきています。一方、同社にとっては、長年墓石販売で培ってきたお客様とのつながりを基に、草むしりの販路を開拓しやすい、そして、墓地周辺整備などの技術を草むしりに生かしやすい、というメリットがあります。ちょうど10年前から、社内に草むしり事業部を設置し、地元周辺で事業を展開してきました。そして、需要の高まりに応えるべく、5年ほど前から施工体制の増員を図り、香川県全域、そして岡山県に事業エリアを拡げています。将来的には、リーダー40人、アルバイト160人の総勢200人体制を計画しています。当初は、社内の配置転換により人材を確保していましたが、ここ最近は、ハローワークなどで募集して、人員増強しています。応募して入社してくるのは、現在の仕事に行き詰まりを覚える40代や50代、そして、定年退職したものの、まだまだ元気で働きたい60代や70代の人たちです。目指すは、高齢化社会に対応した、「生涯現役、定年なし」の働き方。草むしりの仕事とは、土にまみれて汗を流し、お客様に喜んでもらえる、単純で素朴な働き方。ある意味、デジタル社会の真逆のあり方ですが、より本来の人間らしい働き方、とも言えるでしょう。中谷石材本体は、20年ほど前から環境整備に取り組んできました。毎朝、本社と工場では、1時間そうじを行い、月に1回は、全員で集まって、半日かけて大掛かりなそうじを行っています。同社の経営の根幹に、環境整備を据えているのです。ただ、後発の草むしり事業部においては、取り組みが不十分だったので、現在、私がお手伝いして、テコ入れしているところです。取り組む課題としては、道具の整備・清掃、倉庫内の整理・整頓、車両の清掃などをはじめ、特に力を入れているのが、現場(お客様宅)での環境整備です。使った道具をあちこちに置かずに、決められた位置に戻すこと。刃物や電動工具でケガをしないよう、使用の都度、コンセントを抜き、安全対策を施すこと。単に草をむしったり、庭木を剪定したりして終わるのではなく、お客様が驚くくらいキレイに庭を整えて仕上げること。そして、作業の前後に、全員揃ってお客様に挨拶し、けじめをつけること。こうしたことが徹底できるよう、日々、取り組んでいます。このコロナ禍においても、注文はどんどん増えて、対応が追いついていないほどだそうです。実は、全国にこの草むしり事業のネットワークがあり、(フランチャイズではありませんが)同じ志を持つ仲間としてお互いに切磋琢磨しながら事業を発展させています。今後も、同社をはじめとして、全国の草むしり事業者の活躍・発展に、目が離せません。          (小早)そうじの力コラム私の群馬移住物語①~転勤族の子どもとして~ よく、「小早さんはどちらの出身なんですか?」と聞かれるのですが、そのたびに私は口を濁してしまいます。最近では、「ちょっと話が長くなりますよ」と答えるようにしています(笑)。 というのも、父が非鉄金属を扱う商社マンだったために転勤が多く、私もそれに伴って、あちこち引っ越しを繰り返しながら育ったからです。 オギャー!と生まれたのは兵庫県神戸市ですが、これは、母の里帰り出産に伴ったものであり、私は神戸で暮らしたことはありません。ちなみに私の両親は、二人とも神戸出身です。 生まれてから小学校一年生が終わるまでは、愛知県名古屋市に住んでいました。名古屋と言えば、「みゃー」という語尾の名古屋弁が有名ですが、私がその当時、名古屋弁を話した記憶はありません。というのも、会社の社宅に住んでおり、隣近所の人たちも多くが転勤族だったために、「なんとなく標準語っぽい言葉」で会話をしていたためと思われます。 名古屋の思い出といえば、東山動物園のゴリラと虎くらいしか思い浮かばず、あとは社宅内の広場で遊んだ記憶しかありません。「名古屋出身」とは、間違っても口にできないのです。 小学校一年が終わると、千葉県千葉市に引っ越しました。千葉市と言えば、今や大都会ですが、私が住んでいた当時は、まだまだ発展途上の田舎でした。 幕張は埋め立てが終わったばかりで、何にもない所でした。よく潮干狩りに行ったものです。まさか後年、幕張メッセを中心とする「見本市の街」に大発展するとは、想像だにできませんでした。 この千葉市には、途中のインドネシアでの生活を挟んで、都合九年間ほど住んでいましたので、「千葉出身」と言えなくもありません。 千葉県の中でも千葉市は、南の房総半島と違い、東京のベッドタウンなので、やはり転勤族が多く、千葉土着の人たちは少なかったです。話す言葉も、「ほぼ標準語」という感じでした。 ただ、名古屋から移ってきた当初、学校の掃除の時間に、係の子が「机をかたしてください!」と号令をかけた時に、「かたす」という言葉の意味がわからなかった記憶があります。(「かたす」は「かたづける」の方言。) それと、語尾に「だべ」がつくのは、千葉弁の特徴ですね。私もいまだに「だべ」が出ますので、「千葉出身」はあながち的外れでもありません。 小学校時代の私は、特筆することもない、「フツーの子」でした。運動が得意なわけでもなく、クラスの人気者でもなく、どちらかと言えば、劣等生でした。 時々、弱いものイジメもしました。学校のテストでは、カンニングをしたこともあります。あのままずっと千葉で育っていたら、きっと私の人生も、今とは違ったものになっていたでしょう。 転機になったのは、五年生の三学期から始まった、インドネシアの首都ジャカルタでの暮らしです。〔続く〕      (小早)株式会社そうじの力 そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第187号 2021(令和3)年2月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1TEL:050-3709-2333  FAX:050-6868-2721  メール:info@soujinochikara.com