【第189号】モノを捨てるからこそ、モノを大切にする風土が生まれる|松井産業(株)

そうじの力だより第189号支援事例紹介そうじの基本は捨てること~モノを捨てるからこそ、モノを大切にする風土が生まれる~埼玉県三郷市を本拠とする松井産業(株)。大正11年の創業で、来年は100周年を迎える老舗企業です。呉服商として創業しましたが、その後、米穀集荷業、肥料飼料販売、鶏卵卸、食肉卸・販売などを経て現在は、不動産及び建設業を中心に事業展開しています。業種を変えながらも、一貫して、中小企業がいかにして地域の役に立つか、を追求してきました。そこから導き出された同社の信条が「HQCC」です。すなわち「H=ホスピタリティ」「Q=クオリティ」「C=クリーンリネス」「C=コミュニケーション」の四つです。ということで、もともと掃除には力を入れていたとのことなのですが、あらためてしっかりと取り組みたい、とのことで、弊社にオファーがかかり、一年ほど前からお手伝いをしております。ところが、実際に中に入ってみると、あまり良くない状態であることがわかりました。一見、キレイに見えるのですが、整った印象がありません。その原因は、余計なものが多過ぎることにありました。「掃除」というと、掃いたり拭いたりというイメージが強いのですが、まずは不要なものを捨てることが大事です。捨てないと、実際にキレイにはなりませんし、会社の風土も良くなっていかないのです。ですから弊社では、表面上を掃いたり拭いたりする「掃除」と区別するために、風土を変革していく取り組みを「そうじ」と書いて、区別しています。ではなぜ、不要なものを捨てることが大事なのでしょうか?
  • スペースが狭まる
  • わが日本は、狭い国土の中に多数の人々が生活しています。ただでさえ狭いスペースに不要なものがあれば、それだけで有効活用できるスペースが狭まってしまいます。結果としてゴミゴミした印象になり、雰囲気も暗くなってしまいます。
  • モノをうまく収納できない
  • 「うまい収納法を教えてほしい」という声をよく聞くのですが、そもそも不要なものを収納しても意味がありません。不要なものがたくさんあるのですから、うまく収納できるわけがないのです。結果として、「いつも出しっぱなし」「積んだまま」というような事態を招くことになります。
  • 探す時間がかかる
  • 余計なものが多いと、邪魔なものが多く、いざ必要なものを探そうとするときに、時間がかかってしまいます。この「探す時間」は、業務にとっては大きな「無駄」です。
  • 本当に大切なものが分からなくなる
  • 余計なものが多いと、何が大切なもので、何が大切でないのかが、わからなくなります。さほど大切でないことに時間を費やすことは、まさに人生の浪費です。
  • 結局はモノを大切にしなくなる
  • モノを捨てようとすると、「もったいない」と拒む人がいます。しかし、後生大事に取っておいても、使わないのであれば、それこそ「もったいない」のではないでしょうか。本当に使うものだけにして、それを丁寧にかつ存分に使うことこそ、モノを大切にするということだと思います。松井産業で「そうじ」の活動をはじめて約一年。この一年は、とにかく徹底的に不要なものを捨ててきました。本部においては、余った建築資材や賃貸住宅の営繕資材、法定の保管期限を過ぎた経理書類などをガサッと捨てました。各拠点においては、不要な書類や必要以上にストックしてある事務用品も捨てました。中には、書類を捨てたおかげでキャビネが要らなくなり、そのぶん執務スペースが拡がった拠点もあります。そのおかげで、本部、各拠点ともに、ずいぶんとスッキリしてきました。社員の意識も上がってきたようです。まだまだこれからが本番ですが、今後の展開が楽しみです。    (小早)そうじの力コラム私の群馬移住物語②~人生を決定づけたインドネシアでの生活~ 非鉄金属を取り扱う商社マンだった父の転勤に伴い、千葉市からインドネシアの首都ジャカルタに引っ越したのは、小学校五年生の三学期でした。 「帰国子女」=「英語が話せる」というふうに早合点されてしまいがちですが、インドネシアの言語はインドネシア語であり、英語が話せるようにはなりません。 しかも、日本人学校に通っていたので、先生も生徒も日本人で、授業内容はほぼ日本の学校と同じですから、日本での生活とさほど大きな違いはないわけです。 日本人学校というのは、日本全国から生徒が集まってくるわけですから、そこでの会話は当然、「標準語」になります。しかも、同級生は私と同様に転勤族の子供が多いので、「郷土色」は弱まります。 そうなると、私の意識の中でも、ますます「故郷」という観念が薄れてきます。 そんな環境の中で、逆に育まれてきたアイデンティティが、「日本人」だという意識です。 日本人学校では、毎朝授業開始前に、全員が校庭に出て、ラジオ体操を行います。体操終了後に必ず行われるのが、日本とインドネシアの国歌斉唱及び国旗掲揚です。 これをつうじて、お世話になっているインドネシアに対する尊敬の念と、祖国日本に対する誇りを植えつけようという狙いだと思われますが、私もその狙い通りに育ちました。 「クニはどこ?」と聞かれて、「山口」とか「秋田」と答えられる土地はないものの、私にとっての「クニ」とは、他ならぬ「日本」だったわけです。 このインドネシアでの生活は、私にとって、その後の人生を決定づける大きな転機となりました。それは、「日本の常識は世界の常識ではない」ということです。 たとえば、日本で郵便ポストといえば赤色ですが、インドネシアではオレンジ色です。日本人が食事するときには、箸かフォークやスプーンを使いますが、インドネシア人は右手の素手を使って食べます。 どちらが良くて、どちらが悪い、ということではありません。そのような「違い」があるということなのです。 日本で日本人として生活していると、皆が同じ考えの下に、同じような行動をとるために、自分や他人が行っている行為を、「これは本来望ましいことなのか?」とか、「いったい何のためにやっているのか?」といったことに疑問を持たずに育ってしまいます。 しかし私は、このインドネシアでの生活をつうじて、「常識」と言われていることに疑問を持つようになりました。色々なことに対して、「それって、本当なのか?」「それは望ましいことなのか?」「そもそも、なぜそんなことをしているのか?」というふうに、いちいちケチをつける癖がついてしまったのです(笑)。 インドネシアには、中学二年が終わるまでの33か月住んでいました。思春期で一番多感な時期をここで過ごしたことが、その後の私の生き方を決定づけることになります。  〔続く〕小早)株式会社そうじの力  そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第189号 2021(令和3)年4月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333  FAX:050-6868-2721  メール:info@soujinochikara.com