【第196号】焦点を絞った活動が、意識を徐々に変えていく|野崎自動車(株)
そうじの力だより第196号支援事例紹介活動の焦点を絞って、徐々に意識を変えていく~フィロソフィの実現のために~香川県高松市の野崎自動車(株)。三つの整備工場に加え、大型車専用工場と鈑金工場という五拠点を持つ、社員数三〇名ほどの会社です。ここで三年前から「そうじの力」の活動が進められています。同社は稲盛和夫氏の「盛和塾」に参加しており、稲盛氏の提唱するフィロソフィを会社の基本原則にしています。フィロソフィには、「地味な努力を積み重ねる」とか、「完全主義を貫く」、「全員参加で経営する」などといったことが書かれています。このフィロソフィの実現のために、具体的な行動として、整理・整頓・清掃が欠かせないのです。先日の研修会で、参加者である工場長クラスの社員に、私からあらためて、「整理・整頓・清掃の目的は何か?」と問いかけてみました。最初、「フィロソフィの実現のために」という答えが返ってきたのですが、今一つ腑に落ちていない感じがしたので、「もう少し具体的に言うと?」と突っ込んで聞いてみると、「作業効率を良くするため」「安全性を高めるため」「不要な在庫などを減らし、経費を削減するため」「皆で同じ目標に向かって行動するため」「コミュニケーションを良くするため」という答えが返ってきました。まさに、そうした目的のために活動しているのであって、社員さんたちは、きちんと受け止めて活動してくれているようです。そのために、毎日朝礼後に五分間、作業ヤードの床面の掃き掃除や異物除去を行い、さらに、月に一回一時間、まとまった整理や整頓などを続けています。決して潤沢な活動時間ではありませんが、少しずつ良くなってきました。業種柄、工具類の整理整頓や、取り寄せ部品と在庫部品の適正管理、そして油分の除去などが課題です。以前は訳の分からないものが山積みになっていたり、床面が油まみれだったりしましたが、だいぶ改善されてきました。毎月、各拠点で、それぞれの状況に応じた課題に取り組み、その結果をレポートにして提出してもらっています。たとえば、私物置場と作業道具置場が混在していたのを、きちんと分けて、専用の私物置場を作ったり、作業ヤードのグレイチングに溜まった油分をキレイに掃除したり、といった報告をもらっています。そんな中で、ここ最近、力を入れているのが、キャディ(整備工具の入ったカート)の整理整頓です。毎日使うものなので、どうしても乱れてしまいがちです。そこで、全整備員が、毎週末、自分のキャディの状況を写真に撮り、LINEを使って社長に送るようにしました。使うその都度、整えていけばいいのですが、なかなかそうもいきません。作業員によって違いがありますが、中には、使っているうちにグチャグチャにしてしまう人もいます。それでも、週末に社長に写真を送らなければいけないので、それに向けて整えていきます。つまり、毎週末にいったんリセットするわけです。この取り組みが、功を奏したようで、徐々に社員さんたちの意識が変わってきているようです。野崎敬三社長も、「あれもこれもと手を拡げずに、毎日必ず使う身近なキャディに重点取り組みを絞ることで、徐々に意識が変わり、それがキャディ以外の周辺にも良い波及効果をもたらしているようだ。」とコメントし、手ごたえを感じておられるようです。まだまだ課題も多く、発展途上ですが、若くて素直な社員が多く、今後の飛躍が楽しみな会社です。忙しすぎてなかなか時間が取れないことが難点ですが、儲かっている証拠です。(小早)今月の読書から『「地球温暖化」神話』渡辺正 著~終わりの始まり~ 5~6年前に読んだ本を、あらためて読み直してみました。著者は東大の環境科学の教授で、すべてデータに基づいて、客観的に問題提起しています。以下、引用です。〈文科系の一年生は、小学校以来、理科の授業で光合成(CO2の固定)を教わりながら、社会科などの授業では、CO2が「温暖化を起こす悪玉」だと教わってきた。いきおい彼らは、「CO2=悪」のイメージをもって高校を出る。あらゆる生き物はCO2のおかげで存在するのだと私が語れば、「なるほど・・・そうですよね」と気づいてくれはくれるものの、それまでは光合成のことをすっかり忘れている。〉〈太古のCO2濃度が現在より何倍も高かったのはまちがいない。50万種といわれる現生植物のご先祖は、いまの2~6倍ほど高いCO2濃度に2~3億年も適応した。〉〈ハウス栽培の効率化を目的に、CO2濃度を高めた栽培実験が何千も行われてきた。CO2濃度を天然プラス300ppmや600ppmに上げると、どの作物も数十%レベルで収量が増す。〉〈たとえば米国地続き48州は、図の気温トレンドを示す。年々1.5℃くらいの変動を示しながらも、私の目には32年間ずっと横ばいに見える。〉〈過去40年ほど、インド洋に浮かぶモルディブの海水準は変わっていない。南太平洋ツバルの海水準も、1970年代から横ばいのまま。〉〈台風の統計(1951年以降)は気象庁のホームページにある。発生数・接近数・上陸数のどれにも、増加傾向はまったく見えない。〉〈1章から眺めてきた「CO2排出と気温の関係」を振り返ろう。20世紀以降の112年間(1900~2011年)に、「CO2排出が増え、気温が上がった」期間は5~6分の1(1970年代末~97年)しかない。ほとんどの期間、気温は自然に下がったり(1900~10年)急上昇したり(1910~40年)、CO2排出が激増したのに横ばいか下がりぎみだったのだ(1940~70年代、1998~2011年)。その事実だけでも、人為的CO2温暖化説は疑わしい。〉〈IPCCに集う気候科学のエリートが、地球温暖化を国際政治の問題、しかも「まず結論ありき」の問題にしてしまい、既得権ともいうべき莫大な研究費・運営費を使いながら、「結論の死守」に励む。〉 新型コロナの件についてもそうですが、マスコミ報道に踊らされることなく、色々な角度から情報を集めて判断することの重要性を、つくづく感じます。 (小早)株式会社そうじの力 そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第196号 2021(令和3)年11月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333 FAX:050-6868-2721 メール:info@soujinochikara.com