【第198号】誰もがわかる社内環境を作る|(有)ファイン

そうじの力だより第198号支援事例紹介誰もがわかる社内環境を作る~心配りのプロ集団を目指して~福井県鯖江市といえば、日本一のメガネの産地。当地の(有)ファインは、そのメガネフレームなどに、デザイン装飾を施す特殊印刷業です。社員10人の、アットホームな会社です。同社で、弊社のお手伝いにより環境整備が始まったのは、ちょうど10年前でした。開始前は、床と言い、機械と言い、インクまみれでした。「印刷業なのだから、インク汚れは当たり前」と、誰も気にする人はいませんでした。また、工場内が手狭で、繁忙期には製品が山積みになり、まともに通路も確保できないような状況でした。環境整備が始まって、まず行ったのは、モノを捨てることでした。当初、一人の作業者につき二台あったデスクを一台にし、最終的にはその一台も捨てて、社長お手製の小ぶりなワゴンになりました。使っていない什器や、長らく使用実績のない版も処分し、モノの総量を減らしたことで、自由に使える空間が拡がり、工場内は広々としたスペースに生まれ変わりました。次に、床や機械にこびりついたインクをこそげ落とし、汚れという汚れを一掃しました。そして、道具や資材の定位置化を細かく行い、在庫管理のルールも明確化しました。スタートした当初は、毎朝10分間、全員で掃除をしていたのですが、すぐに、「10分間では短い」という声が上がり、30分間に延長されます。毎朝30分間の掃除に加えて、週に一回は全員で床面の雑巾がけを行い、やはり週に一回、輪番で巡回チェックして要改善点の洗い出しを行い、加えて月に一回、全員で二時間かけて大がかりな改善を行っています。さらに、床面や壁面は、DIYで塗装したり壁紙を貼ったりして、より快適な空間に進化させています。おかげさまで、開始前と比べると、別の会社のように、キレイで整った状態になりました。こうした環境整備で、効率が良くなり、安全性が高まり、ミスが少なくなったことはもちろんですが、同社の一番の特徴は、「楽しく」取り組むこと。「どうせやるなら楽しくやろう!」が合言葉です。もともと明るい社風だったのが、環境整備を通じてお互いのコミュニケーションが良くなり、ますます明るさに磨きがかかっています。もちろん、10年も続けていれば、マンネリ感もあります。停滞した時期もありました。それでも、常に進化することを心がけています。先日、リーダーとサブリーダーが交替したばかりです。今期の目標は、「誰もがわかる社内環境を作る」です。整理・整頓のレベルは、かなりの状態ではありますが、あらためて、新人や部外者でもわかる状態を作ろう、ということです。そこには、「心配りのプロ集団を目指す」という想いがあります。誰もが働きやすく、思いやりがあり、みんなに優しく、助け合える集団を目指す、という想いです。ちょうど12月に新入社員が入りました。彼でもわかるように、あらためて、表示や標識をやり直し、引出の中身も、担当者以外でもわかるように見える化しています。以前は、見学者が多く訪れていたのですが、この一年半は、コロナのために見学者を受け入れていませんでした。しかし、見学は、何よりも社員さんたちのモチベーションにつながります。コロナがこのままの推移で落ち着けば、年明けから外部の見学者の受け入れを再開する予定です。そのためにも、見学に訪れた人たちがわかりやすく、楽しめて、感銘を受けてもらえるような工場内に進化させていく計画です。(有)ファインの環境整備に、終わりはありません。(小早)そうじの力コラム私の群馬移住物語⑥ 吉原って、どこ? ~ 前回ご紹介したとおり、焦点の定まらないモラトリアム大学生だった私は、就職に関しても、焦点が定まりませんでした。 どんな職業に就いて、どのような働き方をするのか、まったくイメージが湧きません。とりあえず、同級生が就職活動をしているので、自分もしなきゃ、という感じで、OB訪問などを始めました。  そんな中で、唯一の手がかりは、子どもの頃から自動車やバイクが好きだった、ということでした。小学生の頃は、車やバイクのプラモデルを作るのが好きでした。当時はスーパーカーブームで、街でポルシェやカウンタックを見かけると、飛んでいって舐めるように眺めていたものです。 大学生の時は、サーキットに出かけて、車やバイクのレースを観戦しました。 「仕事」のイメージなどまったくありませんので、漠然と、車やバイクに関わる仕事なら面白そうだな、と思い、第一希望を自動車メーカーに定めました。 ちょうどバブル崩壊の直前で、就職戦線は、売手市場でした。他業種のメーカー数社からも内定をもらいましたが、第一希望だった日産自動車(株)から内定をもらい、同社に入社することになります。 文系の私が、自動車メーカーに入って何をするのか。世の中を知らない浅はかな大学生が考えることです。広報や宣伝部門で、新車のカッコイイTVコマーシャルを作るだとか、国内営業部門で販促キャンペーンを企画するだとか、あるいは、輸出部門で海外を飛び回って活躍する、などといった妄想を巡らせていました。 期待に胸を膨らませて臨んだ入社式。続けて、約二週間の新入社員研修が行われます。 その新入社員研修の最中に、『配属面接』がありました。「希望の部署は?」と問われて、「広報、宣伝、国内営業、海外営業」と答えましたが、面接官から「人事なんてどうかな?」と問われて、面食らってしまいます。 「人事って何?」という感じです。 で、新入社員研修の最終日に発表された辞令には、「吉原工場総務部人事課」と書かれてあります。 人事って、車と何の関係もないじゃん!とショックを受けて落ち込む暇もありません。すぐに荷物をまとめて任地に移動しなければなりません。 ところで、『吉原』ってどこ?まさか、東京の遊郭じゃないよね?とオロオロ。 静岡県の富士市に、吉原という所があり、そこに日産のトランスミッション工場があるのです。その工場の人事課に配属されたのでした。 行ってみると、製紙工場をはじめとする工業地帯。華やかでオシャレな街並みは、どこにもありません。 しかも、トランスミッション工場なので、工場内で車を見ることもありません。 希望と違う任地、部門に配属され、まさに泣きながら過ごした二年間でした。 そんな私の唯一の慰めは、迫るほどに大きく見える富士山でした。〔続く〕(小早)株式会社そうじの力 そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第198号 2022(令和4)年1月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333   FAX:050-6868-2721   メール:info@soujinochikara.com