第75号「そうじの力だより」

活動報告自分たちで目標・計画を決める 〈取り組む納得感が大事〉~どうありたいか、を話し合う~メガネフレームへのデザイン印刷を主な事業とするF社で「そうじの力」プロジェクトがスタートしました。若い社員が多く、もともと社内の雰囲気も良いのですが、もっと社員の積極性と自立性を高めたい、というのが社長の想いです。人材育成の核として「そうじの力」に取り組むことにしました。取り組みにあたってはまず、私からその目的を説明しました。そうじの力とは問題解決力であること。すなわち、そうじを通じて各人の自主性や互いの協力意識を高め、コミュニケーションを活性化させ、品質や生産性、安全性の向上を図る、ということです。しかし、それだけで社員さんたちが納得し、取り組めるわけではありません。自分たちで目標を決めることにしました。この取り組みを通じて、最終的にどんなレベルにまで持っていきたいのか、を全員で話し合ってもらいました。その結果、「十年後に眼鏡業界で日本一綺麗な会社を創る」「今年度は無駄なものが一つもない会社を創る」という目標を立てることができました。その目標を達成するために、月次で取り組むこと、毎朝取り組むことを決めました。目標を、他人から与えられるのではなく、自分たちで決めることで、納得して取り組むことができます。一方、すでに取り組みを始めて数か月経つ材木屋のN社では、あらためて、自分たちが働くこの職場が「どのような会社でありたいのか」を話し合いました。色々な意見が出ましたが、「自らすすんで取り組み、互いに協力しあえる会社」「お客様に『ありがとう』と言っていただける会社」という二点に集約することができました。今現在なかなか出来ていない、ということの裏返しでもありますが、少なくとも社員さんたちが心からそう願っていることは間違いありません。そして、このあるべき姿に到達するために何をしなければならないか、と考えると、「時を守り、場を清め、礼を正す」という非常に基本的なこと、すなわち環境整備であることが自ずと分かってくるのです。このような共通認識ができたところで、会社敷地の平面図を広げ、どの個所をどのようなスケジュールでキレイにしていくか、を話し合いました。まもなく、お客様を招いての展示会があります。それまでに、お客様にとって気持ちの良い会社にしていこう、と社員さんたちの気持ちがひとつになった瞬間でした。おそうじ 紙上講座車両の環境整備 〈見えないところをキレイに〉~洗車よりも先にすべきこと~車両の環境整備というと、まず思い浮かぶのは洗車です。汚れたボディーは目立つので、洗車をして外見をきれいにすれば、乗る人も見る人も気持ち良くなるのは間違いありません。しかし、洗車の前にすべき大事なことがあります。車内、それも普段はなかなか見えないところの環境整備です。環境整備の順序は「整理→整頓→清掃」が原則です。この原則を車両に当てはめた時に、まずすべきは、車内にある不要物を処分すること。例として、グローブボックスに着目してみましょう。開けてみると、何本ものペンやくしゃくしゃになったメモ、期限の切れたポイントカード類、丸められたティッシュなどがたくさん出てきます。ある会社では、こまめに洗車はしているのですが、グローブボックスについては「開けたことがなかった」と言います。次にエンジンルームです。業務用のバン(ワンボックス車)のエンジンは、運転席と助手席のシートの下にあります。点検するには、運転席と助手席のバックルを外して跳ね上げる必要があります。エンジンオイルやウォッシャー液の点検などは、運転者の義務です。また、シートと床の隙間に溜まっている砂ボコリやゴミを取り除くこともできます。このようにして、車内の裏の裏、奥の奥までキレイにすることで、不思議なことに車内の空気が澄んできます。車内が済んだら、いよいよ洗車です。洗車にはいろいろなやり方がありますが、手早く、隅々までキレイにする工夫が必要です。ぜひ取り入れていただきたいのが、一人でやらずに複数人でやること。数人で協力して洗車することで、手早く済ますことができますし、ワイワイやりながら洗車するのは楽しいものです。ワイガヤから、いろいろな工夫も生まれてきます。コラム周囲から支持される存在か?~スポーツチームに見る環境整備の必要性~出張で、地方のビジネスホテルに泊まったときのことです。客室階の廊下に、グランドホッケー用のバッグ、スティック、シューズ、プロテクターなどが所狭しと並べられています。見苦しいのは言うまでもありませんが、それらがまた汗臭いのです。後で分かったことですが、近くでホッケーの大会があったらしく、そのホテルには、某実業団の女子ホッケーチームが泊まっていたようなのです。ネットで調べてみると、女子ホッケーチームとしては名門で、過去にはリーグ優勝もしているとのこと。驚いてしまいました。今までに海外を含めて多くのホテルに泊まってきましたが、このように自分の荷物を廊下に出しておく光景は見たことがありません。 他の宿泊客に対して迷惑だということは、学生ならばまだしも、社会人ならば分かりそうなものです。 第一、彼女たちは、自分の道具が大切ではないのでしょうか?廊下に出しておけば、盗難に遭ったりイタズラされたりすることだってあり得ます。 このような光景を見たときの、私の心理は、「このチームは絶対に応援しない」でした。 こうした、「周囲の想い」というのは、目には見えませんが、実はプラス面でもマイナス面でも大きな影響を及ぼすものです。 プラスの場合には「祈り」、マイナスの場合には「怨念」と表現すれば分かりやすいかも知れません。 実際、彼女たちの今シーズンの戦績を見てみると、引き分けを挟んで全敗でした。さもありなん、です。 このことは、企業経営にもそのまま当てはまるでしょう。 周辺の道路を含めて、毎朝キレイにそうじしている会社は、周囲から「ありがとう」と感謝されます。 工場内の機械や工具をピカピカに磨き上げている会社は、取引先から、「ずっと付き合っていきたい」と思われます。 自然に、周囲から応援され、それが業績にも反映されていくのです。 逆もしかり。会社の内外を汚く乱雑にしている会社は、周囲から「あの会社に儲かって欲しくない」と思われてしまいます。 ホッケーチームならば、指導者の姿勢。企業ならば、経営者の姿勢次第です。お知らせ◆DVD無料頒布『小河原建設 環境整備の取り組み』 東京都中野区にある注文住宅建築会社、小河原建設は、8年前から環境整備に取り組んでいます。約1年前から弊社がお手伝いに入り、「徹底する」「自発的に取り組む」をテーマに環境整備強化プロジェクトを推進しています。本DVDでは、実際の同社の取り組み風景や、講義や実習の映像、社長と社員のインタビューなどを収録しています。無料頒布いたしますので、ご希望の方は巻末連絡先まで、希望枚数と送付先を明記の上、お申込みください。◆経営セミナー『そうじの力で会社が甦る!』   本セミナーでは、なぜ整理・整頓・清掃に取り組むと会社が良くなるのか、その合理的メカニズムをご説明します。また、そうじを取り入れて経営を改革した会社の事例もご紹介します。そして、導入にあたっての具体的方法やコツなども伝授します。 尚、本セミナーの参加費の一部は、中央共同募金会を通じて、東日本大震災の復興支援に寄付させて頂きます。【日 時】10月4日(火)15時~17時       【場 所】高崎商工会議所【講 師】小早 祥一郎 【対象者】経営者、経営幹部 【参加費】5000円編集後記一坪に36人? 台風15号が直撃した9月21日、東京で身動きができなくなった私は、都内のホテルを探しますが、すべて満室で、千葉県船橋市にある妻の実家に泊まることにしました。 秋葉原駅でようやく動き出した総武線に乗ったのですが、それまで足止めを食っていた人たちが一斉に乗り込んだものだから、車内は殺人的な混雑に。 カウントしてみましたが、畳半畳くらいのスペースに9人くらい乗っています。 なるほど、人間はこんなに狭いスペースの中でも生きていけるのだな、と妙に感心しましたが、それが可能なのも、せいぜい2時間くらいでしょうね。株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援環境整備(規律・清潔・整頓・安全・衛生)は「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。現状調査(診断)やご相談は無料です。全国どこでも出張が可能ですので、お気軽にお問い合せください。 そうじの力だより第75号 2011年10月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)