第76号「そうじの力だより」

活動報告きれいな職場は故障が少ない 〈そうじでリーダーが育つ〉~?マツバラ おそうじパワーアップ活動発表会~約二年前から、岐阜の鋳造メーカー?マツバラの「おそうじパワーアップ活動」をお手伝いしています。私が最初に訪れた頃には、工場内のいたるところに粉塵が堆積していましたが、最近では、粉塵がほとんど見られない職場も出てきました。半期に一度、全社員出席の下、全部署の活動内容の発表会を開催し、社長や私がそれを評価して表彰しています。先日、今年度上半期の発表会&表彰式が行われました。栄えある金賞には、検査係。銀賞には処理係が輝きました。ともに工場内では下流工程に当たり、粉塵が大量に発生する過酷な環境の部署です。当初、二十センチほども積もっていた粉塵が、今ではすっかりなくなり、私の目から見ても、この二年間で劇的にキレイになった職場です。この二つの部署は、実は同じ係長が管轄しています。社長が言うには、今回の受賞は、その係長のリーダーシップのたまものであると。彼の異動先は、例外なく良くなるのだそうです。処理係も、以前は故障が多く、工場内の故障の九割を占めていたそうですが、今では全体の一割にも満たないと。逆の例もあります。最近、故障の多い部署があるのですが、そこはおそうじができていないのです。実際、そうじをしていると、エア漏れやオイル漏れ、配管の劣化による穴あき、粉塵の発生源などに気づくことができ、それが故障を未然に防ぐことができるのです。かの係長は、会社方針を素直に受け止めて、係員全員でそうじに取り組む風土づくりに励みました。まず、不要物やゴミが放置してあったら、責任追及するのではなく、気づいた人間が処分する。そしてその都度、そのようなことがないように現場で指摘し合う、とのこと。こうして、故障が減るなどの目に見える効果が出てきたのは大変に嬉しいことです。しかしもっと嬉しいのは、彼のようなリーダーが育ってきた、ということです。社長いわく、「彼の人間性は間違いない。彼には今後どんどん大事なポジションについてもらう」とのことです。  (小早)おそうじコラムまずは社長が実践を 〈社員に求めてはいけない〉~何よりも社長自身の決意を練り上げる場として~企業そうじ通じて変革していこうとするときに、一番大切なのは、社長の姿勢です。ある会社の社長に、「どうすれば環境整備が社内に定着しますか?」と質問された時に私は、「まず何よりも、社長自身が『そうするんだ!』と強く決意することです」と答えたことがあります。「どのように行うのか」というのは方法論でしかなく、「やる」という強い決意なしの方法論は砂上の楼閣に過ぎません。社員全員に「そうじを一生懸命やろう!」と呼びかけるのは簡単ですが、そこで必ず反発が起こります。「忙しい」「時間がない」「今でもやっている」「そうじよりも大事な仕事が山ほどある」「そうじをしても儲からない」などなど。多くの人は、新しいことに取り組むことに抵抗を感じます。また、そうじのような「下坐」の行いをバカにする風潮もあります。そうじを通じて会社を変える、というのは、実はとんでもない大仕事なのです。だからこそ、まず社長が実践することです。M社では、工場入口に設置してあるエアシャワーがなんとなく臭うので、機械を分解してみたところ、内部に汚れが溜まり、それが腐敗して臭っていることが分かりました。M社長は日曜日に出てきて、一人でそれを分解そうじした、といいます。ヘドロで汚れた機械の内部を、泥まみれになってそうじするというのは、なかなかできることではありません。社長の想いは、「社員さんたちに気持ちよく働いてもらいたい」ということだったでしょう。また、Y社の社長は、工場内の錆びた柱のペンキ塗りをコツコツと続けています。「私にはリーダーの資質がないと思っていた。でも、私がペンキ塗りを続けているのを見たある社員が、他の場所をそうじしてくれるようになった。私にも他人に良い影響を与える力があるのだ、と自信につながった」とY社長は言っています。これは決して、自分の背中を見せて、社員に「やれ」と無言で語る、ということではありません。社員に求めてはいけません。あくまでも社長自身が、会社を変革するという大きな決意を、自分の心に深く刻んでいく、求道者のような実践なのです。  (小早)飯塚輝明の輝け!中小企業~環境整備プロジェクトの成否はリーダーの任命から~私が学校を卒業して最初に勤めた会社が、プロ清掃業者向けの洗剤・道具の商社でした。その会社に勤めてから十年目に私が環境整備リーダーになる機会がありました。今回は、その時の体験をお話させて頂きます。社員数が五十人ほどだったその会社では、プロの清掃用品を取り扱っているからといっても社内がキレイというわけではなく、私が入社以来十年間毎年のように『今年こそは、環境整備をする!』と社長の号令が出ては掛け声だけに終わるという繰り返しでした。十年目を迎えその当時常務となっていた私は、環境整備のリーダーになることを志願しました。 経営幹部として毎年繰り返される有言不実行をやめたかったのと、他の会社で勉強させて頂いた環境整備の取組みに会社と自分の未来への可能性を感じていたからです。 結局、会社初の環境整備プロジェクトリーダーを二年間務めました。 結果から申し上げますと環境整備プロジェクトは大成功だったと思います。(もちろん失敗も数々ありましたけれど・・・。) 何が成功だったかといいますと、一年目に社外の人からも変わったと評価される美観を手に入れた事、二年目には取組みを通して得たものが事業活動にも活かされた事、その両方ともに当初目標どおり満足のいく結果を得られました。 活動を通して得られたものは大変に多く、美観はもちろんですが、取引先の支持、仕事だけでは得られぬ社内のコミュニケーション、自信、会社の隅々にまで気が届くような感覚などそのほかにも様々あります。 取り組みが促進された一つの要因は、「やってみたら意外にも簡単にキレイになるのだと皆が気づいたこと。」だと思います。 今までやらなかっただけなので、やればキレイになったのです。キレイになると嬉しいものですし、社外の人に褒められればなおさらです。 そして「キレイな環境のほうが気持ち好い。」という当たり前の感情に改めて気づかされました。 しかし、何といってもこの取組みが成功した一番の要因は、手前味噌ではありますが、リーダーである私が真剣に取り組んだことだったと思っています。 「みんなでやりましょう」と言っても、結局最初は前向きな一人の行動から始まるのです。 リーダー任命の重要さを、あらためて感じています。      (飯塚) お知らせ◆DVD無料頒布『小河原建設 環境整備の取り組み』 東京都中野区にある注文住宅建築会社、小河原建設は、8年前から環境整備に取り組んでいます。約1年前から弊社がお手伝いに入り、「徹底する」「自発的に取り組む」をテーマに環境整備強化プロジェクトを推進しています。本DVDでは、実際の同社の取り組み風景や、講義や実習の映像、社長と社員のインタビューなどを収録しています。無料頒布いたしますので、ご希望の方は巻末連絡先まで、希望枚数と送付先を明記の上、お申込みください。◆創業道場 環境整備実習においては、トイレそうじの他、参加者の事務所、車両などを題材に、整理・整頓・清掃を実践します。あしたの社長学では、各自の経営計画書に基づく実践発表に対し、アドバイスをもらいます。  次回11月2日(水)は北三公園のトイレ掃除を行います。【対象者】経営者、後継者、起業志望者【日 程】11月2日(水)、12月7日(水)【内 容】 6時~7時 環境整備実習(講師:小早) 7時~9時 懇親朝食会  9時~12時 あしたの社長学(講師:須田)【場 所】高崎市産業創造館他【参加費】1,000円(会場費)編集後記真向法家族 私は毎朝、起きるとすぐに「真向法」という柔軟体操を行っています。 生来、体が硬い方なので、始めて2年間くらいはほとんど変化を感じられなかったのですが、ここ最近、ようやく少し体が柔らかくなってきたようです。 私が体操している時に、子供たちが起きてくることがあります。 そんな時に彼らに真向法をさせてみると、いとも簡単にやってしまうので、悔しくなります。(小早)株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援環境整備(規律・清潔・整頓・安全・衛生)は「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。現状調査(診断)やご相談は無料です。全国どこでも出張が可能ですので、お気軽にお問い合せください。そうじの力だより第76号 2011年11月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)